其の語
さて、そんなわけで エリオンは さびしくてしかたありません。
なにしろ、どんなとき でも味方に なってくれる はず の お父さん たち まで敵に まわって しまったのですから……。
ですが、そんなとき、あるウワサを聞きました。
『お山の公園で待ってると、天使様が やってきて いっしょ に遊んでくれる』
お山の公園はハルカ階段の上ですが、そんなこと は気に なりません。
エリオンは、がんばって毎日の ように かよいましたが、けっきょく天使様は あらわれませんでした。
それも そのハズ……。
天使たちが遊んであげるのは、気に入った子どもだけ──
気に入り さえすれば──それこそ、まわりの子どもを追い払ってでも──お近づきになるのですが、エリオンのような『遊んでばかりで だらしのない子』は、お呼びで ないのでした。
『どんなヒドい決まりでも、はじめは善意から作られた』
とは、あるエライ人の言葉です。
そもそも、天使たちが人間の子と遊ぶようになったのは、人見知りでオトモダチが できない子を見かねた ある天使が、その子と一緒に遊んであげたのが きっかけ です。
その子は天使と いっしょに遊ぶうち に自信が ついて、他の子とも遊べるように なったのです。
それを知った神様が喜んで──
『これからは、オトモダチの いない子が いたら、いっしょ に遊んで あげなさい』
と、天使たち全員に命じたのです。
神様としては よかれと思ってのこと でしょうが、現場で うごく天使たちには たまりません。
なぜって、『他の子とも遊べる』ように してあげるには、『いっしょに遊んであげる』だけでは すまないからです。
『身だしなみや立ち居 振舞いを整える』
『言葉遣いや態度を 立派なもの に する』
『自分から声を かける勇気を持たせる』
『相手を気づかわせる』
『誘い方を工夫させる』
など など……。
それら 一つ 一つ を ていねい に教え、ときには生存本能からくる恐怖を克服させるなど も しなければ なりません。
それぞれ の気性に合わせて工夫し、なにより、よりそって あげること が肝心でした。
でも、家族や恋人なら ともかく、赤の他人に心から よりそう なんて、なかなか出来ませんよね?
オマケに、他人との お付き合いは、大の大人でも生存 本能が刺激されて恐れる もの……。
いつしか天使たちは、うわべ だけ 取りつくろって、お世話をサボるように なって いきました。




