白雪舞う聖夜の決闘 2
ナレーター(以降、「>」と表す): 前回、パンツイッチョマンの弱点を「寒さだ!」と見抜いた添谷さんの今更感に、こっちでシャットアウトしてしまいましたが、改めて考えると、これまでゴツゴウ・ユニバースでそこを明確に攻めた戦法は採られていませんでした。「当たり前じゃん」と思っていましたが、最初の突破的発想が難しい、いわば「コロンブスの卵」だったんですね。
>なお、「コロンブスの卵」の逸話は創作と言われています。私が最初に聞いた時は、「あ、塩を少し盛って、そこに卵を立てて、その後慎重に塩を取り除くやつだ!」と思った後、グシャッと片端を潰したのを知って、「ええっ!」と衝撃を受けた印象があります。「ちょっととはいえ、壊したらダメでしょう」と思ったのですが、そういう先入観を突破しろ、という事だったんですね。きっと。
>「端を潰したのに、うまく卵が立たない」という方は、気泡が溜まっている側の端を潰すと立ちやすいですよ。……え? その当たりの方の端がどちらかわからない? えーと、両方を軽く叩いてその反応の差から、予想してください。
>しかし、その指摘! 良い指摘ですね! これこそがコロンブスの卵が塩処理されなかった理由でもあるのです。
>「そんな事を言って、できるならお前がやって見せろ!」とコロンブスが言われた時に、「ちょっと塩を貸してくれないか?」と誰かへ呼び掛けた後、渡された塩を盛って、調整しながら卵を立てて、最初は指で塩を取り除き、最後はフーフーと息を吹きかけて塩を飛ばしてから、卵を立たせて「ほら、どうだ!」と言っても、「いや、間が持たねえよ!」とツッコまれるのがオチ。ズバッとやるには、バリッとするしかなかったのです。そのバリッも、「ちょっと待ってね」と言いながら、卵の両端をコツコツと叩き、「こっちかなぁ。えいっ! あ、逆だった。ちょっとそっちの卵も渡してくれない?」などとやり取りしていたら、やっぱり間延びしちゃいますね。だけど創作逸話なら一発成功できるから問題なしです!
>……卵が生卵だったら面白かったのに、という声も届きました。
♯ バリッ、ドロ~。
コロンブス: ほら、こうすれば卵は立つ――って、みんな、聞いてる?
>食卓を囲んだ他の人たちはコロンブスより流れ出る卵の白身に目が行くのであった。
>……という心配をされていたんですね。……あ、心配していなくて、想像して楽しんでいただけですか? いずれにせよ、納豆を食べるわけでもないあっちの食文化では、食卓に生卵が並ばないはずですから大丈夫です。
>だからこそ、生卵三つをジョッキに割り入れて一気呑みする姿は、こっちでは「そういう健康法なのかな」と思うだけですが、あっちだと「オェッ、見ているだけで気持ち悪い」となるようです。もちろん、文化的背景より個人差の方が幅は大きいので、感じ方は人それぞれですが……。
>……ですから、「今回の前説は長いな」というのも個人的な感想ですね。……いや、多数派のはずだ、という意見には、そもそも統計的手法を使って議論するには、当番組の視聴者では母集団が小さすぎます! と返しておきます。……ん? 小集団でも、多数派と少数派の議論はできるはず、って……えーと、本編に戻りましょう。
>大筋で計画が決まっても、それを現実化していくのは大変です。ノウハウが必要ってやつですね。あと、人のネットワークも重要です。そういうのを一から構築するのが大変だから、大手代理店が必要とされるわけです。ですから、頭蓋骨博士たちも、電――あ、具体的な社名は回避でしたね。それ以前に、違法臭が漂う依頼は外注に丸投げできませんか? そうですね。
>というわけで、現実化までにいったい幾つの課題があるか考えてみましょう。プロジェクトをスタートする上で必須な確認ですね。当番組を視ている子供たちも、夢に向かって進むのなら、何となく頑張るのではなく、課題を明確化してから行動した方が実現化させやすいですよ。……あ、小学生のみんなは、夢に向かっての課題をイメージできないかな? せめて中学生になるあたりから始めた方が良いとオジサンは思います。
1.刺客下柳光円の準備
>これには、「居場所の特定」「協力の取りつけ」「超人化」の小目標も含まれます。ハードルてんこもり状態ですね。
2.パンツイッチョマンの呼び出し
>刺客が用意できても、対象がどこにいるのかわからなければ、計画は進みません。これまでの流れから、パンツイッチョマンとの接触は、「文明の危機を感じ取って現れる」か「偶然の遭遇」か、のどちらかですね。
>今、発言して自分でも驚きましたが、ランダム・エンカウンターといえば、コンピューターRPGでいえば経験値稼ぎの雑魚敵です。そのタイミングでいきなりボス級が現れたら、そりゃあ対処できないですよね。出会った方はパチンと倒されて当然です。パンツイッチョマンの存在は、ゲームだったら、完全にクソゲー扱いに至った原因になっていたでしょう。……あれ? そのクソ扱い自体は音声多重(略)活劇であっても変わらない?
>……えーと、パンツイッチョマンの神出鬼没ぶりにどう対処するか、でしたね。
>偶然についてはどうしようもありませんから、危機を発生させることで呼び寄せるしかないでしょう。しかし、頭蓋骨博士の主目的は「パンツイッチョマンのパンツを剥ぎとること」。興味深いことに、この計画にはパンツイッチョマンの予感は働かないようですね。自分の危機なのに。
>パンツ一枚の為に創り出させる危機の方も、改めて考えると、なんだか可哀想ですね。
3.寒さの罠
>添谷さんが、寒さで攻めるという方針を示したが、それが具体的にどういう方策なのか? 現状は「冬、真っ盛り!」なので、屋外で戦えばもう「寒さを突いた」と言えます。しかし、岸九浪は既に屋外で戦っていますから、似た環境でパンツイッチョマンが「寒い」と言い出す訳がありません。暴れ回るから多少は身体が温まることで相殺できるのでしょうね。
>週刊コミックの連載に追われている作品なら、「あれ、その描写、前回と矛盾しているじゃん!」と思っていても、熱烈なファンは「う、うん。そのペンダントは肌身離さず持ち続けていたね」と自身の記憶改変までしてゴリッと呑み込んでくれます。しかし、いくら自画自賛心が旺盛でも、当番組がカリスマ的人気とは言いにくいですね。読者がヌルッと矛盾をスルーしてくれないなら、せめて作中のキャラクターに「そういう事だったな」と押し通させる対応もありえます。例えば「ペンダントを肌身離さず持たせていた」と作中のキャラクターがいきなり主張するわけですね。
>しかし、当番組の指揮者はあの最勝寺先生。さらに、おそらくじゃじゃ馬ぶりがハンパないパンツイッチョマン相手では、今回だけ「冬の寒さで思うように身動きが取れない」などと空気を読んだ言動なんかするわけありません。かといって、枚鴨ワンダーランドの回で示していたように、あからさまに寒そうな場所へ、パンツイッチョマンは入ってこなさそうです。どうするのでしょう。
>さあ、他の作品であれば問題なさそうな所にも、当番組は落とし穴が掘られているのがはっきりしてきましたね。落とし穴というのか、そもそも舞台世界が穴だらけだったのかはわかりませんが、いずれにしてもそれらの穴をどう回避して進めるのでしょう。最勝寺先生の腕の見せ所ですね!
>お、最勝寺先生メモが現れました。なになに……「全て『あれから色々あった』ですっ飛ばして、いきなり対決のシーンから始める手がありますよ!」この後、ウインクして親指を立てているイラストを付けていますが――
>【――そんな手、許されるわけがないですよ!】
>いきなりの大声、失礼致しました。ちょっとさすがにイラッときたもので。
>ちなみに、この「まず、頭蓋骨博士たちの作戦について、問題点をまとめてみよう」という展開も、最勝寺メモによる指示です。薄々、「視聴者に対するまとめ、の体を採った最勝寺先生にとっての情報整理だろうな」と思っていましたが、禁じ手「あれから色々あった」をチラつかせたあたり、本当にこの先について考えなしなのでしょう。……良く考えてみたら、それっていつもの事のようにも思います。
>そもそもこういう情報整理は、小説を書く方なら作っていて当然の専用ノートや手帳に書いて、自身で筋道を立てた上で本編の作成に移るものです。それを作中で試みるとは何たる恥知らず! あの人、そういうノート類を作っていませんからね。
>『イッチョマン・RADIO』で直接会った際に質問した事がありますが、「(そういう情報は)全てここあるから、書かなくて大丈夫なのさ」と人差し指で自身のこめかみを叩いていました。ちょっと自慢げでしたが、実際には面倒臭いだけなのでしょう。
>……えーと、また最勝寺メモです。「文学部の人にとっては、作者の考え方がわかる資料として喜ばれるよ」――って、正当化している場合ですか! そもそも、文学部の人が研究しようという対象に立てていないのだから、資料について考える必要はありません!
>はい。もうシーンに入りましょう。こっちがシーンを捉えてしまえば、「あれから色々あった」は発動できないでしょうから。
>スタッフさんが録り貯めておいてくれた映像は……暗いですね。あ、またあのシーンですか? これ、前に流した映像と同じじゃありません? ……違う? では、よく見て確かめてみましょう。
>暗闇に浮かぶ眼鏡。その眼鏡はモニターの明かりを反射して光っていた。その周囲もぼんやりと照らされて、骨ばった顔と襟元の白衣が見える。……はい、頭蓋骨博士ですね。ほら、皆さんも以前にこんなシーンあった気がしたでしょ? アニメ化の時には使い回しできるから便利だね、という話もしましたね。思い出せましたか? まあ、思い出せなくてもかまいませんよ。覚えたくない記憶はなかなか残らないって言いますし……え? 『文明の○○ パンツイッチョマン』シリーズについて、覚えておきたくないんですか!? ……まあ、確かに、今後の人生で役立つ情報が満載かと言えば、そうではないですね。
>えー、話に戻りましょう。今回は……頭蓋骨博士があのチャットアプリ『デキるMON』を使っています。……「今回は」じゃなくて、「今回も」でしたね。黒い背景に文字だけが浮かぶ地味な画面です。しかしカスタマイズによっては、特定の文字に反応して自動的にアニメーションがポップする、という賑やかな演出もできるようです。
>イメージが浮かばない方の為に一例を出すと、チャット内に「花火」という単語が出てくると、背景で花火のアニメーションが打ち上がるみたいな感じですね。
♯ 【てやんでぇ!】
>花火が上がった時の掛け声は「たまや」「かぎや」が一般的ですが、枚鴨市では「てやんでぇ」もあるのです。「そういや、そんな風習あったなぁ」と思った方は、『文明の○○ パンツイッチョマン』通称「シーズン壱」の花火大会のシーンを見返してください。
>……穴穿きさん、ミステリアスな美人でしたね。そう考えると、シーズン弐は女っ気が――というと怒られそうなので言い換えると――華がないですね。あ、そういうと、今回出ている人に悪いですか? でも、銀子先生はまあ常連過ぎて刺激は薄いですし、桜ちゃんは今回ほとんど出ていません。そうなると、注目されるのは理香珈さんですね。
>ギャル枠としては貴重……でもないか。一部の人からは「痛い」と言われるくらいのお年頃ですし、勢いはあるけど、しっとりとした魅力はないからなぁ。……まあ、結局、好みの差だから仕方ないか。
>えー、ともかく『デキるMON』にて謎の情報提供者「宛森」に接触しようと、ポーク機能を使います。
>ポーク機能というのは、イメージで説明しますと、ロミオがジュリエットのいる部屋に小石を投げる、というやつです。いつもああいうシーンを見えると、窓が割れないかとか傷が残らないかが気になりますが……あ、みなさんはそうでもない。まあ、効果としては扉のノックみたいな感じですね。……じゃあ、最初からノックと言えよ、と言われましても、アプリでポークと言っているから仕方ないでしょう!
>……豚肉は関係ないです。あっちもポークですが、スペルはporkです。コツコツの方はpokeです。発音も違うんですが、そこを伝えられないのが音声多重(略)活劇の悲しいところ。……え? Pokeと言えば――いえ、電気ネズミも関係ないです!
>ともかく、せっかくある機能だからとコツコツと宛森の様子を窺ったけれど、結局反応がないと、頭蓋骨博士は「調べて欲しい人物がいます。お返事をお待ちしています。」とメッセージを残します。じゃあ、最初からメッセージでいいじゃん、ですね。はい、私も思いました。
>それから、頭蓋骨博士は食事を作りに席を離れます。ちなみに、その食事はあの立位お掃除ロボットに任せます。あー以前、二足歩行と紹介した気がしますが、よく見ると二本足が付いているようで、その下の車輪で移動していたので、歩行ではありませんでした。すみません。
>しかし、掃除だけでなく食事も作れるなんて、すごい高性能みたいでしょう? まあ、事実、高性能といえばそうなのですが、料理なんて簡単にロボットに任せられる内容ではありません。工場レベルではまだしも、せいぜいフードコートで決まったメニューだけを作るロボットが実用化されている程度。家庭用で、かつ移動型になると要求テクノロジーはぐっと高くなります。
>で、実際のところ、ロボットは料理をしているとは言えません。頭蓋骨博士が作ってもらったのは、カップ焼きそばだったからです。それも、開封しソース類を取り出し、お湯を沸かしてロボットに渡すところまで、頭蓋骨博士がセッティングします。それ以降の行動も頭蓋骨博士がプログラミングしているのですが、まあ、そういう仕様なのでそこは「ロボット偉い」で評価しておきましょう。その後、ロボットは時間が来たらお湯を捨て、頭蓋骨博士に焼きそば容器を渡します。あ、お湯の排出口を破り開けるのも、頭蓋骨博士の手助けでした。
>ロボットが動作している間、頭蓋骨博士はエラーが起きないかハラハラして見守っています。……はい、独りで作った方がずっと手間がかからず早いですね。でも、日常生活も科学の発展のために費やす、ってことなのでしょうね。
>そうして、食堂で焼きそばを食べながら、ノートパソコンでロボットの動作を確認と調整をしてから、メインのデスクトップパソコンのある席へ戻ると、宛森からの返事がありました。
宛森(以降、「宛」と表す。):力士はどうなった? パンツイッチョマンは倒したのか?
>頭蓋骨博士からの依頼については全く触れられていませんでしたが、向こうからすると、「協力したら成果をまず示せ」という主張なのでしょう。筋は通っているので、頭蓋骨博士も「岸九浪関は奮戦虚しく敗北しました。次は刺客に加えて、パンツイッチョマンの弱点と思われる寒さを攻めてみるつもりです」と作戦まで早々に露呈してしまいます。
>で、普通ならこのままチャットが続くのですが、頭蓋骨博士が戻った時には向こうがオフライン。またやり取りは途切れてしまいます。こういうところはリアルに「それぞれの時間があってなかなかうまく噛み合わないものですね」はいりませんよ! 最勝寺先生!
>というわけで、その後何回かはストップモーションのテニスのような応酬が続くのですが、今後は両者の待ち時間は割愛します。
宛: 一筋縄ではいかないな。で、次の候補は?
頭蓋骨博士(以降、「頭」と表す。): 下柳光円。元ボクサーです。
宛: プロ戦績、三戦二勝。使えるのか?
頭: その道のプロにお聞きしたところ、いわゆる隠れた天才だったようです。宛森さんのようですね。
宛: 何かわかればまた連絡する。
>てな具合のやり取りがされました。実は、あの後すぐ、双方オンライン状態のチャットが始まったので、待ち時間の割愛は不要かな、と思ったのですが、宛森の方は、返事が遅かったので、待ち時間を飛ばして正解でした。どうやら、情報を調べてから回答していたようです。……だったら、すぐ回答したように見えた方がややこしかったのかな? まあ、今、説明したから問題ないですよね。
>他にも、頭蓋骨博士はパンツイッチョマンを寒がらせるための策を、宛森に質問してしまいます。結構、丸投げ体質なのかもしれません。それに対して、時間を置いてから回答する宛森。どういう内容かはネタバレになるから明かさない方がいいね、とスタッフとの会議で決まったので今はお話しできません。
>ただ、宛森。かなりアブない人物のようです。個人情報をどうにかして掘り当ててきますし、枚鴨市の内情にも実に詳しい。パンツイッチョマンにとって、かなりの強敵になりそうな予感がします。なんせ、匿名性の高いチャットアプリの向こうにいるので、必殺のイッチョマン・スラップも届きません。こちらも、表層の思考を読むことができないので困っています。
>こうして、パンツイッチョマンの包囲網は完成しつつあった。それに対して、策を講じようがないパンツイッチョマン。だって、こういう企みがされている事は知りようがないですからね。果たして、パンツイッチョマンはこの危機をどのようにして乗り切るのだろうか!? え、まだ危機感を感じない? じゃあ、どういう策なのか、ある程度はチラ見せした方がいいんじゃないですかね、最勝寺先生!
>とりあえず、今週はここまでです。また来週~~。




