シナリオは動き出す
今回はゲームのプロローグ的な感じです。
世界に魔王と言う存在が現れて二千年。
大小様々な国が消え、世界は暗闇に覆われていた。
人々は嘆き悲しみ、ただ滅びを待つだけ。
絶望が世界を支配する中、一人の青年が立ち上がる。
彼は光り輝く剣を持ち、魔王が率いる魔族達を圧倒していく。
青年は志を同じくした仲間と共に魔王の住む城へと攻め行った。
激闘の末魔王を討ち果たすことに成功し、世界は平和を取り戻すことが出来た。
しかし、今際の際に魔王はこう言った。
「何れまた我は復活する。それまでこの仮初めの平和とやらをかみ締めるのだな。」
その言葉に再び絶望が忍び寄るも、希望を捨てなかった青年は真っ直ぐにこう告げた。
「たとえ何度お前が復活しようとも、この聖剣に選ばれし者がお前を打倒すだろう。」
その後青年は魔王を倒した後、再び魔王が復活した時の為に魔王に対抗するため、共に戦った仲間と国を作り国王となった。
後の聖クローネル王国初代国王にして、世界の救世主として語り継がれることとなる初代勇者である。
――――勇者英雄伝第一巻より抜粋
そして、
今また魔王と勇者の戦いが始まろうとしていた。
***
煌びやかな大広間の上座に座すのは、煌びやかな服装でいて厳格な雰囲気を身にまとった五十代前半の中年。この国聖クローネル王国の現国王ニコラス王である。
陛下の前で臣下の礼を取っているのは、第三王子ジルベールと護衛のパトリシア、そしてその斜め後ろには明るい茶色の短髪の少年が緊張に身を震わせながら礼を取っていた。
陛下はその少年に視線を向けながら厳かに口を開く。
「お主、レナルド・コルトーと申したな。」
「は、はい!」
「では、レナルドよ。お主に魔王討伐を頼みたい。」
「ッ・・・・!?」
「同行者にこの国屈指の魔術の使い手でもある私の息子、第三王子のジルベールとその護衛のパトリシアを同行させよう。どちらも腕は立つゆえ足手まといにはならぬであろう。先ずは聖剣本来の力を取り戻す為に宝玉を集めるが良い。一つは西端のフリューリング遺跡にあると伝わっている。残り三つは、他国の王家に語り継がれているはずだ。聖剣を見せれば話は通るはずだ。出発は三日後、それまでしっかり準備をしておくが良い。旅の無事を祈っておるぞ。」
「は、はい。」
緊張した面持ちで王の言葉に返事をした少年の言葉でこの謁見は幕を閉じた。
***
薄暗い部屋の中央、巨大な魔法陣の中心にどっしりと生えている大樹の中から一人の男が這い出てくる。
男は緑色の樹液で濡れた漆黒の髪をかきあげながら、ゆったりとした足取りで正面にある入口へと向かう。
「ククッ、やっと自由になった。肉体の蘇生は毎度の事ながら時間がかかるな。」
可笑しそうに笑う男は、表情こそ笑顔であるもののその血のように真っ赤な瞳は笑ってはいなかった。
薄暗い部屋から出た男の足取りは、何の迷いも無く廊下を突き進み一つの大きな扉へと辿り着く。
その扉に手を掛ければ、扉は重厚な音の割にすんなりと開いていた。
扉の先には真っ赤な絨毯の敷かれた広間、その奥に大理石で出来た玉座があった。
男は躊躇することなく玉座の元まで赴くとどっしりと玉座に座る。
そのタイミングと見計らったかのように、何処からともなく青白い一人の老人が現れる。
「おはようございます、魔王様。」
「四天王を呼べ。」
「畏まりました。」
その出現に驚くことも無く、淡々とした声で老人に命令を下す。
老人は男に意見することも無く深々と首を垂れ、短い返事を返すと現れた時と同じように音も無く霞のように消えた。
「今度こそあの力を手に入れる。そうすれば俺は・・・・ククックハハハッハハハハッ」
残忍な瞳を細めながら、男は一人玉座の上で不気味に笑うのだった。




