プロローグ
まだ二度目の執筆なので拙いでしょうが楽しんでくれたらうれしいです。
夜空に月が上っているのがよく見えた。紅く禍々しく輝く月が。
少年の目の前には異形。触手が沢山生えた、獅子の様にも見えた。
しかし、大きさが尋常ではない。
身の丈10m以上はあろうか。前足一本だけで自分二倍以上の大きさがあった。
その異形は紅き月光を降す月に向かって、雄叫びをあげた。
その瞬間、心臓を鷲掴みにされたと錯覚してしまうような、悍ましい声と凄まじい衝撃が襲ってきて、気付けば足が地面から離れていた。
「――――」
悲鳴をあげたが耳に届かない。
5秒ほ飛んだだろうか。また凄まじい衝撃が全身を襲ってきた。地面に叩き付けられたのだ。
そのまま何度か跳ねて壁にぶつかることでやっと止まった。
何度も回転したことと、ぼろぼろになった全身の痛みで意識が朦朧とする。
それでも立ち上がって逃げようとしたが、体を動かした瞬間、
「げふ……!?」 血と吐瀉物が喉からせり上がり、口を押さえることもできずにそのまま吐き出す。
喉を押さえたいが、もう腕を動かすことも出来ない。
低い唸り声をあげて異形が迫ってくる。
かなり飛ばされたが、あの大きさならすぐにここまでくるだろう。
そして、自分に止どめを刺す。
(もうどうにもならない。僕はここで……)
己の死を自覚すると急に全てがどうでもよくなった。
少年は消えようとする意識に逆らわず、二度と覚めない眠りに着くことを決め目を閉じた。
ただ一つ気になったのは、視界を完全に閉じる前に、辺りが暗くなったように感じたことだった。