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ナマケモノの妖精  作者: 尾生 礼人
6/11

其の語

さて、そんなわけで エリオンはさびしくてしかたありません。


なにしろ、どんなときでも味方になってくれるはずの お父さんたちまで敵にまわってしまったのですから……。


ですが、そんなとき、あるウワサを聞きました。


『お山の公園で待ってると、天使様が やってきて遊んでくれる』


お山の公園はハルカ階段の上ですが、そんなことは気に なりません。


エリオンは、がんばって毎日のように かよいましたが、けっきょく天使様は あらわれませんでした。

挿絵(By みてみん)

それも そのハズ……。


天使たちが遊んであげるのは、気に入った子どもだけ……。


気に入れりさえすば、(それこそ、まわりの子どもを追い払ってでも……)お近づきになるのですが、エリオンのような『遊んでばかりで だらしのない子』は お呼びで ないのでした。

挿絵(By みてみん)

『どんな決まりでも、はじめは善意から作られた』とは、あるエライ人の言葉です。


そもそも、天使たちが人間の子と遊ぶようになったのは、人見知りでオトモダチができない子を見かねた ある天使が、その子と一緒に遊んであげたのが きっかけ です。


その子は天使と いっしょに遊ぶうちに自信がついて、他の子とも遊べるようになったのです。


それを知った神様が喜んで、

『これからも、オトモダチのいない子がいたら、いっしょに遊んであげなさい』

と、天使たち全員に命じたのです。


神様としては よかれと思ってのことでしょうが、現場で うごく天使たちには たまりません。


なぜって、『他の子とも遊べる』ように してあげるには、『いっしょに遊んであげる』だけでは すまないからです。


『自分から声をかける勇気を持たせる』

『相手を気づかわせる』

『誘い方を工夫させる』

などなど……。


それら一つ一つを ていねいに教え、ときには生存本能からくる恐怖を克服させるなど しなければ なりません。


それぞれの気性に合わせて工夫し、なにより、よりそってあげることが肝心でした。


でも、家族や恋人ならともかく、赤の他人に心から よりそうなんて、なかなか出来ることでは ありませんよね?


オマケに、他人との お付き合いは、大の大人でも生存本能が刺激されて怖いもの……。


いつしか天使たちは、うわべだけ取りつくろって、サボるように なりました。

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