苔
「この街にこんな地下があったなんて……」
エクスさん達を先頭に敵のアジトに侵入した俺達は、絨毯の裏に隠されていた地下室の扉を見つけ地下へと侵入していた。
そこはダインさんの家にあったような地下とは違い、あまり整備が行き届いていなく、あちこちに苔が生えておりじめじめとした空気だった。
そんな中をしばらく歩くうちに、これまた古ぼけた扉を発見する。
「よし、皆気を付けろよ。ここから先いつ襲われても分からないからな」
「大丈夫だぁっ」
「そうだ、そうだ。それにこっちにはダイチ君がいるから安心だよっ」
「い、いえ別に俺はそんなに……」
何故か鍛冶屋のおじさん二人に異様に信用されてしまっているが、俺はそこまで戦力として考えてもらっては困るんだけどな。
いくらダインさんに修行してもらっているからといっても、少し前まで体を動かすことなんてない日常を送っていたのだ。
そんな一長一短で強くなんてなれる訳がない。
「そうだね。ダイチがいれば安心だね」
「ははっ、その通りだ」
しかもエリやリアスさんまでもそんなことを言ってくるものだから本当に参ったものだよ。
でも……そうだな。皆から期待されるのは少し悪くないかもしれないかもしれない。
「――皆しゃがんでっ!」
「えっ?」
すると突然リアスさんは背後を振り返りしゃがむように叫んだ。
俺とエリは咄嗟のことに戸惑うが、鍛冶屋さんの二人が俺達の頭を抑えてくる。
い、一体何が起こったんだっ?
なんて思っていたのも束の間、リアスさんはこちらを振り返ると、腰に差していた剣を抜いて、横一閃で払っていた。
「うっ!」
突然のことに驚いたが、その直後俺達の背後から数人のうめき声が聞こえ俺は慌てて振り返る。
「なっ!?」
するとそこには二人の男が地面に倒れていた。
「うむ。以外にも敵の動きが速いな。これは本当に油断できないかもしれない。皆気を付けてくれよ」
「は、はい……」
――全然気づかなかった。
まさか背後から狙われていたなんて。
リアスさんは一体どうやって敵がいるって分かったんだ?
……いや、これも衛兵長としては造作もないことか。
それにダインさんも言っていたじゃないか。
常に油断するな。常に攻撃されることを意識していれば不意打ちを食らうことなんてない、と。
……くそっ。調子に乗るな!油断するな!
こんなんじゃ萌えを手に入れることも、エリを守ることすらできないじゃないか!
くそっ、絶対に負けてなるものか!
「さぁ、リアスさんどんどん行きましょう!」
そうして俺は新たに決意をするのだった。




