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「団長と飲みはじめてどれくらい経ったかは今一わからないが、かなり深夜になった頃、君のお姉さん......ヴァネッサ嬢が突然乱入してきたんだ」

「......っ」


 やたらと団長ばかりが連呼する話の中で、ようやっと確信にせまる時が来たのだとティスタはごくりと唾を飲む。


「ヴァネッサ嬢もかなり酔っていたから、最初は部屋を間違えたんだと思ったんだ。あ、飲んでいた場所は”もぐら亭”っていう結構高級店で完全個室だから貴族連中も足を向けるところなんだ。......って、すまん。話がそれたけれど、まぁ要は俺たちはヴァネッサ嬢が酔っぱって部屋を間違えたんだと思ったんだ。だから、一応女性だし、君の姉だし、俺ら騎士だし、団長の愚痴は長いから、部屋に送り届けようと思ったんだ」

「......う、うん」


 ヴァネッサを部屋に送ろうとしたのは、割合的に団長の愚痴に嫌気がさしたからなんだろうと、ティスタは分析する。


 しかし、問題は団長の愚痴の長さではない。この後の展開だ。


「で、まぁ......一応ヴァネッサ嬢を廊下に連れ出したら、なぜか向かいの部屋に連れ込まれて、止める間もなく彼女は服を脱ぎ出したんだ」

「!!!!!!」


 言葉にならない感嘆符だけを吐き出したティスタをどう受け止めたのかわからないが、ウェルドはまくし立てるように続きを語る。


「い、言っておくけれど、俺一人じゃなかったからなっ。イリーグだって他の連中だって部屋にいたんだからなっ。それに俺はヴァネッサ嬢の裸は見ていない!誓って見ていないっ。ヴァネッサ嬢が背中のボタンを外した瞬間に、目を逸らしたし、すぐに察してイリーグが部屋の明かりを消したし、他の連中も目をつぶった......はず。すまない、そこは俺は見ていないから───」

「我が家の姉が、とんだご迷惑をおかけして申し訳ありませんでした!!」


 これ以上言わないでと言わんばかりに、ティスタは大声を張り上げた。


 そして、勢い良くベンチから立ち上がると、ウェルドの前に膝を付き深々と頭を下げた。


「......もう......なんとお詫びしてよいやら......ウェルドさま。どうかお許しください」


 地面に額を擦り付けんばかりに謝罪するティスタを、ウェルドは一先ず抱き上げた。次いでそっと己の膝の上に乗せる。


「ティスタ、あえて聞くけど、どのジャンルで謝罪をしてるんだ?浮気の冤罪か?それとも身内の不始末系か?」

「どっちもです!!」


 ティスタは被せるように答えた。そして、再び「ごめんなさい!」と大きな声で謝罪した。


(最悪だ!!もう、本当に最悪だ!!穴があったら入りたい。いや、穴がないなら自分で掘って埋まりたいっ)

 

 ......そう心の中で強く思いながら。

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