表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
世界の99%が魔王領ですが、俺だけチート級最強スキル『世界奪還《ワールドレクイエム》』を持って転生しました  作者: トウザキ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

1/2

1

——世界は、すでに終わっていた。


空は赤く濁り、ひび割れている。


裂けた雲の奥から、黒い瘴気が絶え間なく滲み出し、

まるで空そのものが腐敗しているかのようだった。


地上も同じだ。


崩壊した石造建築。

焼け焦げた街路。

乾ききった血の跡。


そして——


「……ぁ……」


かすれた声。


視線を向けた先で、“それ”は蠢いていた。


人間だったもの。


皮膚は崩れ、骨は歪み、目は白く濁っている。


「グ……ギ……」


もはや人ではない。


魔物だ。


「……はは」


思わず、笑いが漏れた。


「終わってんな、この世界」


俺——天城レイは、死んだはずだった。


過労死。

ブラック企業。

救いのない人生。


その果ての、異世界転生。


よくある話だ。


だが——


「よりによって、難易度設定ミスってるだろ」


この世界は、すでに人間のものじゃない。


その事実を、俺は“知っていた”。


いや——


“知識として与えられていた”。


頭の奥に焼き付いた、異質な情報。


七柱の魔王。


それぞれが領域を持ち、世界を分割支配している。


人類は滅びかけ。

生存圏はごくわずか。


位置までは分からない。

名前も、詳細も不明。


だが——


「七体いる」


それだけは、確定情報として理解していた。


(なんで知ってるか、って?)


理由は単純だ。


「これのせいだろ」


視界に浮かぶ、半透明のウィンドウ。


【固有スキル:《世界奪還ワールド・レクレイム》】


・魔王支配領域を侵食・奪取する能力

・発動と同時に“領域侵食”を開始


【補足】

・対象世界の支配構造情報を自動取得


【効果】

・侵食中:対象領域内で性能が段階的に上昇

・支配者撃破で奪還完了


【奪還後】

・支配領域内:全ステータス100倍

・支配下個体の進化/強制支配が可能


「……なるほどな」


つまりこれは単なる戦闘スキルじゃない。


“世界を取り返すためのシステム”そのものだ。


そのときだった。


足元の地面が、わずかに光る。


じわり、と。


まるで見えない何かが、広がっていくように。


【侵食開始】


【侵食率:1%】


「もう始まってんのかよ」


その瞬間——


ズズン、と重い振動が響いた。


振り向く。


そこにいたのは、異形。


三メートル級の巨体。

黒く硬化した皮膚。

膨張した筋肉。


そして、血を滴らせる巨大な斧。


「グルァアアアアア!!」


咆哮と同時に、突進。


速い。


見た目からは想像できない速度。


(——死ぬ)


そう思った、次の瞬間。


【侵食率:12%】


「っ……!」


空気が変わる。


いや——違う。


世界の側が、俺に“譲り始めた”。


身体が軽い。


視界が澄む。


音が、クリアになる。


「なるほどな……」


口元が歪む。


「戦ってる間に、こっちの領域になるってわけか」


斧が振り下ろされる。


さっきまでなら避けられない一撃。


だが——


遅い。


紙一重で回避。


踏み込む。


【侵食率:31%】


見える。


完全に見える。


筋肉の動き。

重心の流れ。

次の一撃。


すべてが、手に取るように理解できる。


魔物が吠え、連撃を叩き込んでくる。


だが——


全部、遅い。


【侵食率:57%】


「いいな、これ」


笑いが漏れる。


戦えば戦うほど、俺が強くなる。


じゃあ結論は一つだ。


「長引かせる理由がない」


一気に踏み込む。


懐へ。


——速い。


さっきまでとは比較にならない加速。


気づけば、相手の死角にいた。


「終わりだ」


手刀を振る。


力なんて込めていない。


ただ、触れただけ。


スパァン——


それだけで。


巨体の首が、宙を舞った。


【侵食率:100%】


【奪還完了】


静寂。


次の瞬間——


世界が、塗り替わる。


黒く腐っていた大地が、色を取り戻す。

瘴気が消え、空気が澄む。


そして——


「……は?」


力が、溢れる。


さっきまでとは比較にならない。


別物。


【支配領域確定】


【ステータス補正:100倍】


「これが……支配か」


拳を握る。


空気が震える。


理解した。


このスキルの本質。


「奪った場所は、全部俺の世界になる」


そのとき。


「……に、人間……?」


声。


振り向くと、瓦礫の陰から少女がこちらを見ていた。


痩せ細った体。

ボロボロの服。


それでも、生きている。


「あなた……いま、魔物を……?」


信じられない、という目。


無理もない。


この世界では、魔物は絶対的な捕食者だ。


人間が単独で勝てる存在じゃない。


「まあな」


軽く答える。


少女は震えたまま、呟く。


「ここは……魔王様の領域なのに……」


その言葉に、俺は空を見上げた。


赤く濁った空。


その向こうにいる、“七つの支配”。


そして足元。


今、奪ったばかりの領域。


「違うな」


一歩、踏み出す。


「もうここは——俺の領域だ」


少女の目が見開かれる。


その瞬間。


空が、歪んだ。


遥か上空。


何か巨大な“意志”が、こちらを捉える。


【警告】


【魔王の一柱が、侵食を検知】


「……はは」


笑いが込み上げる。


いい。


最高だ。


「気づいたか」


どうせやるなら——


最初から全部だ。


七柱の魔王。

支配された世界。

絶望の構造。


全部まとめて——


「奪い返す」


拳を握る。


力が、応える。


「この世界は——俺が取り戻す」


——その日。


終わっていた世界に、初めて“反撃”が始まった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ