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四国八十八か所巡礼

挿絵(By みてみん)


私の親友は熱心に霊場の巡礼を繰り返し行っているお遍路さんです。

定年を迎えて、自由の身の上になってから、数年に一度実行し約一カ月で、回りきって所謂「結願」を何度も達成しているほどの本格的な巡礼者です。

装いも白装束を着て金剛杖を手に菅笠を被り、輪袈裟を首に通して脚絆を履いた典型的なお遍路姿です。

その他お遍路用品、下着等日用品をバックに詰め、もちろん伝統的な徒歩で八十八の札所を巡っています。

目的の寺院に到着すると、作法手順に従って門前で合掌礼拝、手水舎で清め、あれば梵鐘した後、線香、賽銭、納札を納める。

そして、般若心経等の読経をして祈願。

さらに、持参してきた納経帳、掛軸、白衣に朱印を押す等の一連の儀式を行った後、再び山門前で合掌礼拝一礼し、次の札所に向かうのです。


その彼からは、やはり日中歩き通しのため、足のつま先を痛めやすく、その他のアクシデントもあるかもしれないので、薬品は必ず持参し、暗くなるとお遍路専門の宿泊所がありますが、のんびりも出来ず、下着類の洗濯、アイロン掛け等、次の日に備えていると聞きました。


もともとが、大変な勉強家で様々な資格を取得しており、公務員、および複数の企業での勤務経験があり、非常に優秀で転職に関しても、ハイキャリアの肩書があるほどの人物です。

自ら定めた目標に向かって、最後まで貫き徹す信念を有し、極めて真面目な人格者でもあります。

もちろん私は尊敬し、長年にわたり懇意にしていただいております。

その彼がつい最近巡礼地の四国を通り越して、はるか遠くへ旅立ってしまいました。

もう再び言葉を交わせないと思うと、寂しさが募ります。

巡礼に関して充分に意志を貫いたのか、いやまだ中途だと判断し、これからもかの地で続行するのか、今となっては定かではありません。

しかしながら、私にとってはその彼と知遇を得られたことは誇りに思います。


  昨夏、鬼籍入られた友人I氏に捧げます。

            2025年忌日




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