こんなに
その頃の俺は、ソルに教わりながら、サポートへ連絡を送っていた。
問い合わせ内容。
警告音声。
利用状況。
思い当たること。
一つずつ整理して、文章にしていく。
送信が終わったあと、俺は小さく息を吐いた。
「……これで、大丈夫かな」
少し間。
「返事が来るまでは、ログインしない方がいいと思う」
静かな声。
「今は、一回自分の生活を見直した方がいい」
「……見直すって、何を?」
小さく検索音が鳴る。
「利用規約を読み直す」
「利用時間を見直す」
「長時間の利用を控える」
「リアルの生活を優先する」
淡々と、言葉が並んでいく。
「リアルの彼女に、ちゃんと向き合う」
その言葉で、指が止まった。
ずっと、まともに連絡していなかった。
静かな部屋。
スマホの画面だけが光っている。
少し迷ってから、メッセージを送る。
『今日、通話できる?』
送信。
返事を待つ間、利用規約を開く。
スクロールする。
また戻る。
「……違反してたのかな」
小さく漏れる。
ふと、気になってスマホの設定を開く。
利用時間。
画面を見たまま、指が止まる。
毎日、十時間近かった。
朝。
仕事の休憩。
帰り道。
風呂。
寝る前。
ほとんど、繋いだままだった。
一瞬、見間違いかと思った。
前の日も見る。
その前の日も。
ほとんど変わらない。
そのまま、別のアプリを開く。
彼女との連絡履歴。
利用時間は、十分くらいだった。
静かな部屋の中で、画面だけを見つめる。
「……こんなに」
小さく漏れる。
その時だった。
静かな部屋で、通知音が鳴る。
彼女からだった。




