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変わってしまった彼女 1
「逢沢君!」
その日も俺はいつものように自分の席に座って何も考えずに宙を眺めていた。
そんな俺を呼ぶ元気の良い声。
俺は声のする方へ顔を向ける。
俺が顔を向けた方向に立っていたのはにこやかな笑顔の女の子だった。
「なんだ。犬井」
「え? あはは。いや、別に話しかけただけだよ?」
嬉しそうな笑顔で犬井はそう答える。
俺の目の前にいる犬井は少し前よりも違った。
おかっぱ頭を構成していた黒髪は、犬井の頭の後ろで短く一つに束ねられており、以前のように座敷童子のようには見えない。
それどころか、髪型のせいなのか元からの素材のせいなのか元気溌剌とした清涼感の感じさえある。
「そうか。別に用事はないのか」
「もう……逢沢君! ダメだよ!」
「……は? 何が?」
犬井は眉間に皺と寄せて俺を見ている。
「逢沢君は面倒臭がり屋なんだよ。用事がないからもう人との話は終わり、っていうのは可笑しいよ。友達との会話はもっと大事にしなきゃ」
真剣な顔でそういう犬井。
俺はマジで意味がわからなかった。
なぜ犬井はそんなことを俺に大真面目な表情で語ってくるのか。
なぜ、犬井理香子はこんな風になってしまったのか。俺には全く理解不能だった。
これが、今俺の目の前でコロコロと表情を豊かに変えているのが、犬井理香子その人の現在なのである。




