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第一話―1

目が覚めると見知らぬ部屋にいた。

「ここは……?」

草薙雅哉が仰向けになっていた体を起こし、起き抜けでよく回らない頭で状況を整理しようとすると、

「もう起きたの?」

と、女性の声が聞こえた。

声のした方を向くと綺麗な女性が開いたドアの向こうに立っていた。

長く艶やかな黒髪と怜悧な風貌をした少女は、雅哉の座るベットに歩き出した。

「あなたは……?」

どこか見覚えがあるのだがまだ覚醒しきっていない頭では思い出せず、雅哉は少女に尋ねる。

すると少女はショックを受けたような顔をして、

「私のこと忘れたの雅ちゃん?」

悲しげにそう聞いてきた。

「えっ……もしかして里奈義姉さん?」

雅哉が久し振りに聞いたあだ名で誰かを思い出しそう聞き返した途端、少女――草薙里奈は悲しげなから一転して満面笑みで雅哉に迫り、

「そうよ、やっぱり覚えててくれたのね」

雅哉の後頭部に手を回して、思いっきり抱き締めた。

「なっ!?ねっ義姉さん!やめて下さい!?恥ずかしいです!」

突然の抱擁に驚き、里奈の豊満な胸を顔に押しつけられ、雅哉は真っ赤になってもがく。

「やだ。随分会えなかったし、誰も見てないから、安心しなさい」

「で、できないよ!」 恥ずかしげもなく言う里奈に、雅哉はさらに濃く顔を染める。

「雅ちゃんは嫌なの?私に抱き締められるのが」

どこか寂しげな顔で聞いて来る里奈に雅哉は、

「嫌じゃないですけど……」

しどろもどろになりながら事実上の敗北宣言をする。

「じゃあいいわね」

笑みを濃くした里奈はさらに強く、雅哉を抱き締める。それは当然、雅哉にもっと強く体を押しつけるということで、

「うわっ!義姉さん!胸が!」

強く顔に胸を押しつけれた雅哉が、全身の血液が頭に回ったかのように真っ赤になりながら悲鳴をあげた。

そんな雅哉の悲鳴に耳を貸さずに、里奈はさらに強く雅哉を抱き締めるのだった。

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