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ギネン

一足先にアジトに帰ったオセは中にいた猿の亜人に詰め寄った。

オセ「コレで、連続で2回だぜ?!ケチがつきすぎだろ!?サンジュ!」

サンジュはイスにもたれて目頭を押さえている。オセはサンジュの近くにあった机に変な掛け声とともに飛び乗った。

サンジュ「あの二人のどちらかが凶星の下にあるのだろうが、誕生日、生まれた時間がわからない。占おうにも材料が足りない。」

サンジュはオセを見て続けた。

サンジュ「あの女の顔相は問題ない。あの子。ルーサーはメカクレにしてるから普段、顔相を見れない。お手上げだ。」

オセ「やっぱり、フラロウスだけにしようぜ!サンジュ!俺にはルーサーって子が破滅の使者に見える!」

サンジュ「そう言うな。フラロウスは精神的に脆い、ルーサーのサポートが必要だ、今日もルーサーのおかげで助かった。」

そこへフラロウスから撤退ルートの質問の通信が入る。

サンジュは机に地図を広げてその上に東洋の羅針盤を置いた。

サンジュ『……今回はBルートにしろ、手薄なはずだ。』

サンジュは幽世通信でフラロウスに伝えるとオセに向き直った。

サンジュ「しばらく様子を見よう。結論を急ぐな。」


強盗、傷害事件現場にシエルは呼び出された。

シエル「こんなのは、地区の巡査部長あたりの仕事じゃないのか?」

そんなふうに思えた。繁華街の屋上の邸宅。庭に案内されると、一面、焼け焦げ、焦げ臭い匂いで充満していた。

後ろに続く部下のローラがその匂いに耐えかねて、鼻を押さえる。

ローラ「警部失礼します!」ローラはシエルの尻尾を掴んだかと思うと鼻に押し当てた。

人の体をマスクに使うんじゃない。シエルはため息をついた。

鑑識「何でつけたんでしょうか?この火?」

自分で考えてくれ、そう思ったシエルのヒゲがピクピク動いた。

シエルはハッとした。魔法に反応している。

シエル「まさか、こんなこともするのか?奴は。」

聞けば被害者はここの家の持ち主で、名をソープという。大手の風俗店経営者だそうだ。デリ嬢とお楽しみ中に犯人に押しいられ、顔面をしこたま殴られ、今は意識不明で病院にいる。

シエル「奴は何を盗んだんです?」

鑑識「え?何も取られてないそうですよ?」

シエルは驚いた。何も取ってない?

シエル「え!?じゃあ、犯人は何をしに?」

鑑識「さあ?おおかた、ヤクザの抗争じゃないですかね?」

シエル『奴は関係ない?魔法を使う犯罪者が他にもいる?』

シエルは庭で考え込んだ。

ローラ「警部、中に戻りましょうよ。」

部下の言葉にシエルは中へ戻った。

シエル「……被害者、ソープさんが襲われた現場を見てみるとしよう。」そこにヒントがあるかもしれない。

ローラ「コチラです警部。」

ローラが規制線の間に人一人入れるスペースを作った。

シエルはそこをまたいで部屋の中に入った。

ローラ「うわっ!イカ臭い!」

なんて匂いだ、シエルも顔をしかめる。お楽しみ中、では無いな、しこたま出したあとの匂いだ。

シエルは顎に手を当てて考えた。

鑑識はお楽しみ中に押しいられたといった。

しかし、部屋の中は男の体液の匂いで充満してた。

シエル「何か、あったな。ココに。」

シエルはデリ嬢と警備にあたっていたという男たちの取り調べに参加するため警察署に戻った。


デリ嬢「押し入ってきたのは女です。声からして若いんじゃないかしら?」

取り調べ官「ソイツはなんて言ってましたか?」

シエルはマジックミラー越しに取り調べの様子を見ていた。

デリ嬢「なんだか、許さないとかなんとか?私怖くてすぐ布団に隠れてたから……。」

次は警備の男の取り調べだ。立て続けに様子を見ていたがみんな何かを隠している。シエルはそう思えた。

男「俺は犬の鳴き声と焼ける音に目が覚めて、近くにあった服を着て庭に出たんだ。そしたらそこに仮面をつけた二人組がいて……」

シエル『そこじゃない、家の持ち主の部屋の様子が知りたいんだ。』

シエルは、我慢できずにマイクを取った。

シエル「隠さないで話してほしい、大事なことです。アナタは庭に出る前、どこにいましたか?」

男は動揺する。シエル達はそれを見逃さなかった。

男「へ、部屋、です。部屋で寝てました。」

シエル「そこはどの部屋ですか?」

男「俺たちに割り当てられた部屋だ。」目が泳いでいる。コイツはなにか隠している。

シエル「取り調べを続けて下さい。何か分かったら連絡を。」


フラロウスはねどこのベッドで寝込んでいた。

もう半日そうしている、見かねたルーサーが声を掛ける。

ルーサー「姉さん、気分転換にどこか行こうよ。」

しかしその問いに返事はなかった。フラロウスは背中を向けて壁に向かって寝てるだけだ。たぶん起きてて、寝てるふりだ、タヌキ寝入りは、ルーサーにも経験があった。

ルーサーが落ち込んで、うつむいてるとフラロウスは起き上がった。

フラロウス「そうね、アナタの顔も見せなくっちゃ。」

独り言のように、フラロウスはそう言うとルーサーにも出かける用意をしろという。

ルーサーも急いで身支度をするとフラロウスに郊外の林に連れて行かれた。

そこには小さな手製のお墓が一つあった。立てられた十字架には枯れたお花の環が飾ってあった。

フラロウス「シトリー。見て?私、弟ができたのよ?」

フラロウスは墓の前にひざまずいて、墓の主にルーサーを紹介した。フラロウスはルーサーの頭を脇にはさんで墓前に持ってきた。

フラロウス「どう?きっとハンサムになるわよ!」

良かったね、コレでさみしくないね

フラロウスはシトリーの声を聞いた気がしてポロポロ泣いた。ルーサーは黙って胸をフラロウスに貸した。



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