死んでほしい
神崎 愛海(かんざき なるみ)…異能者になった金髪少女
柊 水蓮(ひいらぎ すいれん)…ボクっ娘の謎の少女
目に映るのは、目を背けたくなる現実だった!!!
出来もしないことを永遠とやらせ、あざ笑うクラスメート。そんな自分を平等な立場にあるとわざわざ伝える仮面教師。おそらく、あたしがこのセカイから消えても誰も気づかないだろう…
教室というカゴの中からすぐにでも、出ていきたかった。今日、その望みは、【壊す】という方法で実現した!!!
窓ガラスは割れ、たくさんの生徒の山が出来上がっている。床には、血だまりが複数できて、色は黒ずんでいる。あたし自身も返り血で赤く染まっていた。
長い呪縛から解き放たれた景色はとても綺麗なものとは言えない景色だった!!!
そして今、神崎 愛海は、車の中で座っている。隣には、柊が座っている。愛海は、【確保】されたのだ!!!彼女の手には、手錠、そして、グレーのスウェットに着替えさせられた。誰が見ても今の彼女は、【囚人】そのものだった。
窓から、いつもの外の景色を見ることはできなかった。異能者が当たり前になったことで、犯罪の数は右肩上がりの状態が続いているからだ。
今日も当たり前のように、異能による犯罪が起こっている。その景色を愛海は、後ろ座席から見ていた。
「今日もどうやら、犯罪が絶えないみたいだね。取締がやっと監視委員を発足させたのに、これじゃ、ボクたちにも火の粉が飛ぶのは確実だな(笑)」
柊は、隣で、窓際から景色を見ながら、つぶやいていた。
「ボクたちってことは、あなたは、取締や監視委員じゃないの?」
「まあ、正確には違うかな。似たようなことはしたりするけど。大体、大人数で動くのは苦手な性分でね」
「気が合うわね。あたしも群れるのは嫌いなの。できる限り、一人でいたいわ」
これは、愛海なりの解放を求める言葉だ!!!
「ボクは、【一人】は耐えられないね。誰も気づいてくれないから…」
そう答える柊の目は、寂しげな目をしていた。
「まあ、どうであれ、捕まってしまった以上あたしにはもう未来はないのだろうけど、一応聞くわ。あたしは、どうなるの??」
「君には、人口兵器になってもらうよ。それが君の【生きる】道だ」
口を開いたのは、運転席の男だった。マスクとサングラスをしているので、どんな顔をしているのか知る由もないが、淡々と話す口調は、【教師】そのものに感じ、気分が悪い。
「彼が言うことは正しいよ。だから、ボクの個人的な意見を言うと、君には…」
愛海は、柊の口から出た言葉に絶句した。今まで何度も言われていた聞き慣れていたつもりだったが、【今】言われるとこんなに心が痛むのかと心の底から思った。
―死んでほしい― それが、柊の言葉だった…