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第31話 アジト襲撃

 異世界に行くとダビル男爵の情報が入ってきた。

 何でも違法奴隷組織を作っているようだ。

 すぐに分かるような悪事を働いているのに、罪に問われないのは、他の貴族に顧客がいるかららしい。

 俺を襲ってきた違法奴隷組織の組員は、この一派みたいだ。


 そんな前から俺に目を付けていたんだな。

 まあ、魔導金属で凄い儲けてたからな。


 魔穴の近くにアジトがあるらしい。

 魔穴ができる前はモンスターと物好きな冒険者しかいないような土地だったからということだ。


「ロバート、悪い、厄介な依頼を出してしまって」

「気にするな。違法奴隷組織は赦しておけない。潰すのみだ」


 じゃあ派手にやるか。

 アジトは地下に作られていた。

 入り口は猟師小屋に偽装してある。


 俺は魔剣を抜くと小屋に剣の光を叩きつけた。

 小屋が木っ端みじんになる。

 残されたのは地下に入るための階段。


 ロバートが先頭で俺がしんがりで進む。


「敵襲!」


 物音を聞きつけたのか、現れた組員が叫ぶ。

 ボウガンを手に持った男達が来て、一斉に矢を放った。


「ふんっ!」


 ロバートが剣で薙ぎ払う。

 矢は一本も刺さらずに地に落ちた。


 俺は魔剣を抜いた。

 天井に穴が開く。

 ボウガンを持った男達は武器を捨てて降参した。


「まあ、こんな物だ」

「リーダー、矢を払っただけでは自慢じゃない。降参したのはクラモトの魔剣の威力のおかげ」


 降参した奴らを結束バンドで縛る。

 この結束バンドは日本から持ち込んだ。

 高純度の魔力があるので、魔法陣を描いて魔道具化してある。

 効果は魔法を使えなくすること。

 込められた魔力量が多いので、普通の人間には破るのは無理だとのこと。


 地下はアリの巣みたいになっていた。

 部屋を覗くと、拷問の器具があった。

 使われている感じはないのでほっと胸をなでおろす。

 奴隷の首輪を嵌めれば、拷問の必要はないからだろう。


 この部屋は武器庫だな。


「ロバート、全部やるよ」

「いいのか? 金貨10枚はいくぞ」

「そんなはした金は要らないよ」


「くっ、一度そういう台詞を言ってみたい」

「クラウ、山分けだ」

「リーダー、太っ腹」


 次の部屋は執務室だった。

 書類を全部ロバート達が魔道具に収納する。

 金庫もあったので金庫ごと収納。


 次の部屋は寝室だった。

 特有の匂いが立ち込めている。


「ヤリ部屋だな。奴隷の味見をしたんだろう」


 ロバートがそんな解説をしてくれた。


「可哀想にな。何人が犠牲になったか」


 俺は手を合わせて黙とうした。


「こんな場所は出ようぜ」

「ああ」


 次の部屋は奴隷の首輪の保管場所だった。


「俺達はこれは要らない」

「ありがたく貰うよ」


 日本で赤い国旗の工作員とか捕まえたら使ってみよう。


 そして、一番奥に牢屋を見つけた。

 中には捕まった人達が入っている。

 今、助けるからな。


 俺は魔剣で鉄格子を斬った。

 だが、奴隷の首輪が嵌っている。

 牢から出るように言ったが誰も出ない。

 きっと、命令されているんだな。


「どうやったら首輪を外せる?」

「嵌めた奴しか外せない」


 俺は奴隷の首輪に結束バンドを付けた。


「これでどうだ」

「おう、首輪の魔力が無効化されている。よし、外してみよう」


 ロバートが短剣で首輪を斬った。

 爆発はしない。

 良かった。

 これでこの人達は助かる。


 助け出された人はみんな震えていた。

 そして俺から遠ざかろうとしている。


 魔剣が恐ろしいらしい。

 そんなにか。

 俺は理由もなく一般人は殺さない。


 組員は全員捕まえた。

 魔穴そばの宿に引き上げて、しばらくしたら。

 壁に穴が開いた。


 報復らしい。

 俺は魔剣を抜いて、穴から入ってきた男達を塵に変えた。


 物騒だな。

 穴から出ると、震えている男がいる。


「殺さないで! 案内しろとだけ言われたんだ!」


 早くも迷いの魔道具の欠点を突いたか。

 異世界人の方が魔道具に対する知識が豊富だということだろう。

 日本ではまだ迷いの魔道具は破られていない。


 ロバートがやって来た。

 音を聞いたのだろう。

 ロバートは同じ宿の別の部屋に泊まっていた。


「こうなると思ってたぜ」

「犯罪組織なんてどこも似たようなもんだな。舐められたら終りとでも言うんだろ」

「違いねぇな。捕まえた組員は尋問しているから、芋づる式にいずれなるだろう。こっちの領主様は間抜けじゃないからな」

「時間の問題か。じゃあ、耐えるとしよう」


 それから何度も襲撃があった。

 魔剣に勝つ奴はいなかったが。

 襲撃と同時に塵にしたからな。

 中には手練れもいたんだろうが、口上を聞いてからなんてちんたらはやってやれない。

 先制攻撃がジャスティス。


 寝る時はさすがに起こされたら嫌なので、日本に帰った。

 そんなことを3日も続けていたら、尋問が終わったとの知らせが届いた。

 これから逮捕祭りになるらしい。

 領主は王族に許可を貰って関係している貴族も逮捕できるようにしたようだ。


 仕事が早いな。

 そして有能だ。


 逮捕祭りには参加しない。

 手柄を奪っても仕方ないからだ。

 俺への襲撃は減っていき、ついに襲撃は途絶えた。


 方がついたというか。

 俺にかまっている余裕がなくなったのだろうな。


「護衛依頼は終了だな。クラモトがほとんど片付けたから楽ができたぜ」

「ご苦労様。次も何かあったら指名依頼を出すよ」

「そうしてくれ」


 俺の工場も被害がなかったようだし、一件落着か。

 工場には許可のない者が入れないように迷いの魔道具を設置してあるからな。

 工場はいま俺の生命線だ。

 あそこには魔道具にするための魔導金属などが備蓄してある。

 それを爆発させられでもしたら街が吹っ飛ぶ。

 だから、警備は厳重にしてある。


 さて、日本に帰ろう。


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