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guilty 48. 俺の妹が俺の汚いセミヌード写真を所持していて絶望した

 メイド喫茶で一日限定のバイトを終え、疲れた身体を引きずるようにして帰宅した俺はすぐさま自分の部屋に直行し、ベッドにダイブした。帰り際に委員長が『私の雛ちゃんは何処に行ったのよ!?』とかバウバウ吠えていたが、普通におっかないのでそのまま逃げ帰ってきた。嗚呼、しかし今はそんなことはどうでもいい、どうでもいいのである。何も余計な事は考えず、そしてママの二の腕のように柔らかな天使のベッドに泥のようにすやすやと眠。


「兄さん、ちょっと宜しいでしょうか」


 突然、なんの前触れもなく俺の部屋のドアが開いたかと思うと、詩織が普通に入ってきた。つ、次の相手はお前ですか。絶対に面倒臭いことに違いない。相手にせず、狸寝入りしよう。


「グァーグァー」(←天使の囀り)

「あら? もう眠ってしまったのかしら? 兄さんがスキップしながら鼻歌交じりで自分の部屋に入っていったところを確認して突入したのにおかしいですね」


 どうりで突撃タイミングがピンポイントだと思ってたら俺が帰って来たのを一部始終見てたのかよ、怖…。


「ふう、仕方ないですね。それでは兄さんが目覚めるまで心置きなくお宝本を探索するとしましょう」

「いや待てそれはおかしい。そこは出直すところだろ」

「おはようございます、やっぱり起きてるじゃないですか。意味不明なイビキで私を誤魔化せると思ってたら大間違いですよ」

「う、うるさい……何がおはようございますだ。今は夜だ。面倒臭いお前に絡まれるのが嫌だから寝たふりをしてたのを分かれよ」

「その面倒臭い妹に愛されるのは兄として誇りでしょう?」


 ニヤニヤとまるでメスガキのように笑いながら俺のベッドに腰を掛ける詩織。いや、すこぶるうぜえ。『俺が愛しているのはお前の性器だよ!』とか良いながら人差し指で高速パイタッチしたくなったが、今はコンプラが厳しくなった世の中である。そんなことをしようものならすぐさまオカンやオトンにチクられて家族会議でオギャーである。が、我慢だ。我慢するのよ桂一郎!


「…………」

「何ですかそのプルプルと震えている人差し指は……イエ●ィごっこですか? 兄さんの奇抜な遊びはともかくこの写真を見て下さい」


 詩織はグイッと俺の眼前に自分のスマホの画面を

突き出す。そこには家の脱衣場で今まさにボクサーパンツに手を掛け、大事なところをさらけ出そうとしている男……ていうか、俺が写っていた。


「…………」

「……あ。お目汚し、失礼しました。これではなく、えーっと」


 俺が突然現れた自分のセミヌードに絶句していると、間違いに気付いた詩織は何事も無かったかのような振る舞いでスマホを引っ込め、再び画像を検索している。


「いやいやいやいや、ちょいちょいちょいちょい、どゆこと? 待てやこら。なあに、今の俺のセクシーショット? ありえない画角…風呂場から撮った写真だよね、いまの。盗撮? お前、家の風呂場にカメラでも仕込んでんの?」

「セクシー? 汚いセミヌードの間違いでしょう」

「お前、何、普通に毒吐いてるの? キャーみなさーん! ここに、盗撮魔がいまっ、いてっ」


 糾弾しようと大声を上げようとしたら普通にしばかれた。えっ、マジでヤバくないこいつ?俺の脳内YABEEEEEE女BEST5がいまので更新されたんですけど。


「う、うるさいです……! い、妹として兄の健康状態を確認してナニが悪いと言うのです!」

「け、健康状態って……言い訳が見苦しいぞ。じゃあ、兄としてお前の健康状態を確認したいからお前の裸を撮らせておくれ」

「え゛っ、キッッッモ……近寄らないで下さい、通報しますよ?」


 どういうことなんだってばYO!


「兄さんのオカズ、写真はともかく……私が本当に見せたい写真はこちらです」


 今、不穏な単語が聞こえてきたがこれ以上考えると怖すぎるからスルーしよう。そして、次に見せられた写真は昼間のメイド喫茶で配膳している蒼海ちゃん(ver. メイド)の姿であった。あら、かわいい。誰も得しない自分のエグいセミヌードの後だから必死に働く蒼海ちゃんの姿が断然に可愛く見えて仕方がない。あっ、自分で自分のことエグいとか言ってしまった。てか、何でコイツがこんな写真を所持しているんだよ。


「おっ、う、蒼海ちゃんじゃん……とても可愛いですね。こ、これがどうしたんだよ」

「これはとある筋の者から送られてきた写真です。そして、兄さん……今日、ここで鼻の下を伸ばしながら働いていましたね?」

「と、とある筋の者って……ていうか、働いていたのは認めるけど、鼻の下は伸ばしていないっですっ」

「嘘ですっ!! ではこちらの写真も見て下さい、これはどういうことなのですかっ!?」


 次に詩織が出してきた写真は舌先を少し出し、涙目の上目使い(カメラ目線)で恥ずかしそうに犬のように媚びている蒼海ちゃん(ver. 犬耳メイド)の姿であった。と、とっても、エッチです……い、いつ撮ったんだこれ?てか、よくこの画角で撮れたな。撮影会のノリかな。


「そしてこちらもとある筋の者からの情報なのですが、兄さんがこのメイドJKのコスプレをしたおじさんに『俺のメス犬になれ』と卑猥な命令を下したと聞いたのですが、これはどういうことでしょうか?」


 開いた口が塞がらないとは正にこの事だろう。

行かず後家のおばさんが働いたセクハラがいつの間にか俺のセクハラになっていたでござるの巻。いや、何か微妙に変な嘘も混じってるし。とある筋の者って、絶対アイツのことだろ!


「な、なんじゃそれ!? ぬっ、濡れ衣ダ! そ、それでも俺はやっていない!」

「確信犯の常套句じゃないですか、それ」

「だ、だいたい、この写真に写っている娘はJKのコスプレをしているおじさんじゃなくて普通に現役JKの蒼海ちゃんだよ! お前も面識はあるだろ? 本人が聞いたら泣くわ!」

「む……そう言えばこの方、前に私が兄さんの部屋でお会いした自傷大好きJKに似てますね」


 こいつ、蒼海ちゃんのことを名前じゃなくてそんなあだ名で覚えていたのか。可哀想過ぎる。


「まあ、はい、分かりました。これで兄さんが犬耳幼女に興奮する只の罪人であることが分かりました」

「何にも分かってないよね? それ、何にも分かってないよね?」

「まあ、前置きはこれくらいにして……私、兄さんにお願いしたいことがあるんです」


 えっ、今の全部前置きなの?

ラーメン屋で待ち時間が長すぎてビジュアル系バンドも髪を振り乱して怒り狂うくらい長い前置きじゃない?


「兄さん、私とお出掛けしませんか?」


 えっ、前置き必要ですかね?


「えっ、い、いいけど。改まってどうした?」

「いえ、その……最近、兄さんと『家族として』交流が少ないと危惧しておりまして。このまま、交流が少ない状態が続くと最終的には兄さんが出家する羽目に……それは絶対にいけないと思うんです」


 割りと真剣な表情で俺に語りかける詩織。

いや、いきなりなんか空気変わった。そして、詩織の話しは色々とおかしい。俺と家族としての交流が少ないと言っているが、普通に毎日顔を合わせて朝食も夕食も摂ってるし、勿論、会話もしている。寧ろ、仕事で多忙で家を留守にしている両親の方が交流が少ないくらいである。


「えっ、えーっと……真面目な話っぽいところ悪いんだが、何で詩織との交流が少ないと俺が出家する流れになるんだ? い、意味が分からないんですけど」

「そんな兄さんの出家を食い止めるために今回は私が企画立案致しました」


 詩織ちゃん、お兄ちゃんの話を聞いたげて。何で坊さんになるのん?


「こほん。題して、『兄さんと二人で熱海へお出掛けしよう』」


 詩織、それお出掛けやない、新婚旅行や。

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