68話 晴れて
翌朝、目を覚ますと宿のベッドに居た。
が・・・どうやって帰って来たのか記憶にない。
となると、当然・・・頭が痛い、身体が重い、節々が痛い、胃が重い、吐き気がする・・・。
アイテムボックスから解毒ポーションを取り出し一気に飲み干す。
「ふぅ・・・」
しばらくすれば今の症状も綺麗サッパリなくなるだろう。
でも、あんまりポーションに頼りたくない。
命に関わる怪我だったら迷わず使う。骨折でも使うだろう。
でも、擦り傷や切り傷。2-3日もすれば治るような怪我なら自然治癒に任せた方が良いと思っている。
なので、この二日酔いも数時間もすれば徐々に緩和されていき半日も経てば多少の胃の違和感だけを残して治まるはずなのでポリシーに反するといえば反する。
まぁ、でも・・・しんどかった。
もう一生酒なんて飲まない!と、思える程に辛かったので躊躇う事なくポーションに頼った。
しばらくすると先ほどまでの不調は何処へやら。
むしろ小腹も空いてきて絶好調と言っても過言ではない。
部屋を出て、階段を下り。宿の飲食スペースに向かうと・・・。
「昼にはまだ早いよ」
「あー・・・朝食はもう終わりましたか・・・」
「とっくに終わってるよ」
そうか。もう昼前なのか。
朝まで飲んでたとしたらそんな時間なのも当然か。
アイテムボックスから取り出したホットドッグを咥えながら適当に街を散策。
していたつもりが、気付けばおっさんの家に着いていた。
いや、違う。
そう、俺はジョーさんに市民権がどうなったのかを聞きに来た。
そうだ、きっとそうに違いない。
決して、友達が居なくて無意識におっさんの家に足が向いた訳ではない・・・。
「あ、ミトさん」
「おは・・・こんにちわ」
「かなり飲まれてたみたいですけど大丈夫でしたか?」
「はい、あれくらい全然大丈夫です」
あれくらいポーションの力を借りれば全然大丈夫です。
「普段から飲む方はやっぱり強いんですねぇ」
「ですかねぇ」
「親父はいい加減弱くなって欲しいですが・・・」
「あの人は別格ですよね」
「ですね。今朝もそのまま仕事に行きましたし」
「マジすか」
「朝の仕事を終えたと思ったらひとっ風呂浴びてまた仕事に戻りましたね」
「すご・・・」
「そこが本当に厄介なんですよね」
「?」
「仕事する時はするのに、サボる時は今?ってタイミングでサボるし・・・」
「あぁ・・・」
「でも、終わってみれば人よりも仕事はしてるし、納期も意外にキッチリ守るし」
「責めれない感じですか」
「はい。でも、計算出来無いんですよね・・・」
「和を乱すのに、バランス感覚は良くて最後はまとめる。最終のノルマは達成するけど途中は早かったり遅かったり」
「そうなんです!やり方も訳が分からないので参考にならないし」
天才か天才肌タイプか・・・。
「管理側としては厄介なタイプですよね」
「そうなんです・・・我々の仕事は自然を相手にしていまうすから。杓子定規に事が運ばないのは重々承知しているのですが・・・」
「おっさんは余りにも?」
「はい。田植えのタイミングなんかも。いきなり今年は1週間遅らせるとか言い出したり」
「ふむ」
「理由を聞いても勘としか答えてくれないんですが。結果的に1週間遅らせて正解なんですよ」
「意味分かんないですね」
「勘って経験じゃないですか?その考えに至った経緯を説明してくれないとって思うんですが中々・・・」
なるほどね。
システマチックに管理して。誰でも同じ様に出来るシステムを構築したいジョーさん。
雰囲気と勘で都度対応するおっさん。しかも、理由の言語化が出来無い。
技は見て盗めの職人タイプと最初から説明書を熟読するタイプ。
まぁ、合わないかもしれない。
「ミトさんからも言ってやって下さい」
「わ、分かりました・・・」
俺が言って聞くなら息子の言う事をとっくに聞いてるだろ。
ん?いや、こういうのは意外と他人の方が良かったりするのか?
「あ、そうそう。聞きたい事があって来たんですよ」
「はい。何でしょう?」
「市民権の購入どうなりました?」
「もう済ませてありますよ」
「え?」
「別に難しい事は何も無くて。書類に記入して支払いさえ済ませれば完了です」
「にしても早いですね」
「慣れてますから」
「え?」
「ウチの従業員が市民権を買う時に手伝いをしたいするので」
「なるほど」
それから、立て替えて貰った市民権の購入代金をジョーさんにお支払いして、俺も晴れてオーパスポーカスの住人となった。
ちなみに、その市民権の金額だが。日本円で40万円ほどだった。
これが高いのか安いのは良く分からない。
良くは分からないが、素性の分からない移民をたった40万で受け入れると考えれば安いのかもしれない。
そして、これを払ったら終わりという訳でもなく。毎年人頭税等の税金が伸し掛かってくる。
世知辛い・・・。




