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13.5 その裏側で

「だから!異国の第三皇女だと言っているだろう?!名前はライア嬢だ!何度同じことを言わせれば気が済むんだ、この無能共!!」


「……ですから、異国の第三皇女様は王子のことなど知らないと言っておられます。というか、第三皇女様はまだ5歳になられたばかりですよ?自国から出られた事もないのに、どうやってあなたと運命の出会いとやらをするんです?」


「ご、5歳だとぉ?!一体どこの皇女と間違えているんだ?!俺が言っているのはピンクゴールドの髪と海色の瞳をしたライアという名前の……」


「ですから、確かに異国の第三皇女のライア姫はピンクゴールドの髪と青い瞳をしておられますが、まだ5歳で運命の相手どころか婚約者や異性のお友達もおられません。というか、ご自分の立場をわかっていますか?異国の皇帝はライア姫を政略の道具に利用しようとした王子を決して許さないと怒り心頭で、陛下がなんとか許してもらえるように頭を下げているんですよ?!男爵令嬢なんかにうつつを抜かしているかと思えば今度は国際問題……とにかく、しばらくは謹慎しているようにと陛下からの命令です。部屋で大人しくしていて下さい!」


「そ、そんな……」


 バタン!と荒々しく扉が閉まると同時に扉には鍵がかけられた音が響く。どうやら王子は自室に軟禁されるようである。兵士が王子に対してあれほど感情をあらわにイライラするってことは、異国の皇帝の怒りは凄まじいことになっているようだった。










「ふふふ……うまくいきましたわ」


 状況の確認と覗き見のために忍び込んだ王城の天井裏からそっと抜け出し人気のない場所に移動をすると、王子の探し求めていたピンクゴールドの長い髪に手をかけ……ズルリと頭から脱ぎ取った。そして濡れタオルで顔をゴシゴシと擦ると……その顔は王子の想い人ライアではなく、アーシャのものへと変貌したのだ。


「ふぅ~、ずっとウィッグをつけていると蒸れちゃいますわ。それにしてもお母様直伝のメイク術はやっぱり凄いですわ、まるで別人でしたもの。というか、これはもはや特殊メイクですわね」


 アーシャは「あの様子ならわたくしの変装だとは気付いてないですわね」と笑いを堪えながら少し蒸れてしまった髪を風にあてふわりと靡かす。そして数回瞬きをして両目からポロッと鱗のようなものを落とした。メイク術もだが、カラコンの開発に成功していなかったら完璧には変装出来なかっただろう。王子の顔をずっと見つめるのは拷問だったけれど、上手く引っかかってくれてよかったと瞳を細めた。


「さぁ、これでミッション終了ですわ。無事に王子の意識をエトランゼ様からそらせましたし、これで王子の身動きも制限されますわね。

 もう、エトランゼ様成分が不足してしまいましたわ!これだけ頑張ったのですから、エトランゼ様と一緒にお風呂に入ったり一緒に就寝したりして色々となにかを補給しなくては!」


 それまで着ていたドレスも脱ぎ、ウィッグやカラコンと共に穴に埋める。これは特別な繊維で出来ていてしばらく埋めておけば土に還る仕様なのだ。ただし一回限りの使い切りなので再利用は不可である。だから一般には出せないのだが……その代わり証拠隠滅は完璧だ。その他にも、封蝋印の模造品を作ってくれる職人を買収したり、王子のサインを完コピして色んな国に手紙を送ったり……結構な重労働である。


 アーシャは準備していた新たな平民の服を身につけると帽子を深く被り、下町へと繰り出した。


「さてと、エトランゼ様にお土産を買っていかなくちゃ♪これからしばらくは嗜好品が不足しそうですものね」


 こうしてアーシャは、軽やかな足取りで伯爵家へと帰路したのだった。








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