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28年前まで遡る。
エレノアが当時10歳の頃、第一王子の婚約者を決める為の社交パーティーが主催された。伯爵家以上で、婚約者が居ない令嬢を集めたお見合いパーティーでエレノアは運命的な出逢いをした。これは運命だと確信した。この日、私は前世の記憶を思い出した。日本という国に生まれて、虐めを苦に自殺をした私への神様からの祝事。
碧色の瞳に、ライトブルーの髪。一見、冷たい印象を与える彼に、一瞬で恋に落ちた。私の王子様の目に留まるべく一生懸命にアピールをした。のに、ハインリッヒ王子様に選ばれたのは、アシュリだった。許せなかった。顔がひとりも少しだけ可愛いからって何一つ王子様の心を留める努力もしなかった彼女が選ばれたのが許せなかった。私は努力をしたわ、精一杯。ハインリッヒ様の目に留まるように綺麗に着飾って、他の誰よりも頑張ってきた。ただ、ぼんやりと隅にいたあの子と違って。この時、私の幸せを奪ったあの子を惨めに引きずり落とすって決めたわ。
私の愛するハインリッヒ様と結婚までしたけど、計画は完璧だわ。間違った運命を正すだけ。ハインリッヒ様はあの忌まわしい魔女に騙される。目を覚まさせなくちゃならないわね。ハインリッヒ様たら本当にお馬鹿さんなんだから。
茶会の度にひっそりと忌まわしきアシュリにだけにあるものを混ぜて飲ませてあげたお陰様で中々子どもができない。ハインリッヒ様は、側妃は娶らないと仰っていたけど、周りが其れを許さなかった。そこで、私が名乗りを挙げた。全ては計画の上。正妃に子が生せないなら健康な身体の側妃が必要になる。長かった。側妃は未亡人から選ばれる。邪魔な旦那を病で亡くさせて、あくまでも病。私が殺したわけではないわ。旦那の子もいらないから不慮の事故で亡くしたわ。立て続けに愛するひとを亡くした哀れな未亡人。
私は計画通りに側妃まで成し遂げた。これでやっと私を愛してくれると思ったのにハインリッヒ様が私を愛してくれる事は無かった。
何よりも許せなかったのが、忌まわしい魔女に子どもができてしまったことよ。絶対にできないと思っていたのに、私の計画が崩れてしまった。私の幸せを邪魔するアシュリが許せない。魔女のくせに。アシュリが懐妊して、ハインリッヒ様は付ききりでそばにいるから始末することもできない。魔女の子は邪悪な魂をもっているから早いうちに消さなくちゃならないのに、どうして皆気づかないのかしらね。周りもバカばっかりで困っちゃう。私が大変な思いをしている事、分からないのでしょうね。
王子様は、聖女の私の子だけで十分よ。まずは、魔女を始末して、そのあとに、魔女の子も消してあげるわ。私は国の為に邪悪な存在を消してあげているだけ。私は悪くない。
やっぱり運命の女神は聖女の私に味方をした。しばらく宮殿を空けると聞いた。この日をずっと待っていた。
「一緒にお茶会をしない?」
「……ええ」
ミフクラギの木のエキスを少しだけ入れた紅茶を出して飲ませたわ。ゆっくり苦しんで死んでちょうだい。私を苦しめた罰よ。死んだ頃には毒は検察されない。完璧だった。あいつが現れるまでは――。
あいつも運良く知っていたというの。そんな事、あり得ないわ。ミフクラギの毒性がわかったのはほんの数百年前よ。今の時代にミフクラギの毒性が分かる人なんて居る筈はない。この木の特徴を知っている……考えられるとしたら、あいつも私と同じ転生者。もっと早く始末しておけばよかった。
可笑しいとは思った。今思えば貴族らしかない行動ばっかりとっていた。ああ、失敗。リセットしなくちゃ。リセットボタンは何処にあるのかしらね。




