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第十六章 神の力を持つ者

第十六章です。今日は少し文字数が少なめになっています。是非お読み下さい!

「さあ、答えを聞かせてもらおうか」



王子は跪くコールとスピネルに問いかける。


「考える時間はいくらでもあったはずだろ?悪いがこれ以上決断を先延ばしにするほど、僕は優しくないんでね」


「・・・・・・」


スピネルはコールのほうを見る。


「・・・・・・」


コールはゆっくりと顔を上げて、王子の目を見て聞いた。



「感情を取り戻す方法が・・・・・本当にあるのか」



「ああ、ある」


王子はその質問に自信を持って答える。


「そんなに自信を持って言える根拠がどこにある」


「それを聞いてから答えを出したいのか?」


「その通りだ」


「うーん・・・・・・」


王子は顎に手を当てて少し悩んだ。そして息を少し吸った後に


「いいだろう」


と立ち上がった。


「その理由を聞いたら、君は迷わずに答えを出してくれるか?」


「・・・・・・おそらく・・・・・・」


曖昧な返事に、王子は鼻で笑った。


「いいだろう。ついてこい」



二人が案内されたのは、広めの豪華な部屋だった。


「ここは・・・・・」


「俺の部屋だ」


「お前の部屋?でかすぎだろ!」



「王子様と呼べ!王子様と!」



後ろについていた女がまたスピネルに拳を食らわせた。


「何故俺たちを王子さんの部屋に連れて来たのですか」


コールは拳を避けるために丁寧な言葉遣いで聞いた。


「ああ。その答えは、奥の隠し部屋にある」


そう言うと、王子はベッドの横にある本棚を横に動かす。



ギイイイイ・・・・



本棚の奥は確かに小さな部屋が存在していた。


「さあ、入れ」


四人は暗い部屋へと足を踏み入れる。すぐに女がロウソクの火をつけてくれたおかげで、足元までよく見えるほどには明るくなった。


「これを見ろ」


指された場所を見ると、壁一面にサイズがバラバラな紙が貼られているのが確認できる。

それは地図であったり、手書きで書かれているものもあった。


「これは?」


コールが紙の内容をじっくりと確認しながら聞く。


「現在のモルガナイト王と、モルガナイト全域の細かな情報をまとめたものだ」


「・・・・・・」


コールが王子を睨む。これは、モルガナイトとマラカイトが敵対している証拠だろう。

これだけ見ても、いずれマラカイトがモルガナイトに攻め込んでくるのは明らかだ。


「最初の目的は、モルガナイト王を倒すことではなかったんだ。それ以上に重要な目的があって、どうしてもモルガナイト王の情報が必要だったんだ」


「ほう。それは一体どんな目的なのでしょうね、王子さん?」


「それは追々説明していこう。だが、君の問いに答えるのが先だ」


そう言って王子は、紙を順番に指さしながら説明を始めていく。


「僕はその別の目的のためにモルガナイトの歴史を調べていた時に、ある重要な文書を発見した。その一部がこれだ」


二人は王子が指さした紙の内容を読む。



「初代モルガナイト王が授かった神の力について・・・・・・?」



「ああ。その文書には、初代モルガナイト王が何故国を統べ、そして何故今まで国が滅びることなく続いてきたのか・・・・・その秘密が詳しく書かれている」


「だが・・・・・神の力っていうのは一体・・・・・」


「太古の昔から、天には神々がいると信じられてきた。長い年月を経た今でも、その信仰は根強く続いている。だが、神は本当に実在するのか・・・・・そう疑問に思う者も少なくない」


「俺らだって、神なんざ信じちゃいねえよ。誰も見たことも、声を聞いたこともねえんだからよ」


「ああ、君たちはそうかもしれないね。だが、初代モルガナイト王は神と直接会ったことがあるらしい」


「はあ?」


「この文書には、ハッキリと『初代モルガナイト王は神に直接お会いし、神の力を授かった』と書かれている。つまり、彼はシェルなんだ」


「シェル?」


「シェルとは神から授かりし力を持つ者のことを示す言葉だ。この文書には、この言葉が何回も出てくる」


「シェルだか何だか知らねえが、そんなのデタラメに決まってんだろ?嘘を書いた可能性だってないとは言えねえぜ」


「いや、これは真実である可能性が高い」


スピネルは首を傾げた。


「なんでそう言えるんだよ」


「この文書を書いた者は、初代モルガナイト王の側近だったからだ」


「だったら余計に怪しいじゃねえか。尊敬する王の偉業を大げさに書いたかもしれねえだろ。大体、神なんかにそう易々と会えるもんかよ」


すると王子が意味ありげな不気味な笑みを浮かべる。二人が次の言葉を聞かないほうがいいのでは、と思ってしまうほどだった。


「神に会える者は、そんなに特別だと思うか?」


「あ、当ったりめえだろ・・・・・」


「なら、僕をもう少し尊敬したらどうだ?せめて敬語で話すくらいはするべきだろ?」


「はあ?どういう意味だよ」


「はははっ。コールなら、もうすでに僕の次の言葉が分かるんじゃないか?」


コールは口をつぐんだ。分からないわけではない。自分の予想が外れてほしいと思っているのだ。

その気持ちが分かったようで、王子はニコニコしながら何回もうなずいた。


「そうだよ、コール。君の予想は当たっているよ」


そう言うと、王子は二人の耳元でそっと囁いた。




「そう。僕も神から力を授かりし者、シェルの一人なんだ」


今回も最後まで読んでいただきありがとうございました。


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