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56話 教唆煽動

「まぁ、そう考えるのが無難だろうなぁ」

「おっさんもそう思うだろ?」

「おう」


ポーカロへの疑念をおっさんも抱いていたようだ。


「正直、アイツってバカだと思うんですよ。元貴族で権力あるなら全部下っ端にやらせれば良いのに自ら乗り込んでたり」

「あー、下っ端が捕まっただけなら知らぬ存ぜぬで通せるからな」

「そう。バカなのにアクションを起こすのが早すぎる」

「バカだから早いんじゃねぇのか?」

「いや、あまりにもスムーズ過ぎる。手際が良過ぎる」

「確かに」

「まだバカと決まった訳では・・・」


と、ここまで無言を貫いていたジョーさんが耐えかねて参戦してきた。


「そこは偏見に満ちた推測ですけどね」

「ですよね」

「こんな簡単に犯罪を犯してる時点でバカなのは否定出来無いとは思いますけど」

「確かに・・・」

「勝手な憶測です。貴族の家に生まれて何を言っても許され何をしても庇って貰えて中身がわがままな子供のまま大人になった。そんなバカだと思ってます」

「貴族はどっちかが多いのは確かだな。子供の頃から大人びてるやつか大人になってもガキのままのやつか」

「これも偏見ですけど。当主になるやつは変わるチャンスがあると思うんですよ」

「あー、あるな」

「当主になった時とか親が死んだ時とか変わらざるを得ないタイミングが」

「今回のやつはハナから当主争いに参戦する資格も無いような継承権も能力も低いやつって感じか?」

「じゃないかなー?って」


と、本人の居ない所で好き勝手ボロカスに言っている。


「まぁ、そんな憶測の話は今はどうでも良くてですね」

「お前が言い始めたのにか?」

「満場一致でアイツはバカって判定だと思うんですよ」

「無視か?そこは、まぁ、そうだろうな」

「バカが思い付きで行動したにしては出来過ぎてると思うんですよ」

「私が裏で糸を引いている。と?」

「そう、そこに戻ります」

「証拠は?」

「無いですよ。強いて言えば状況証拠ですかね?誰が得をするかって話ですけど」

「そんな曖昧な事で責められるのですか?」

「確定事項としては・・・俺の事探りましたよね?」

「はい」

「まぁ、そこは責めないですよ。商人として相手が信用に値するのか金になるのかの調査ですから」

「はい」

「でも、その調査報告書的なやつをアイツの目に触れさせるのはどうなんですかね?」

「忍び込まれた訳ですから・・・」

「そこはアナタの過失じゃないですか?」

「契約は結んでおりません」

「機密保持契約ですか?顧客情報の漏洩をしてる時点で過失だと思いますが?」

「そうですね。誠に申し訳ございませんでした」

「はい、良いですよ」

「へ?」

「今後、関わって来ないならばそれで構わないです」

「ミト様の中で私が主犯だと思われてるのでは?」

「主犯というか、扇動したというか意図的に(そそのか)しただけですかね。教唆ってやつです」


現代日本の法律なら共犯扱いになると思うが異世界ではどうなんだろう?


「こういった場合どうなりますか?」


と、警備隊の人に振ってみる。


「俺も詳しい訳じゃないが・・・教唆犯、もしくは幇助犯になる可能性が高いと思う」

「ふむ」

「どちらも共犯と言って問題無かったはずだが・・・自信はない」

「らしいですよ」

「・・・・・・」

「でも、証拠があって自供すればの話だとは思いますけどね」

「どうされたいのですか?」

「証拠は無い。自供もしないですよね?」

「私が絵図を描いた訳ではありませんからね」

「なので、俺から言える事は無いです。今後、関わるな。俺の周りの人間が迷惑を(こうむ)った場合はなりふり構わなくなるかもしれないぞ。って感じですかね」

「言える事めちゃくちゃあるじゃねぇか」

「うっせぇな・・・」

「って事で、商業ギルドから?ポーカロさん個人から?の謝罪は受け入れた。でも、示談はしない。終了」

「後悔されませんね?」

「しないですね。あ、警備隊の方に圧力が掛かって揉み消されたとしても責めるつもりは無いので安心して下さいね」

「そういう事にはならないと思いたいが・・・」


という訳で・・・折角、入居準備を進めていたのに全部ご破算になった。


「あ、そうだ。おっさん」

「ん?」

「おっさんに紹介されたあの宿な?」

「おう」

「女将が金受け取って鍵渡してたからあの女将も共犯っちゃ共犯だ」

「マジかよ・・・」

「だから、報復に巻き込まれて女将がどうなっても問題無いよな?」

「そ、そうだな・・・」



それからとんぼ返りで宿に戻り。またしばらく世話になると言うと女将は目を白黒させていた。


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