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第40話 摘発

 さて、臓器売買組織の摘発だ。

 俺は、眠りの魔道具を起動。

 警官で倒れたのは1人。

 貧血だと思われたのか、騒ぎも起こらなかった。


「警察だ! 開けろ!」


 鉄の扉が激しく叩かれる。

 誰も出て来ない。

 今頃、眠っているか抜け穴の土のうを急いで運びだしているだろうな。

 スナックにも警官が配置されている。


 警官がダイヤモンドカッターで扉を壊し始める。

 遂に扉が開いて警官が踏み込む。

 俺はその様子を道で眺めていた。


 スナックの方に向かう。

 スナックの裏口からチンピラみたいな奴が出て来て、警官を見ると逃げようとした。

 逃げられないのにな。

 銃火器は所持してない。

 恐らくキャビネットの鍵を持っている奴が眠ってしまったと思われる。

 逃げ出した奴は3人しかいなかった。

 素の力でレジストしたんだな。


 迷いの魔道具は1級品だが、今回使った眠りの魔道具は最下級の品だからかな。

 1級品を使うと、耐睡眠ポーションを飲んでいても、かなりの数の警官が眠っただろうからな。


 次々に手錠を掛けられた奴が出てくる。

 眠っていた奴は何回か小突いて起こしたようだ。

 最下級品だとそれぐらいの眠りの深さだ。


 俺は眠りの魔道具を止めた。

 義士も出て来たが、手錠はされてない。

 だがパトカーに乗せられて連れて行かれた。

 奴のことだから、俺は被害者だとでも言ったのだろう。


 仕方ないので警察署の前で義士が出てくるのを待つ。

 何時間かして義士が出て来た。

 奴はキョロキョロと辺りを見回すと、俺を見つけて走り出した。


「待てよ!」


 義士の逃げる速度の速いことと言ったら。

 だが、慌てることはない。

 魔力痕跡の追跡魔道具があるからな。


 義士の痕跡はビジネスホテルの中に入っていった。

 俺はホテルの中に入り、義士が泊まっている部屋の前に立った。


「ルームサービスです」

「頼んでない!」

「規則ですので中に入れてくれませんか。キャンセルにもサインがいるんです」

「しょうがないな」


 ドアが開いたので、魔道具で電撃を打ち込む。

 義士は気絶したようだ。

 素早く中に入り、義士に奴隷の首輪を嵌める。


「おい、起きろ」

「はい、兄貴」


 お前と兄弟になったつもりはない。

 こいつの尊敬の対象が兄貴なんだろうな。

 まあ、呼び名ぐらい構わないか。


「お前が銀行にした借金は必ず返せ。俺には追加で利子と100万円だ。100万円はおまえの居所を調べるために使ったんだから文句はないな」

「はい、兄貴」

「心配するな。就職先は手配してやる」


 義士をブラックバイパーに連れて行く。

 1階のラウンジで椅子に座る。


「上場企業の社員にしてくれるの? さすが兄貴」

「お前、何が出来る?」

「ええと、人を騙すことぐらいです。ただ3流だと思ってます」

「だよな。お前は詐欺師としては3流も良い所だ。まともな会社員は無理だな」

「はい」


 何、にこやかに笑っているんだよ。

 腹が立ったので小突いた。


「痛い」

「出来ないのを自慢するからだ。さてどうするか。300万円稼ぐのは大変だよな」

「あの、他からも借金してます」

「闇金は踏み倒すにして、いくらだ?」

「1千万ぐらいです」


 これは相当やばい仕事をさせないと返せないな。

 しかも工作員の仕事は無理だろう。

 ポカをやらかすに違いない。

 空蝉(うつせみ)に迷惑を掛けるのもなんだ。


「よし、不思議道具のアイデアを出せ。1個売るたびにアイデア料を支払う」

「ブラックバイパーの不思議道具かぁ。エロい夢を見せるやつ」


「却下」

「エッチな気分になる奴」

「却下だ。なんでそうエロに行く」

「男が金を落とすとしたらエロしかない」


「一理あるが、もっとまともな案が出ないのかよ」

「ギャンブルに使う不思議な道具」


「却下」

「殴られても痛くない奴」


「防具か。悪用される可能性もあるな。銃弾とか防げたら、使い方によっては大惨事だ」

「イケメンにしてくれる道具。ホストになってみたい」


「美容分野か、ありだな」


 ただ、魔道具で美容整形は難しい。

 インテリジェンスブックで検索したが、そういうのはない。

 幻の仮面を被るという方法はあるらしいが、裏社会で使われるらしい。

 禁忌まではいかないが、ほとんどの場所で禁止されている。

 魔道具を作ってもらうことが出来ないな。


「俺って三日坊主なんだよ」


 義士は飽きっぽい。


「知ってる」

「ボタンひとつで運動できたら、やる。ボタンひとつで歯磨きもいいな」


 筋肉を動かして疲れさせるってことでいいんだよな。

 歯磨きは浄化の魔道具で行けるな。

 筋肉を動かして疲れさせるなんて魔法があるものなのか?

 インテリジェンスブックで検索する。

 絶対にないと思ったらある。


 スタミナを奪う魔法がそうだ。

 疲れさせるなんてのがあるとはな。


 よし、これで行こう。

 ボタン一つで運動したことになる機械。

 ボタン一つで歯磨きとついでに体を綺麗にする。


 運動する方の製品は、マジックフィジカル。

 定価10万円で義士には1個売るごとに2千円が入る契約にした。


 浄化は、スライミークリーン。

 定価5万円で義士には1個売るごとに千円が入る契約にした。


 義士はこの二つの製品の担当営業マンになった。

 さあ、ばんばん売れ。

 8千個ぐらい売れば、借金完済だ。

 楽勝だと思う。

 特にマジックフィジカルはジムに通うと考えたら安い。


 でも少し不安なんだよ。

 義士はポンコツだからな。

 抜けている所がある。

 まあ、契約の瑕疵の類はブラックバイパーの法務部署が担当するから、大丈夫だと思いたい。


 平気だよな。

 心配だ。


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