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この世界で生き残るために  作者: スタ
二章 学園編
21/61

一進一退

 三話更新二話目です。



 実地訓練のあった日から一ヶ月間。


 私はこの事件を起こしたリーダー責任として謹慎処分となり、部屋に篭りきりの生活を送っていた。





 謹慎処分となったことで、父とはますます溝が開いていった。

 もう、何て言うか・・・諦めてるんですけどね。

 でも・・・それでも、悲しいです。


 

 母は過保護に私の所へ見に来ます。


 偶に、ぼそぼそと

「貴女は悪くないのよ。悪くないの。事件を起こした子が悪いんだから。そんな子、食べられちゃえば良かったのに。」

 何てこと言ってたり。


 そ、そんなこと考えちゃ駄目ですよお母様!!

 少々病んできた母に怯えつつ、邸では相変わらずヘイザ以外の使用人は私を避けていました。



 ヘイザは相変わらずの通常運転です。

 ええ、彼女に気遣うということも気遣われるということも無用なようです。

 私を気遣う言葉なんて彼女の口から出ることは無いんだろうな。

 ふふっ(ホロリ)。



 エリオットは相変わらずの無口無表情ですが、私が謹慎処分を受けてから私の部屋で食事を共に摂るようになりました。

 学園での事を話すでも無く私に何か聞いてくるでもないただ黙々とした食事でしたが、誰かと一緒に摂る食事は何とも心が温かくなるものですね。

 こんな状況だったからか、そんな何気ない彼の優しさが嬉しくて「ありがとう」って言ったんですけれど。

 彼は顔を逸らして「別に」って言って部屋からさっさと出て行っちゃいました。

 素直じゃないですね。ふふふ。




 三人(一人何考えてるか分からないけど)は私を責めたり、叱ったりしなかった。

 私のことを心配し、ずっと傍に居てくれようとした。

 そのことが嬉しくもあり、同時に心配させてしまったことを悔やみもした。







 

 あの日、私が制御も出来ない力を使ったことで魔物を倒すことは出来た。

 否、フェンリルは駆けつけた騎士団の方が倒したと言うから私の力で魔物を倒したとは言えないのかもしれない。

 そして、死者が出なかったとはいえ町には甚大な被害が及んでいた。

 町はフェンリルの炎によって焼かれるか、突風によって壊されるかのどちらかで人が住める状態ではなかった。

 そんな中、死者が出なかったのは奇跡ともいえよう。

 結局私がやったことは被害を拡大させただけだったのだろうか。




 力を使わなければ良かった?


 分からない。


 ただ、あの時力を使わなければあの魔物の群れを止めることは出来なかっただろう。

 騎士四人でフェンリルとワーウルフの群れを同時に倒す力を持っている者は居なかった。

 確かに力を使ったせいで怪我を負わなかったかもしれない人もいる。

 壊れなかった家が在ったかもしれない。

 でも、力を使わなかったら全滅していたかもしれない。

 それはもう知ることの無いこと。



 でも、分かっている。


 その被害の半分は私のせいだという事は。

 制御出来なかったせいで起きた結果だって。


 

 こんなことになるならもっとシアンと向き合うべきだった。

 勝手にした契約だから関係ないって思ってた。


 不吉の青い鳥?

 強大な力?

 契約で力が制御出来ているのならもう関係ないって。

 私には関係のない力。

 だから、使うことも無いと。

 そう思ってた。



 契約で力が抑えられているからと言って、使ったこともない力を制御できるはずも無く。

 身勝手にも制御出来るものだと勘違いしていた。

 そんなこと、無いのにね。

 こうなる前に力の使い方を知っておくべきだった。

 本当に、もう遅いけど。






 もうこんなことが起こらない為にもこの力の使い方を知るべきだと思う。


 でも何処で?


 家で?


 ・・・は、さすがに不味い気がした。

 あんな力を使える場所が無いという事もあるが、両親に見つかったりなんてしたら・・・。

 唯でさえ父は私を嫌っているのにあの人にばれたりなんてすると何と言われるやら。

 母は母でそんな力使わないで淑女としてうんたらかんたら・・・説教をしてきそうですね。



 なら学園は?


 生徒や教師が居ますが、広い土地ですし探せば何処かに人目の付かない場所くらい在るかも知れないですね。

 ただ、あの力を使いこなすのに残り一年というのは正直辛いですね。

 一年の時に気づいていれば五年間しっかり訓練出来ていたのに。

 まあ、終わってしまったことは元には戻せませんし。

 学園卒業後も訓練出来る所を探さないといけませんかね。

 

 部屋で一人、悶々とそんな事を考えていた。





 

 そんな一ヶ月を過ごしてやっと謹慎処分が解けました。














「ん~やっと謹慎が解けた!・・・・私のクラスは、どうしてるのかな?」


 教室へと向かう途中とてもドキドキでした。

 扉の前で一つ深呼吸をして。

 いつも通り。いつも通り。

 ガラリと開けてそこに在ったのは。



 

 シンと静まり返る教室でした。


「・・・お、おはよう。」


「・・・・。」


 ヒシヒシと伝わる視線を潜り抜けて、やっとこさ隣の席の子に挨拶をすると顔を逸らされました。

 挨拶も交わしてくれませんでした。

 ううっ。今までだったら挨拶を返してくれていたのに。

 正直寂しいです。



 ああぁ。皆の視線が痛い。

 物凄く邸の使用人の人達(ヘイザ除く)と同じ視線の様な気がします。

 今まで普通に声を掛けてくれていた人達でさえ似た様な視線をしています。


 これは・・・・また、ですか。


 どうしてですかね?

 私が起こした事件じゃないんですけどね。

 誤解ですよ?



 死亡フラグ回避の為に頑張ってはいるんですが。

 どうも周りの反応を見る限り、悪役の道へも突き進んでいるような。

 どうしてこうも周りの人達は誤解していくのでしょうね。


















 放課後のこと。


 今日は気の沈む思いで一日を過ごしました。


「エル。」


 門へと続く道をトボトボと帰っていると、後ろから声が掛かった。


「エリオット。どうしたの?」


 普段学園で話しかけることの無い(と言うより、彼から声を掛けることが珍しい)エリオットが珍しく声を掛けてきました。


 おやおや?

 お姉様に何の御用で?


「一緒に帰ろう。」


「えっ?・・・珍しいわね。別に良いわよ。」



 ビックリ!!

 珍しい!!これはレアですよ!?

 と言うか、どういう心境の変化!?

 いやいや、素直に嬉しいですよ!!



「ん、それと・・・・。」


 エリオットにしては珍しく言いよどむ様に後ろを振り返る。

 もう一人誰か居たみたいですね。


「?・・・・!!」


 ッ!!!!!!!!!!



「彼はレナルド。」

「エリオットの親友のレナルド・コルトーです。よろしくお願いします。エルさん!」

「・・・・・。」


 ちょっ!!おまっっ!?えぇっ!!???



 エリオットの後ろから出て来たのは、今まで必死に避けていた勇者(予定)だった。


「エル?」


 ハッ!!!


「あ・・・エルゼリーゼ・ファウマンです。よろしくお願いします。」


 ちょっと呆けちゃったじゃないですか!!

 何で彼が此処に居るんですか!?

 いや、まあ、弟と友人関係なら会う確率も無くは無いですね。はい。

 そうでした。

 彼と会うかもしれないから学園でエリオットに会うのを避けてたんでした。



 ええ、もう本当!

 エリオットから話しかけて来てくれた事が嬉しすぎてすっかり忘れていましたよ!!

 くうぅぅ!


 一分前の私を蹴り倒したい!!

 弟からの誘いに舞い上がっている場合じゃなかった!!

 この出会い回避不能ですか!!?




「それで、同じ方向だから彼も一緒でいいかな?」

「え!?・・・・あ、うん。」


 あは・・・はははっ・・・・

 ・・・・これで嫌だと答えたらどうなるんだろう?

 せっかく築き上げた弟の信頼が崩れ去っちゃう!?

 それは嫌だ!!


 くそうっ!!

 関わらないようにしてたのに!

 前を用心深く見ていたら、いきなり後ろから斬りつけられた気分だよ!!



「帰ろう。」

「そうだな!!」

「・・・ええ。」









 結論から言って何なんでしょうかね。

 この状況。


 ただ今、勇者(予定)と勇者一行(予定)の弟と帰路を一緒にしています。

 ゲーム的に言って敵同士ですよ。

 本来いがみ合う筈の人達です。

 確かにエリオットと友好関係を築こうと奮闘してました。

 でも、勇者(予定)とはしてませんよ!?

 あれですか?弟と友好関係を築けば芋ずる式に勇者(予定)とも友好関係が!?


 友達の友達は友達さ☆


 みたいな?(弟ですが)




「それにしても、エリオットがエルさんの話をする時饒舌になるからどんな人なのかと気になってたんですよ。何と言うか、聞いた印象と違って大人しい人なんですね。エルさんって。」

「・・・・え?」


 え?何それ?エリオットが饒舌に?

 彼からなんて聞かされたんですか!?

 き、気になる!!


「無遠慮でそそっかしい姉だって話したんだよ。」

「うぐっ!!・・・(無遠慮は否定出来ないけど)そそっかしくは・・・」

「そそっかしいだろ?普通しない様なところで計算ミスしたり、乗馬に誘ったくせに乗馬服じゃなかったり。」

「うぅ・・・・。」


 そ、そうでした。そんな事もありました。


「だいたいエルは変。こんな姉を持つ弟の身にもなってくれ。」

「・・・・。(ガクッ)」


 変って言われた・・・。


「そんなこと言いながら、心配してたのは何処の誰だったか。」

「・・・・・。」


 笑いながら言ったのは今まで私たちの話を聞いていたレナルドだった。

 急に押し黙るエリオットにますます笑いを滲ませるレナルド。


 んん?

 これはどういう状況?




「おっと、俺こっちだから。」


 丁度貴族街と市民街との分かれ道に差し掛かるところだった。


「それじゃあ、エルさん、エリオット。また明日。」

「ええ。」

「ん。」


 挨拶を交わして私達は別れた。
















 エル、寝ナイノ?


「寝るよ。」


 蝋燭も点けずにぼんやりと夜空を見上げていたら、シアンが声を掛けてきた。


「今日は色々とあったなって思って。」


 ソウ?


「ははっ。」


 シアンにとってはあまり変化の無い日だったかもしれない。

 でも、私にとっては色々と置かれている状況が変わった日でもあった。


「・・・もう、寝るね。おやすみ。」


 オヤスミ。




 謹慎が解けて来てみた学園では、周りから避けられることとなった。

 何だか悪役に一歩後退してしまった気分。

 そして、帰り道。

 レナルド・コルトーとの接触。

 関わっても何か問題が起こるかもと思い避けていたのに、結局関わってしまった。

 まあ、彼とは割りと友好的だったので一歩前進といったところか。




 本当に、私は何処へ向かって行っているのか。

 ただいま迷走中みたいですね。

 はははっ(ガクッ)。












 それでもフラグを回避しようと頑張っています。




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