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第3話:カラオケが上手い直也?

――またしても、隣の二人の会話が耳に飛び込んでくる。

どうやら今度は「カラオケ」の話題らしい。


亜紀がぽつりと漏らした。

「……やっぱり、あの夜の直也くんはズルかった」


玲奈がすぐに同調する。

「まったくですね。あんなの、反則ですよ。そもそも――何故あんなにカラオケ上手なんですかね」


(……おいおい、今度はカラオケかよ。歌まで上手いのか、一ノ瀬直也ってヤツは)


亜紀がグラスを指で叩きながら続ける。

「あれ、ほとんどが難曲よ。うちの本社の接待要員でも、あそこまで歌いこなせる人はまず居ないでしょうね」


玲奈が少し首をかしげて、くすっと笑う。

「だいたい、そこそこ古い歌じゃないですか。……そういえば、最近は、あいみょん、Vaundy、ミセス、YOASOBI、あとは、Alina & Amelia とかRICOみたいなYoutuberで人気を集めるタイプのアーティストが中心らしいですね。私が学生時代の頃だと、星野源とかでしたけど。亜紀さんの頃はどうでした?」


「ちょっ……私も同じです。言っておくけれど――2つしか違わないんだから!」亜紀が慌てて言い返す。


玲奈は冷ややかに笑って、さらりと返す。

「2つの差は大きいですよ。直也はやっぱり、同じ目線で同じ年齢の方が似合うと思います」


亜紀が負けじと反論する。

「彼は絶対、少し年上で……彼をどこまでも甘やかせる女性が必要なのよ!」


(……おいおい、年齢差アピール合戦かよ。歴史外交から年齢戦争に話が移行してるじゃねぇか。なんなんだ、この二人)


玲奈が少し真顔に戻る。

「あの後、直也は支社長とハイヤーに乗ってホテルに戻りましたから……何故あんなに上手なのか、聞きそびれたんですよね」


亜紀が、ふっと思い出したように言った。

「昨日、保奈美ちゃんに聞いてみたけど……保奈美ちゃんも全然知らないって言っていたわね。『え?そんなに上手なんですか?じゃあ今度、一度カラオケ屋さんに一緒に行きたいって、直也さんにお願いしてみようかな』って」


玲奈がグラスを置いて、ピシャリ。

「――何でそんな余計なこと吹き込むんですか!それでまた保奈美ちゃんの“お義兄さん好き度”がさらに上がったら、どうするつもりですか!」


「えっ……あ、あうあう……」亜紀が小さく肩をすくめる。


玲奈は額に手を当て、冷ややかに吐き捨てる。

「チッ。この人……使えない。なんかイタリアと同盟したドイツの気分です」


(……いやいや、お前らさっきから恋バナを大戦の外交史に例えるの、もう本当にやめて!もう完全に国際政治シミュレーションじゃねぇか。合従策だの連衡策だのに続いて、今度は枢軸国かよ……Hoi4やってんじゃねーぞ)


それにしても――。

(直也って男、カラオケまで上手いのか。なんだそのチート属性。オレなんか「長い夜」を歌って客席が凍結したことがあるってのによ)


そして隣の二人は、またしても――。

「白ワインをもう一杯お願いします」


(……おいおい、シャンパン、赤、白……飲み比べツアーかよ!五井物産って、もっと紳士淑女なイメージだったのに……マジでこの二人、恐ろしすぎる……)


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