和装術師
「悪事はそこまでよゴロツキ共。その人から離れなさい!!」
凜としたその声は、闇夜に浮かぶ数個の紫火の方向から…
石灯籠ともまったく違う色合いを見せるその火玉は、声の主を不気味に照らした。
声の主…その子は、まるで絵の中から飛び出して来たおてんば姫のような可愛らしい少女だった。
顔立ちは日本人に近い。
長い黒髪を後ろで一つに束ねたお団子ヘア、それに刺さるキラキラと煌びやかなかんざし、身に纏う色鮮やかな浴衣は膝上までの丈しかないが後ろについた大きなリボン帯がうまい具合にバランスを取っている。
そして…ここから話すことが少女の容姿の中で最も重要なキーポイントだ。
なんと…少女の耳は“狐耳”だ。
本当に重要な事なのでもう一度言う…
少女の耳は…“狐耳”なんだよ!!
この登場の仕方…完璧な容姿…パンチラしそうなエロい服装…そして謎めいた能力…まさかこれは!?
ここで俺はある結論に至った。
ついに、俺の異世界物語に…ヒロイン要素追加されたああああああああ!!!!
「これ以上の狼藉は許しません!! いうことを聞かないようであれば…成敗します!!」




