プロローグ
世間から口をそろえてお金持ちだと言われる家庭で、僕、真土冬狐は双子の弟として生まれた。双子の姉である千冬は、僕を赤ちゃんの頃から変わらずかわいがってくれて、今の今までずっと一緒にとても仲良く過ごしてきた大好きなお姉ちゃんだ。
そんな僕たち二人があと数ヶ月で小学校を卒業というところで、僕に衝撃が走った。
「えっ!?お姉ちゃん、女の子だけの中学に入学するの!?」
「うん…ごめんね、冬ちゃん。お母様から、この学校に入学するよう言われたの。」
「やだやだ!僕、お姉ちゃんと同じ中学校に行きたかったのに!」
お姉ちゃんが男子禁制であるお嬢様学校に進学することになったらしい。
それにどうしても納得できない僕は、お姉ちゃんに泣きついて必死に訴えているところだった。
「でも、冬ちゃんは男の子だから入学できないよ」
「じゃ、じゃあ!僕が髪を伸ばして、女の子の服を着て、女の子の喋り方をすれば入学できる?」
「うーん??そういう問題じゃないからなぁー。まぁ、冬ちゃんが女子制服の格好で恥ずかしがってるのは見てみたい…ごほんっ。じゃなくて。冬ちゃんは生まれた時から男の子って決まってるからね。それに、今はまだかわいいからいいけど、そのうち男の子らしく、かっこよくなっちゃったら目立って困るから。」
未だ引き下がる気のない僕はさらにムキになって叫んだ。この時は内容など気にしておらず、どうにかお姉ちゃんと同じ学校で過ごしたいという願望から、ほとんど勢いに任せて言ってしまっていたと後から思う。
「ならないよ!僕は少なくとも3年間このままでいる!髪だって切らないし普段から女の子の格好しても嫌がらない!お姉ちゃんと違う学校なんて、それ以上に、絶対嫌だ!!」
お姉ちゃんは少しの間困った顔をして悩んでいたが、
「…喋り方とか、一人称から変えないとだめだよ?」
「うん。」
「制服着てほし…着なきゃだめだよ?」
「うん…!」
「周りが女の子だけでも、文句言わずに仲良くしなくちゃだめだよ?」
「うんうんっ。」
僕には敵わないと諦めてくれたのか、苦笑混じりに続けて言った。
「それじゃあ、お母様にお願いしてみたら?色々と決めるのはお母様だし。まぁ…このお願いはさすがにどうにもならないと思うけど。」
学校職員の人にもいつかはバレるんじゃないかな?そもそも最初から断られるだろうし…
お姉ちゃんは続けてぼそぼそ何か言っている。でも、その場を去ろうとする僕を止めようとはしなかった。どうせ叱られて終わるだろうから、とか考えているのかもしれない。
兎に角、言ってみなくちゃ分からないよね。僕はポジティブに考えながらお母さんの居る部屋に走った。そして、迷いなく声を張り上げて叫ぶ。
「僕、女の子になるっ!!!」




