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第十八回『禁じられた遊び』 ー 子供の視点を大人が観る ー

『禁じられた遊び』

1952年 フランス モノクロ

ルネ・クレマン監督





 どうも。お久しぶりの更新です。


 今回はですね、以前ご紹介した『太陽がいっぱい』のルネ・クレマン監督の別の作品『禁じられた遊び』をご紹介します。

『禁じられた遊び』と聞くと、主題歌のほうを思い浮かべるかたが多いかもしれませんね。『愛のロマンス』というギター曲、調べてみると、この映画が初登場ではないようですが、この映画の主題としてご存知のかたも多いのでは? なんて思います。

 私は、いつだったか、テレビ番組で東北のおじいちゃんがずうずう弁で"kunzurareda-asobi"みたいに発音していたのが印象に残っています。(というか、ひらがなの字幕がその訛りに忠実すぎて……。)あのおじいちゃんはなんの楽器だったかなあ……。



 さて、映画の内容について。(ま、もちろん劇判も「内容」のうちには入るのですけどね。)

 第二次世界大戦中のフランスの田舎。ドイツ軍の爆撃によって犬と両親とを亡くし、ひとりぽっちになった五歳の少女(元都会っ子)ポーレットは、十一歳の田舎の少年ミシェルに出会い、彼の一家で暮らすこととなる。ふたりの子どもたちは、少女の犬の墓を作ることをきっかけに、死んだ小動物の集団墓地を作り十字架を立てるという遊びを始める……


 この映画、世界を知らない子供の視点を通してその世界が描かれていて、それを、(少なくとも彼らよりは)世界を知っている大人(観客)が観るという一種のメタ構造が鍵になっているのだと思う。お墓作りを遊びにするなんて……ましてや戦争中という、人間の生と死の状況が緊迫している時期に……大人であれば当然眉をひそめるようなことで……、でも、そういった世界や倫理をよく知らない子供たちというのが実際には身近にいて、生活している。なにも戦争や生と死に直面しているのは大人だけではなく、そういったなにも知らない子供たちでさえ同じところで生活しているわけで……

 似たようなものに、スペイン映画の『ミツバチのささやき』というものがある。あれも、実際に物語の舞台になっているのは悲惨な情勢の世界ではあるけれど、話の中心に置かれているのはなにも知らない子供たちで……

 で、先に書いたように、それを大人が観ることに意味がある。それは一種の異化効果……みたいなものにつながるんじゃないかなと思うのよね。うん、うまく言えないけれど。



 うん、名作です。

 深くて、その魅力はなかなかわからないかもしれないけれど、なんとなく、この子供の視点という要素をふしぎだなあと思って見てもらえればいいんじゃないかな……、まずは。





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