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才色兼備のナナ姫は、恋の作法がわからない!  作者: 日々一陽
第9章 ナナの願いとカツ丼と
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第9章 第3話

「丸田を改心させる方法?」


 僕の質問に天川店長は腕を組んだ。


「丸田先輩は頑固だし命令に忠実だし任務のためなら手段を選ばない男だから……」


 そう言うと、う~んと唸ってまた考え込む。

 任務のためなら手段を選ばない、か。

 命令絶対、会社のド忠犬ってことか……

 ……


 待てよ。


「ねえ天川店長、丸田に出ている指令って何ですか?」

「そりゃあ、ぼくを帝国コンツェルンに連れ戻せって事じゃないかな。勿論、地球の市場を独占して儲けようって魂胆もあるだろうけど」

「で、その命令を出しているのは?」

「う~ん、彼の上司だろうけど、今の組織は知らないんだ。ただ、命令の大元はダーク社長に違いないだろうね」

「ダーク社長か……」


 思いおこせばナナと出会うきっかけも帝国コンツェルンが彼女の命を狙ったからだ。

 それからも事あるごとに僕の平和を脅かしてきた。いや、正しくはナナの平穏を。


「もしかして日向さん、ダーク社長を改心させようとか考えてないよね」


 小柄な天川店長は僕をじっと見上げて。


「それは無理だよ。帝国コンツェルンは惑星開発からお茶づけ海苔まで何でも扱う超巨大企業だ。ましてダーク社長は用心深くて滅多なことでは人前に出てこない。何年もあの会社で働いたぼくですら一度も実物を見たことがないんだ。彼には会うこと自体が困難だ」

「……」


 確かに相手は超巨大企業の社長。それも地球ではなく宇宙の超巨大企業だ。そのトップを見つけ出し、天川店長に手を出すのをやめさせることは極めて困難だろう。

 しかし、だ。

 いくら小物どもを排除しても、元を絶たなきゃ同じ事を繰り返す。


「店長、少しナナを貸して下さい。色々相談したいんです」

「うん、わかった」


 それから10分後、僕とオリエ、月子、そしてナナの4人はショッピングモールのピロティにいた。


「話は分かりました陽太さん。天川店長に手を出さないよう帝国コンツェルンの社長から命令させる、ってことですね」

「ああ、そうすれば全て解決するはずだ」

「だけど、そもそもダーク社長がどこにいるかすら分かりませんよね?」

「ああそうなんだ。だから何かいい手がないかと……」


 ここでみんな考え込む。

 やはり天川店長が言う通り、この計画は無理なのか。


「イグールを利用すればいいんじゃない?」

「えっ? イグールをって、どう言うことだオリエ」


 手に持ったソフトクリームをぺろぺろと舐めながらオリエは平然と。


「ダーク社長は愛娘まなむすめをイグールのきさきにしようと必死でしょ。あの親子はイグールが何かすると必ず現れるはずだわ」


 なるほど、そういう手があるのか。


「イグールを操るのは簡単だよね、お兄ちゃん」

「月子、また媚薬びやくを利用しようって思ってるのか?」

「当然だよ。あっ、だけどイグールは従者の彦太と出来ちゃったんだっけ!」

「いいえ月子ちゃん、あの媚薬効果はもう解けてますよ」

「ホント? ナナねえ、どうして分かるの?」

「実は先日またイグールからメールが来たんです……」


 通りに出たところでナナは立ち止まり、呟くようにそう言った。


「それって、もしかして」

「はい、一緒にお食事でもとか。あっ、勿論速攻で却下しましたけどね。だってわたしは陽太さんのものですから。ぽっ!」

「ぽっ、じゃねえよ。だけど、と言うことは連絡は取れるんだ」

「はいその通りです。しかし……」


 ナナはじっと僕を見つめる。

 彼女が乗り気じゃないことはすぐに分かった。そりゃそうだろう、ナナはイグールをこの上なく毛嫌いしているのだから。


「だったら簡単じゃない。ナナがイグールを利用すれば一発よ」

「やめてよオリエ、わたしは既に陽太さんのものなんだからっ」

「わがままな娘ね。それしか手がないでしょ!」

「しかし……」

「しかしも駄菓子もないわナナ。あなたしかつてはないのよ」

「それはそうかもですけどっ!」


 オリエの言葉に珍しく声を荒げるナナ。


「無理しなくていいんだぞ。ナナはいやなんだろ。イグールとは関わりたくないんだろ」

「いいえ、わがまま言ってごめんなさい。わたしが彼を使ってダーク社長をおびき出します。心配無用です、いい手があります。ただその前にひとつだけ、陽太さんにひとつだけお願いが……」



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