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「あれ? 結局、私は何に転生したのか分からずじまいだわ」
ステラは、首を傾げた。
転生を楽しんでいたら、いつの間に結婚までしている事に気づいた。ゲームや小説ならエンディングを迎えているはずなのに、結局は最後まで知ることはなった。
結婚して二十年の年月が流れた。
ステラは、リュカの綺麗なサラサラヘアーのプラチナブロンドの髪の毛を触るのが好きで日課になっている。
「俺の頭を触って楽しいか?」
「ええ、楽しいわ」
「……最近、薄くなっている気がするだが――」
「大丈夫よ、みんないつかは禿げるわ」
「……そ、そうか」
「リュカ様がバーコードハゲになっても愛せます!」
「そうか。ハゲっても……ん? バーコードハゲ?! そもそも何故? 禿げる前提で話をしている」
「リュカ様のお父様も、ハゲ……薄くなっていますから、きっとリュカ様も同じ運命を辿るかと」
愛おしそうにリュカの髪の毛を触るステラは、実は言うとこの薄くなった髪の毛の触り心地が好きだったりする。
リュカは、愛おしい妻の禿げる発言で、薄毛で悩んでいる男達を集めて、髪の毛を増やす発明に取り掛かる。功を成して、育毛シャンプーが発明し、薄毛に悩んでいる男性陣たちを救う事になる。これは、愛する妻のため、禿げるわけにはいないとリュカの決意の表れでもあった。
ファルシーニ王国では、王妃ステラによる国王リュカへの愛は近隣諸国の間にも行き届き名産物となった。
あの変態的な愛の囁きは聞けるのかと王侯貴族で密かに楽しみになり、隣国を飛び遠く離れた帝国にも届くようになり、ふたりの仲凄まじい姿を見る為に観光客も増え、より豊かな国へと成長をした。
愛と平和を齎せ、男児二人、女児二人の母となり、孫や曾孫に愛する旦那様に囲まれて幸せな余生をおくったと伝えられた。
――「また、私は貴方に恋をするわ」
と、言い残したという。
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時は流れ、千年後。
詠月星。今年から大学生。
新入生代表の挨拶の為に急いでいた。
「めちゃ、金持ちのお嬢様が俺らの大学に来るだろう。俺、狙おかな。逆玉じゃん」
「顔を見ろよ。無理だって俺らには」
「だけどよ、変わっているって聞いたぜ。誰もいないところでひとりで話したり」
「火傷がなければイケメンなのにもったいよな、琉夏先輩」
「ウチ、顔はタイプだったのに」
「だけどさ、皮膚移植したら良くない?」
前を見て歩いていなかった詠月星は、とある男性の背中に顔をぶつけた。
「――っいたあ。……前を見ていなかった! ごめんなさい」
振り向いた男性の顔を見て、詠月星は雷に打たれたような衝撃が走った。
「――綺麗な目! ね、私の婿さんになってください!」
詠月星は、男性の手を握って告げる。
「……は? ――はい!?」
「! よかった! お婿さんをつけたこと言わなくちゃ」
「――婿!?」
「私、急いでいるだった」
「おい、――ちょ……」
琉夏が止めるのも気がずに、名前も知らない女子生徒は走って消えた。残された琉夏と瑠羽久は、女子生徒の後ろ姿を眺めるしかなかった。彼女の名前を知ったのは新入生代表の挨拶のとき。
「琉夏先輩、剣道部なんですね!」
「ああ」
「これ、タオルです。使ってください」
「どうも」
汗を拭く姿もかっこいい!!
〈あのタオル貰っていいかな〉
「それだけは、やめろ」
「ダメなやつだからな」
「――え、私、何か言いました?」
「俺、似たような経験がある気がするだが……」
「俺もだ」
琉夏と瑠羽久か、あるはずの無い記憶が身体で感じた。




