いいの?
着替えをしつつ、那月の電話もかけていた。
話とは、なんだろう…
もしも、この前の告白の返事だったとしても、オレは後悔しない。
たとえ幼馴染がそこで終了するとしても、それでもオレは、いい。
そもそもが、オレが那月と幼馴染になったことですら、奇跡みたいなものだから、むしろ幼馴染になれただけでも、大感謝なのだ。
ところでオレは、なぜ着替えているかって?
バイト遅刻かよ⁉︎って?
いいえ、今日は休みですってば。
じゃあ、買い出しかよ?って?
いえ、行くのです‼︎
那月の元へ向かいたい。
こんなに何度も着信をくれていたんだ。
たとえ告白がごめんなさいでも、それとこれは違う。
オレはきちんと那月にあって、謝りたいんだ。
何度も電話くれてありがとうって。
そして、かけなおさなくてごめんってさ。
まぁ、那月もごめんっていうんだろうな。
告白のほうで…
お互いごめんなさい祭りです。
「もしもし…」
‼︎
繋がった!
「あ、那月!ごめん…留守電聞いた」
「…うん」
「でさ、那月は…今日少し時間ある?」
「…あるよ。なんで?」
「話があるんでしょ?直接会いたいんだ…やっぱりダメかな?」
…
…
沈黙ー…
これは、もうダメ決定やん…
「あ、嫌なら…無理に…とは言わないんだけど…」
…
「いる」
⁉︎
「えっ⁉︎いる?どういうこと⁉︎」
思わずアパートの窓の外みちゃったよね。
でも、うちのアパート知らないか…
…
「え、那月…いるってどういうこと⁉︎」
「…冬季の大学の最寄駅…きちゃった」
⁉︎
なんだって⁉︎
那月がわざわざ出向いてくれただと⁉︎
「今、行く‼︎そこで待ってて‼︎すぐ行くから‼︎」
「え、うん…」
オレは、超高速で走った。
よかった、痩せておいて。
めっちゃ早く走れる。
まぁさ…
フラれるのわかってて、フラれるために全力で走るオレもどうかしてるけどさ…フラれるために全力で会いに行く‼︎
いいんだ
でも、いいんだ。
どんな理由にせよ、那月がわざわざオレに会いに来てくれたことが、なによりも嬉しいんだ。
これからはじまる、ごめんなさい祭り。
まさかオレの大学の最寄り駅で開催されるなんて、想像もしてなかったぜ。
これから大学に行くたびに、めっちゃ思い出すんだろうなぁ。
あぁ、オレ…この駅で幼馴染にフラれて、幼馴染も解散したんだよなぁってさ。
思い出って…
すごいな。
過去を振り返る脳内タイムスリップやん…
あ、オレって知らない間にタイムスリップできてるんじゃね⁉︎
ってさ、そんなこと考えている場合じゃないんだ。
今は、いかに早くワープできるかかを考えなくては!
とにかく、早く早く走るのみ‼︎
てかさ、意外とオレのアパートから駅って、近いんだよね。
あっという間についた駅。
「那月!」
「冬季…ごめんね!」
…
ついて早々に、ごめんなさい祭りが始まった。
「え、あ…ううん。全然大丈夫だから」
「ほんとに?突然きて迷惑だったよね。電話も何回もしちゃって…」
あぁ、まずはそっちのごめんねか。
「全然だよ。それよりオレの方こそ、電話でなくてごめん」
「ううん、何度もほんとにごめんね。嫌だったよね…」
「全然だよ。むしろ那月だって知ってたら、すぐかけなおしたんだけど……ってかさ、なんでそもそも、違う番号から?」
「それが、携帯を川に流しちゃって」
「え、なんで?」
「なんかね、冬季とバイバイしたでしょ。で、帰り道携帯を手に持ってたら、スポンって手から抜けてそのまま川に携帯が飛んでっちゃったの」
…
「それは…大変だったね」
「うん。でもね、それよりもその後のほうが大変すぎたかも」
「そうだよね。携帯ないと不便だもんなぁ」
「そうなの。もうさ、どうしよう⁉︎連絡…せっかく今度会う約束したのに…どうしようってね」
…
もしかして…彼氏いたり?
いまさらだけど、那月って彼氏いるんだっけ?
なんか、聞いたような聞いてなかったような?
そもそも春翔とは、なんにもなかったわけだよね。
で…
結局…オレはいつのまにか、ヌルッと告白して…
…
「あ、でさ話って…なんだろ?とりあえずオレの部屋……くるわけないか。どっかカフェで話さない?」
「え、行きたい。部屋…冬季のお部屋…でもやっぱり、嫌か。ううん、いいの。カフェ…行こっか。わたし喉かわいたし。いこ」
…
「オレの部屋…いいよ。くる?」
「え、うん!行きたい!」
きてくれるんだ?
オレの部屋…
まさか、部屋でフラれたりしないよね?
でも、いっか。
那月が、きたいっていってくれたんだもんな。
部屋…とりあえず、いつもきれいにしておいてよかった。
続く。




