あたしの異能
神崎 愛海(かんざき なるみ)…無能力者だった少女
白凪 茉莉(しらなぎ まつり)…愛海のことを知っている?少年
柏崎 海未(かしわざき うみ)…愛海の幼なじみ
誰でも、理想の自分を想像したことはあると思う。愛海もその一人だった…
小さな手をひかれ、【ここ】にやってきたのは、7歳の時だった。あの時、愛海を連れてきたのが誰だったのか正直覚えていない…たしか、がっしりした腕だった気がする。きっと男の人だったのだろう…
引っ込み思案だった愛海の印象は、暗いの一言で片づけられた。後から入ったため元々仲のいいグループの輪に入るようなことはできず、いつも物陰で、楽しそうに遊ぶ皆を羨ましそうに見ていた。
そんなある日のことだった…いつものように、物陰から見ていると、一人のクラスメートが声をかけてきた。
「良かったら、一緒に遊ばない?」
愛海は、突然の出来事に、思考がついていかず、あたふたするばかりだった…
その後、半ば強引に手を引かれ、愛海はそのクラスメートのグループに参加することになった。
その時のクラスメートこそが柏崎 海未なのだった!!!
愛海は、海未に感謝の気持ちでいっぱいだった。結果にすべて繋がっているわけではないが、少なからず、消極的な自分を変えるきっかけをくれたからだ。
「海未ちゃんの出会いが、愛海ちゃんを変えてくれたってわけだ。泣ける話だよねー」そう言って、白凪はポケットからハンカチ取り出し、顔を覆った。
「海未はあたしにとって、一つの光だった。そして、その光を【あいつら】はあたしから奪った!!!あの時は、分からなかったけど、【今回】のではっきりしたことがあるわ」
愛海の言葉と彼女の勝ち誇った表情を見て、白凪は、自分の身体が武者震いしていることに驚いた。だが、これで彼も一つの疑問が確信へとつながった!!!
「学校での出来事、そして車内での出来事。どちらも共通していることがあったわ。それは、あたしに【外傷がなかった】こと!!!つまり、あたしの周りには被害があるのに、あたしにはない!!!つまり、―!!!」
「反射」白凪が口を開いた!!!
「どんなものでもはね返す異能で、能力開発の中でも、【上位扱い】されている異能の一つだね。車内で、撃たれても、当たらなかったのはそれが理由といえる。いやー確信はなかったんだけど、【予想通り】で良かったよ」
白凪は笑顔で、愛海にそう答えた。
「さっき、柊さんが言っていたの。知り合いから【同じ】だって聞いていたってね。つまり、あたしの予想なんだけど、あたしの異能を知っているということは、あなたも【そう】なのね?」
愛海の質問に、白凪は首をかしげている。
そして、愛海は、そばにあった小石を思いっきり白凪に向かって投げた!!!
投げた小石は、愛海の頬に当たり、頬は、赤く腫れあがった!!!
「そういうことね。【はね返ったもの】は反射でもはね返せない。これで、はっきりしたわ!!!やっぱり、同じなのね。あたしとあなたは」
愛海の言葉に、白凪は顔色を変えず、ただ愛海を見つめていた…