52話 らいじん
今日もマーシーさん作の絶品料理達をアイテムボックスに収納してホクホクで宿に帰ってきた。
商業ギルドを出た時から俺の探索スキルにずっと引っかかっているやつが数名。
商業ギルドを出て買い物をしている最中も付かず離れず。おっさんの家に居る間もずっと家の周りに居て。
宿に帰る時もずっと尾行されていて。今も宿の外には数人がこちらに意識を向けているのが探索スキルに引っかかっている。
アイツらが動くとしたら夜か?目的は?
視線から害意や殺意は感じないし、下手くそな尾行をしている事から監視しろと言われた下っ端数名なんだろうとは思う。
だとしたら、実働部隊は別で動くとしたらやっぱり夜か。
ならば・・・と、アイツらの事は気にせず夜になるまでアイスクリーム作りやアイテムボックスの整理をした。
夜になり、宿で軽く食事を取ってから飲み屋に行く振りをする。
当然、実際には行かず。アイツらがどう動くかを見る為の外出だ。
俺が宿から出ると1人が商業ギルドのある方角に向かって走っていった。
恐らく報告に行ったのだろう。
残りは下手くそな尾行で俺に着いて来ている。
立ち飲み屋の様な店で1杯だけ飲みプラプラと歩き回る。
その間も探索スキルで俺の周囲と宿辺りはずっと探り続けている。
すると、動きがあった。
商業ギルドに報告に行ったやつを引き連れて宿に向かっているやつが居る。
そこで、居酒屋に入る振りをしてそのまま裏口から出て宿へと直行した。
尾行していた下っ端達はまだ居酒屋の前でぼっ立ちしている。
スキルを使って気配を消して宿に入ると女将に金を握らせて鍵を受け取っている場面を見てしまい手が出そうになったが・・・ここは、まだ我慢・・・。
鍵を開け。俺の部屋に無断で入る2人。
と、一緒に俺も部屋に入る。
「探せ」
「はいっ」
「小汚い麻の布カバンだ」
「はいっ」
あちこちひっくり返して探している。
「これか?」
「あったか!?」
「「!?」」
「で、お前ら人の部屋で何してんだ?」
「くっ・・・お前、行けっ!」
「は、はいっ」
と、腰に隠し持っていた短剣を抜いてこちらに向けてきた。
「それ向けたなら殺されても文句無いよな?」
とは言え・・・これくらいで殺す気は無い。
もっと酷い目に合わせてやる気は満々だが。
アイテムボックスから剣を一振り取り出す。
魔王城でパクって来たレアリティが高すぎて売る事も出来ず出番も無い悲しい剣を。
「久々に出したけどやっぱ格好良いな」
「バーカ。狭い場所でロングソードなんか振れる訳ないだろっ」
ご尤も。
「でも、これ・・・ほい」
「ウギギギギギギギ・・・」
下っ端君にそっと剣を添えてやった。
「な、なにをした・・・」
「これ雷神の剣とかってやつで触れると感電すんだよね。って事で」
「ウビビビビビビビビ・・・」
「もっかい」
「ウギギギギギギギギ・・・」
2人共気絶して床で硬直している。
「一応、縛っとくか・・・」
何となく嫌がらせで服を脱がせて全裸で抱き合わせてから動かないように縛ってみた。
これを見たやつの反応がどうなるか期待に胸を膨らませてながら階段を降りて宿の酒場スペースに来た。
「すまん、誰か警備呼んでくれないか?」
「なんだ?」
「強盗に襲われた」
「上でか?」
「そ。で、倒して縛っといたから誰か頼めないか?」
「行ってきてやるか」
「頼む」
階段を上り。部屋に戻ると、ものの2分程で警備隊がやって来た。
「強盗があったそうだな?」
「あ、コイツらです」
「え・・・?」
「いや、武器とか隠し持ってたら危ないから脱がせました」
「そ、そうか・・・」
「ロープが足りなくて個別には縛れなくて。一緒にまとめて縛りました」
「そ、そうか・・・」
「向きに悪意ありすぎんだろ」
「気が動転してて間違えちゃった。テヘペロ。あ、呼びに行ってくれて助かった」
「おう。まぁ、出たトコに居たから何の苦労も無かったけどな」
「後で酒でも奢るわ」
「お?マジか」
「マジマジ。あー、事情聴取とか長引いたら今日は無理かもだけどな」
「あー、確かにな。まぁ、期待せずに待っとくわ」
「ふぅ。で?何があったか聞かせて貰おうか」
「ここで?」
「あ、いや、そうだな。すまないが詰め所に行って警備隊を呼んで来て貰えないだろうか?」
「ん?俺か?」
「うむ」
「まぁ、良いけどよ」
「すまんな」
「その分も奢ってやるから」
「マジかっ。やーりぃ、ちょっと行って来らぁ」
「詰め所でも聞かせて貰う事になるが簡単に聞かせて貰えるか?」
「あー、そうですね・・・」
飲みに行き。気が変わって帰って来たら強盗に出会したと説明した。




