友達宣言 4
「犬井」
俺は歩きながら犬井に話しかけた。
「は、はい?」
そして、立ち止まって犬井の方に顔を向ける。
犬井は不思議そうな顔で俺のことを見ている。
「これから、俺、お前のこと、友達として大事にするから」
俺は優しくほ微笑みながら、犬井にそう言った。
すると、犬井は目を丸くした後、顔を赤くしてさっと俺から顔を反らした。
「なんだ? なんか変だったか?」
「え、あ……あ、逢沢君が……そんなこと言うと思わなかったから……」
「ん? そうか。変なこと言って悪かったな」
「あ……ぜ、全然変なことじゃないよ? た、ただ……嬉しくて……えへへ……」
だらしなく、恥ずかしげに、だが、嬉しそうに微笑んだ。
、そんな風に何も知らずに微笑んでいる犬井の表情は、ある意味では俺にとってこの上なく滑稽で愉快この上ないものだった。
これから計画していることを思うと尚更である。
犬井のその笑顔は俺にとって、まさに「見ているだけで嬉しくなる」表情だった。
「その……あ、ありがとう……逢沢君」
犬井は頬を紅く染めて、俺にお礼を言ってきた。
「ああ。どういたしまして」
こちらこそ犬井には感謝したいくらいだった。
今までの人生でここまで高揚しているのは、俺自身初めてだってわかる。
だから、俺はその感謝の言葉を心の中で何度も繰り返しながら、この上なく至福な気分でそのまま家に帰ったのであった。




