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この世界で生き残るために  作者: スタ
四章 ゲームシナリオ編
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三人旅



「私、出来れば二人にこんなことは言いたくはないの。」


「如何したの?エル。」

「何だ?」


 唐突なエルの言葉に二人は不思議そうな顔をした。

 俯き気味に話すエルの表情は見えないので、今どんな表情をしているのか二人には分からない。

 そんな彼女を窺いつつも彼女が言いたいことが分からず、二人はしきりと首を傾げている。

 漸く彼女が顔をあげて此方を見た。

 その表情は変わることの無い普段の無表情なのだが、雰囲気とでも言えばいいのだろうか、何処か深刻そうな瞳で口を開いた。




「でも、敢えて言わせてもらうわ。」











「お願いだから二人とも何もしないで!!」










 それは、南の貿易都市ミュールズへと向かう途中のことだ。

 タボス村からミュールズへ向かうには、街道沿いに幾つかの村を越えた先にある。その間二つの小さな遺跡がある為、研究所の仕事で寄り道することになる。

 幾つかの村があるとは言え、村と村との間は離れている。当然その間は野営することになる。

 当初その事に別段心配する事は無かった。三人のうち一人は世間知らずな無知ヒロインとは言え、もう一人は国中を旅して傭兵稼業をしているのだ。

 普段から野営もしているはずだ。

 勿論、だからと言って彼の腕が良いなどと過信していたわけでもなく、ただ常識的に言って気を付けるべきところは気を付けるだろうと思っていた。


 だからまさかそんな事が起ころうとは思ってもみなかった。

 いや、予想は出来たのかもしれない。

 それでもあれは彼にしては珍しいミスをしたのだと思っていた。

 あの時は私も死ぬかと思った。腹筋の崩壊で。

 色んな意味でヤバかった。


 ええ、もう本当。



 でもまあ、次は大丈夫でしょう。

 と、もう一度彼にもやらせて見たんです。

 彼女の方は全く出来ませんから、今でも同じ事をやらせてます。

 ただ、私のチェックが入りますけど。


 この時も彼女には同じ仕事をやらせてました。

 彼も次は用心するだろうと任せてました。

 この時点で気づくべきでしたね。



 ああ、やらかす、と。



 ことわざでも言ってますもんね。

 二度ある事は三度ある、って(一度目ですが)。



 ホントあの時の私に説教してやりたいです。

 何故あの二人に任せたんだ!!と。


 あのあと半日身動き取れませんでしたからね。

 魔物に遭遇しなかったのが不幸中の際でしたよ。

 あの半日はいつ魔物に遭遇して喰い殺されるのかとヒヤヒヤしましたからね。もうホント生きた心地しませんでしたよ。


 あの後心に誓いましたからね。

 もう二度と二人には任せないと!!







 だから、







「今後料理は私が担当します!!」
















 ***





「エル、コレは?」

「それはシビレドク茸よ。」


 フィーアの手にしているキノコは、見た目椎茸によく似た姿なのだがある一点が全く違う。それは傘の裏側部分が、毒々しい程の紫色をしている。この部分は加熱すると色を失い普通の椎茸に見えるのだ。

 このキノコを食べると三十分後に全身痺れて半日身動きが取れなくなる。

 ちなみに二回目に入っていたのはこのキノコだ。

 幸か不幸かこの時は、偶然にも魔物の嫌う臭いを放つ薬草が混ざっていたのでその日1日魔物に遭遇する事もなく難を逃れた。

 魔物だけが嗅ぎ分ける臭いな為、食べた時は分からなくていつ襲われるかとヒヤヒヤしました。

 後で調べてみるとこの薬草も入っていてドッと安堵しましたよ。


 マジでヤバかったです。

 ゲーム本編前に私終了のお知らせをするところでした。


 危ない危ない。






「エル、じゃあコレは?」

「それはゲンワクヒメ茸よ。」


 次に差し出したのは、ふんわりとドレスのように広がる純白の傘を被ったキノコ。お上品な見た目に反して凶悪な幻覚作用で一日中狂い通しだとか。因みにこのキノコ、たまに後遺症で幻覚が消えないこともあるのだとか。

 お、恐ろしい。


 可愛い見た目に反して凶暴なキノコみたいです。






「んっと、コレ!コレは?」

「・・・それはチェリートレント・・・の実?」


 次にフィーアが手にしたのは、スモモくらいの大きさのピンク色したさくらんぼ。このさくらんぼを生やしたチェリートレントという植物は、南西周辺に生息している魔物だ。普段は深い森に隠れているうえ、見つけてもすぐに逃げてしまう。逃げ足も速いため捕まえるのも難しい。さらに追い詰めて捕まえたとしても特殊な花粉をまき散らして相手を異常状態に陥らせる。この花粉の効果は、麻痺・睡眠・混乱・毒の四つからランダムにかかる。

 そんな手間のかかる魔物なのだが、世間での需要は高い。それと言うのも、このチェリートレントがつける実は魔法薬、所謂マナポーションの材料となるのだ。その為どんなに捕まえるのが手間でも需要が高いのはその為だ。

 因みにこのチェリートレントは頭の上に着いた大きなさくらんぼの実が核とも言える部分で、その実をもぎ取られれば死んでしまう為、一説では頭の身を守るために移動できるように進化したのだとか。


「えっと、フィーア魔物と遭遇したの?大丈夫だった?」

「え?魔物?遭った覚えがないよ?」

「?それじゃあ、どうやってそれを?」

「岩場の傍に生えてたからぶちっと取って来たの!」

「・・・・・そう、ぶちっと・・・・。」


 ・・・・・・・・・・・・・。

 それは、何と言うか・・・魔物の方がかわいそ・・・・・否、考えるのは止そう。


「取り敢えず、その実は見た目に反してとっても苦くて食べられたものじゃないから、街に着いたら売りましょう。」






「じゃあ、コレは?」

「そ、それは・・・・・!!」


 最後に差し出してきたのは、金色の林檎。


「ゴールドアップル・・・・・モドキ!!」


 そう、それはゴールドアップル、ではなくモドキ。ゴールドアップルは生息地不明の謎に包まれた果実。砂漠のど真ん中に生えているだとか、氷山の人は居り込めない奥地に生えているなど噂は様々に飛び交っているが定かではない。それでもこの果実を人が求めるのは、この果実を手にした者が巨万の富と永遠の命を与えるという噂があるからだろう。それと言うのも、この果実は不老不死の妙薬と言う説があるからだ。これが事実なら永遠の命と言うのも頷けるし、売れば巨万の富だって手に入るだろう。まあ、ただし見つかればの話だけれど。

 そして、今フィーアが手にしているこのゴールドアップルモドキは外見はゴールドアップルと似ているが中身は全くの真逆。ゴールドアップルが不老不死の妙薬なら、ゴールドアップルモドキはドラゴンをも殺す猛毒の果実。生息地もゴールドアップルと同じで不明なのだが、本物のあるところにモドキも存在すると言う噂もある。それはゴールドアップルの噂の大半はモドキだったと言う噂もあるからだ(私の予想では大半では無くすべてだと思う)。

 因みに本物とモドキの見分けは、芯の部分の色とされている。本物は芯の部分まで金色だが、モドキは芯の部分が浅黒い。


 もちろんフィーアの持っている林檎は中心部分が浅黒いものだ。



「取り敢えず毒物系は捨ててきなさい。」






 こうして今日も三人のスリリングな食事準備は続くのであった。




ちょっとしたおまけ


「三人って言うか私一人だけなんだろうな、そう思っているのは。」


 うふふと遠い目をして呟いた言葉は、近くで枯れ枝をくべていたフィーアには届くことは無く不思議そうに此方を見つめる。


「どうしたの?」


 不思議そうに此方を見る彼女を見つめ返す。

 毎回珍しい毒物(ここ重要)を見つけてくる彼女は強運と言うか凶運と言うか、ある意味運の強い子だと思う。

 そこでふとある事に気が付く。


 そう言えば、ゲーム設定では仲間になる前グレンはフィーアと二人旅をしていたはず。

 グレンとフィーアの二人旅何て早死にしそう。

 よく生き残れてたよね、この二人。

 まあ、ゲームとこの世界の二人とじゃあ違うのかもしれないけど。


 ゲームでは見ることの出来ない二人のちょっとした一面に苦笑いが浮かぶも、取り敢えず私が傍に居る間はあの二人に料理はさせないと固く誓う。


 うん、そこ重要よね。



「ううん、何でも無いわ。もう食事ができるからグレンを呼んで来てちょうだい。多分近くで素振りをしているはずだわ。」

「はーい!!」






 誤字脱字・感想在りましたらコメント下さると嬉しいです。



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