51話 クラブ・デ・リサ
応接室でテーブルを挟みお互いソファに座っている。
そして、ポーカロは俺が登録する気満々で来たと思い込んでたようで。
登録しないと言うと契約書を俺の方に差し出しながらフリーズした。
「え?」
「いや、しないですよ」
「り、理由を伺っても・・・?」
どう説明するか・・・。
「まず、金には困ってないです」
「あって困る物でも無いかと」
「まぁ、でも・・・小銭を稼ぐ為にわざわざ手間を掛けたくないって感じです」
「なるほど」
「それと、何度か商業ギルドに来たんですけど」
「はいはい。伺っております」
「対応がクソ過ぎて商業ギルドとは関わりたくないなって感じだったんですよね」
「どの職員でしょうか・・・?」
「誰とかは別に良いですが全体的に印象は最悪です」
「でしたら・・・」
「はい」
「ミト様が内部から商業ギルドを良くして頂けませんか?」
「はい?」
いきなり何を言ってる?
「お越し頂いた理由ですが。レシピの登録に加えまして商業ギルドへのスカウトが目的でしたので」
「何でまた・・・?」
「アイテムボックスをお持ちだそうで」
「いや、アイテムバッグですね。俺があるのは」
「お見せ頂く事は?」
「貴重品なので人には触れさせたくないです」
「そうですか。アイテムボ・・・アイテムバッグですか。かなりの容量だと伺っております」
「まぁ、そこまでじゃないですよ」
「いえいえ、それだけの容量があればそれだけでかなりのアドバンテージとなるかと思います」
「助かってますよ」
「商人であれば尚の事」
「それはどうでしょうね」
「ウチの職員になって頂けるのであれば私の権限で出来る限りの高待遇でお迎えしたいと思っております」
「そんなに権限なんてあるんですか?」
「こう見えてサブマスターですので、それなりに?」
「まぁ、でも・・・なる気は無いです」
「レシピの登録は?」
「しないです」
「またお誘いする事はお許し頂けませんか?」
「出来れば止めて欲しいですね」
「そうですか」
「もう良いですか?」
「はい、お呼び立てして申し訳ございませんでした」
「では」
アイスクリームの情報が漏れたあたり。おっさんのトコの従業員かその家族からって考えるのが妥当か。
アイテムボックスもその時に一緒に漏れたって感じだろうし。
悪意があった訳じゃなく、こういうやつが居たっていう雑談の中で漏れたって感じだろうか。
商業ギルドがこれで引いてくれれば実害も無く何の問題も無く終われる。
嫌な予感しかしないけど。
商業ギルドに顔を出すという厄介な事を朝イチで済ませたのでこの後はフリーだ。
まずは昨夜軽くアイテムボックスを整理していると色々な物が結構減っている事に気付いた。
小麦とか薪とかは無限になるけど。
それで、減っている分を補充しようと色々と店を回った。
砂糖に卵に牛乳。まぁ、アイスクリームの材料だ。
砂糖は普段使う事は無かったが元々のストックがそこまで無かった上にアイス作りで尋常じゃない量を消費するので一気に無くなった。
牛乳も元々の量が無かった上にアイス作りのメイン食材だから消費量も多かった。
そして、元々はかなりの量があったが旅の途中でもちびちび消費していた卵はアイス作りでトドメを刺された感じだ。
その3種を中心に野菜や果物といった青果を買い足した。
ハムやソーセージにも惹かれた・・・かなり惹かれたが、肉自体はかなりの量がストックされているので我慢した。
まぁ、我慢しきれずに屋台で売られてたフランクフルトを買食いしてしまったが・・・。
そんなこんなで買い物は問題無く欲しい物を補充する事が出来た。
「という訳で、今日もアイスクリームの差し入れありますよ」
「ホントですかっ!?」
「はい。それから、寸胴とか皿も減ってたんで買い足してきました」
「えっ・・・そっちは・・・」
「え?」
「まだまだあるので大丈夫です・・・」
「そうですか?足りないよりは良いかと」
「えっと、あの、置き場所にも困りますし・・・」
「あー、それは確かに・・・」
俺には容量無制限のアイテムボックスがあるからその感覚が薄れてしまっていたかもしれない。
そして!
「そろそろ炊けます」
「おぉー」
毎日、顔を出しているのでこっちで米を炊いて貰う事になった。
宿だと時間指定もあって色々と手間だったのでこっちでやって貰えた方が楽で助かる。
「お櫃に入れていくので」
「はい」
お櫃なんて旅館に泊まった時にしか見た事無いな。
炊きあがった米をマーシーさんが釜からお櫃に移していく。
たしか、お櫃に入れると程よく余分な水分をお櫃が吸ってくれてビチャビチャにならないとか聞いた事がある。
「あ、このお櫃って返した方が良いですよね?」
「あ、いえ。義父さんがミトさんにって作ってくれた物なので」
おっさん・・・。
アンタは本当に有能なのかバカなのかハッキリしてくれ。
いや、スペック高くて有能なバカなのか?もしかして。




