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93話 待機

ダンジョン攻略中は気を張っていたのもあるし、俺が距離を取っていたのもあってエレノアちゃん達とはほとんど会話が無かった。

でも、攻略も終えて待つだけの時間になり全員がタープの下で寛いでいる時間が増えたのもあってそれなりに親しくなった。


「食べる?」

「良いんですか?」

「うん、どうぞ」

「ありがとうございます!」


親しくなったというか餌付けしてしまったというか・・・。


「あ!アンナだけズルいー!」

「あー、皆の分もあるから」

「良いんですかっ?」

「うん」


最初はお菓子は1日に1個までと思っていたが。暇だし、他にする事も無いし、喜んでくれるし。で、いくらでも与えてしまうようになった。

もしかしたら俺はペットを飼ってはいけないタイプかもしれない。


「これってどこで買ったんですか?」

「これは俺が作った」

「えっ?」


今はダンジョン内で暇潰しに作りまくったアイスを振る舞っている。


「作り方教えよっか?」

「アンジー!アンジー!!」

「んー?何?」

「ミトさんがアイスクリームの作り方教えてくれるって」

「あ、アンタ達。またねだったんでしょ」


最初、アンナにアイスを振る舞っていたが何かを嗅ぎつけてやって来たのがロザーナ。

そして、アンジェラを呼ぶ大声に反応してアンジェラとパメラも顔を出した。


「すいません」

「いや、良いよ」

「ほら。アンジーが教わって作れるようになってよ」

「だったらロザーナが教わりなさいよ」

「ウチは料理とかむーりー」

「そうやって私しか出来無いのも問題でしょ」


アンジェラがアンナとパメラの方も見るが分かりやすく2人共目を逸らす。

そう。このパーティーはアンジェラしか料理が出来無い。


ダンジョン内での調理。火を起こして湯を沸かしそこに干し肉を放り込んで塩っぱいだけのスープは作れるがそれ以上は出来無い。そんな感じだった。


「ミトさんどう思いますか?」

「まぁ、そりゃ皆出来た方が良いとは思うけど」

「ほらー?皆、聞いた?」

「ちょっとお花摘みに行ってこよっかな」

「ウ、ウチもー」

「あ、コラ逃げんなっ」


こんな感じでわちゃわちゃしている。

アイスはレシピを書いて後で渡すかな。


気付けばエレノアは全員居なくなったが若いからなのか本当に落ち着きがなくて急わしない。


「お?いいもん食ってんじゃねぇか」

「どこ行ってたんだ?」

「本隊の進捗を聞きに行ってた」

「どうだった?」

「まぁ、順調らしい。もしかしたら調査も早く終るかもって話だ」

「ありがたいな」

「だな」

「拘束期間が短かったからって報酬減らされなかったらの話だけど」

「そんなケチ臭い事しないだろ」

「満額貰ってさっさと帰りてぇな」

「だなー」

「そういや、思い出したんだけどさ?」

「おう」

「俺を同行させた理由として。現地で採集した物をアイテムボックスに入れまくるって話だったろ?」

「おう」

「何も採集してないよな?」

「してないな」

「いいのか?」

「んー、先を急いだから後回しにしたってのもあるが」

「ふむ」

「大した物が無さそうだったんだよな」

「あー・・・」

「どうする?手前の方で大した事無い物の採集しに行くか?」

「どんくらい大した事無い感じなんだ?」

「どこでも取れる。どこも余ってて買い取りは最低額。そんな物しか見当たらなかった」

「ダラダラしとくか。どうせもう待機も終わるだろ?」

「そうだな。あと1日2日ってトコじゃねぇかな?」

「余りにもヒマだったらやっても良いけど。今はまだいいかな」

「ヒマだったら特訓に付き合えよ」

「エレノアとやってるやつか?」

「お前も入った方がやれる事が増える」

「気が向いたらな」

「向かなそうだな」

「多分、向かないな」


待機中、やる事も無いので日に2-3回エーリッヒがエレノア達に稽古を付けている。

1対1の戦いならエレノア側に軍配が上がると思う。

それが真っ当な戦いなら。


でも、それが対人である以上、数値では表せない部分の強さがモノを言ったりする。


若いからか真面目だからかエーリッヒのフェイントにバカ正直に引っかかっていたり。

駆け引きという部分がエーリッヒの圧倒的なストロングポイントで。

対人なんてものはそんなストロングポイントの押し付け合いが勝敗の鍵を握る重要なファクターになる。


例えば、タンクでパワー型のロザーナ。

2人がぶつかり合えばロザーナが押し勝つがタイミングをズラしたりいなしたりバカ正直にぶつからない。

もうその時点で勝敗は決する訳だ。


スピード型のパメラには接近戦に持ち込みスピードではなくパワー勝負に持ち込む。

これもそれが成功した時点でエーリッヒの勝ちになる。


アンナは冷静に落ち着いて分析する後衛タイプなので接近して常に選択肢を迫られるとテンパる。

そうなると結果は時間の問題だった。


アンジェラはなんでも卒なくこなす。悪く言えば器用貧乏。

エーリッヒ曰く自分と良く似たタイプとの事で思考パターンも似ているから余裕だと言っていたが。

それは本当だったようで、常に先回りをしてねじ伏せていた。



そんな感じでエーリッヒ対エレノアは経験の差がモノを言いエーリッヒの完勝だった。


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