お前らの方が
注意) 今回の話には差別的な言い回しがかなり含まれていますのでそれを考慮してお読みくださいm(_ _)m
大見得を切って俺を助けてくれた少女に男達がかけた言葉は酷いものだった…
「その耳…何かと思えば半獣人の“化け物”か。おいおい勘弁してくれよ飼い主は誰だぁ…猛獣は鎖に繋ぐか檻の中に入れるなりしてちゃんと管理しない危ないだろうww」
「確かにそうだな…噛まれでもしたら大変だ」
「こんなところを一人でうろちょろと…まったくしつけはどうなってるんだよ」
ゴロツキどもはゲラゲラと笑い少女を見る。
異世界の事情について俺は全くというほど知らない…
が、男たちが狐耳の少女に放った言葉の数々が差別的なもので、良くないことだとはわかった。
強張る表情と憤怒の視線…
可愛らしい表情が曇り、怒りの様子が手に取るようにわかる。
「私のことを…そして半獣人の事を猛獣と…“化け物”だというさっきの発言を撤回してください。さもないと…私はあなた達を許せないッ!!」
少女は手のひらをゴロツキどもに向けた。
そのポージングからいったい何が起こるのか…俺にはまったく想像がつかない。
「ああ? 本当の事を言って何が悪いんだよ半獣女」
「その態度…撤回する気は無いと?」
「当然…むしろお前の方が化け物だと認めるまで言ってやろうか? この野蛮な…“化け物”が」
こいつらは、なんて酷い事を言うのだろうか…
本人を目の前にして平然と何故そんなにも卑劣でいられる!?
「お前らみたいな半獣人…生まれてくる事自体“間違い”なんだよ」
少女はしばらく黙って何も言わなかった…いや、おそらく言えなかったのだろう。
「私は…………ッ………」
何かを言おうとした少女だったが、唇を噛み締めてそれをやめた。
そんな様子の少女を見た瞬間、少女を可哀想だとか哀れだとか…それに似たような感情の一切は吹っ飛んで、俺の頭の中はゴロツキどもへの怒りで真っ白になった…
「ふざけんじゃねぇよ馬鹿野郎どもがぁ!!」
声帯が吹っ飛んで壊れてしまいそうな大声を出した。
自分の身の安全なんかよりも、今はとにかく叫びたいのだ。
「同じ言語で会話をするあの子にはお前らの一言一言が伝わってるんだぞ!?お前らが逆の立場だったらどんな気持ちになるか…そんな事も考えてやれねえのかよ!? 野蛮な化け物だと…ふざけた事を言ってんじゃねえ!!野蛮なのはお前らで“良心の無い”化け物はお前らだろが!! 」
呼吸の合間もなく俺は一挙に今の思いを叫んだ。
若干の酸欠状態で息が乱れ俯いて咳き込んでしまう。
「その舐めた口…よほど殺してもらいたいらしいな。なら…望み通り殺してやる!!」
ゴロツキの一人は力尽くで俺の体勢を変え、首元が見えるように顎を上向きに抑えた。
「死ねッ!!」
今度こそおしまいか…でも最後に美少女の前で格好良く逝けるなら本望だ。
死を覚悟した俺は…最後に少女の顔を見ようと目線を向けた。
俺の目に映った少女は、複雑な表情ではあるものの…“微笑んでくれていた”。
『ありがとう…』
その声は俺の耳には届いていない…が、少女の口元は確かにその五文字を口にしていた。
感謝されたのなんて久々だよ…ああクソッ…もっと仲良くなりたかったなぁー………
死に際のつもりでそんな事を思い涙を流した俺。
涙が頬をつたい地面に落ちたまさにその瞬間…ナイフが俺の喉を掻っ切るまであと数センチという具合のまさにその瞬間である。
少女が…その手のひらから“火玉”を俺たちめがけ放ったのは………
“狐火:強火”
直径にして1メートルほどの火玉が飛んでくる。
ああなるほど…最初に俺を助けた時もこうして助けてくれた訳ね………てかこれヤバくね。
明らかにデカすぎるよねこれ…9冗談だよねこれ!?
「おいヤバイぞアレ!! 逃げッぎゃああああああああ!!」
「いやああああああ!! こんなの俺も巻き込まれちゃうじゃッぎゃああああああああ!!」
火の玉は直撃こそしなかったものの、手前の地面に直撃し爆散した。
爆発はゴロツキ達を吹っ飛ばした…もちろん俺も含めて。
衝撃で体は宙を舞い、地面に落下した俺は頭を強くうってしまった。
ヤバイ…意識が………
意識が朦朧とするなか…狐耳の少女が俺の元へ駆け寄ってくるのがかろうじてわかった。
「すみませんお兄さん…助けるつもりが加減を間違えて巻き込んでしまいました。何しろまだ“見習い”なもので…」
せっかく格好良く逝こうと思ったのに…何この閉まらない感じ!!
「なんで….こうなるの…ガクッ」
ここで、俺は意識を失った。




