キララ「彼の日の記憶と再会」アキ「久しぶりに会ったな」
前回の話の続き。『心晴ちゃん』の正体がわかりま~す。
Nana「あぁ、心晴ちゃんは―――んぐっ」
Nana、ネタバレはダメダ。
Nana「んん、ングッ、ンン」
分かったかって?
Nana「んっ、んっんん」
Aki「おい、いい加減手を放してやれ」
あっ、忘れてた。
Nana「ぷはっ、はぁっ、はぁ、はぁ―――死ぬかと思った」
いや~、悪い悪い。
Aki「気をつけろよ。Nanaも悪かったけど。それじゃ」
Aki・Nana・Tsubasa「至高なる楽しさを味わいたまえ」
木原心晴―――俺が中学一年のころ三ヶ月の間だけ教育実習できていた先生だ。だが、心晴ちゃん、もとい木原先生はその幼げな顔立ちから先生というよりは近所に住む姉、という感じが強く親しみをこめて心晴ちゃんと呼ばれていた。また、その時の担任は生徒間での人気が低かったため木原生徒の人気が高くなった一因だろう。
閑話休題。そんな心晴ちゃんがどうやら正式な先生となりミユキの担任らしい。
「それにしても、驚いたよ」
「わたしも。小鳥遊ってどっかで聞いたことあるなと思ってたんだけどアキくんだったんだ」
「こっちも、木原って名字でその聞き覚えのある声、心晴ちゃんだったんだ」
俺は心晴ちゃんのやや前をあるき先導しつついう。心晴ちゃんはのっていた自転車を降りて押しながら歩いている。
「でも、成長したね〜。身長がおっきくなってる」
「ははっ、心晴ちゃんは相変わらずかな?迷子になるなんて」
「う、うぅ……なにも言えないや」
「ごめんごめん……と、着いた。ここだよ。自転車は……そこ止めといて」
「うん、ありがとね」
心晴ちゃんは自転車を止める。
「さて、じゃあいらっしゃいませ、木原先生」
「おじゃまします」
俺はカチャッと扉をあける。そこで待ち構えていたのは……
「遅刻のうえ、迷子とわな……木原」
「えっ……!!さ、さ、笹原先生!?」
ニヤニヤと笑みを浮かべる笹原先生を前にして心晴ちゃんは俺を盾にするように後ろに隠れた。
「あの〜、心晴……じゃなくて、木原先生。逃げないでください。あと、笹原先生も。いじめないで下さい」
「別に私はいじめてなどないぞ。なっ、木原」
「は、はい!!」
いや、怯えてんじゃん。なんか、上下関係が透けてみえるな〜。
「とにかく、木原先生は俺から離れて靴を脱いでください。笹原先生もこれ以上脅さないでください」
「別に脅してたわけじゃなかったがな……まぁ、ここまでにしておいてやろう。私もそろそろ出ていかなければならないからな」
そういえば、笹原先生は鞄を持っていた。ということは最後に木原先生で遊ぼうとしていたのだろうか?
「ん〜、どうしたんですか?……って、心晴ちゃん!?あっ、木原先生って、そっか」
リビングからナナが顔を出してきた。
「はっはっはっ、なに変える前に挨拶してただけだ。じゃあな」
笹原先生はそう言うと靴をはく。
「ほっ」
「なんか、いったか木原?」
「い、いえ!!お疲れさまです!!」
「……まあ、いい。じゃあな」
笹原先生は含みのある笑みを残して去っていった。本当につかみどころのない先生だ。
「うぅ、まさか笹原先生がいたなんて……って、それよりもナナちゃん、だよね?久しぶりだね」
「そうですね」
ナナとの再会に先程までの怯えた表情を顔から消した。
「あ〜、つもる話もあると思うけど、先にミユキについて話てもらうよ―――ミユキ、降りてこい!!」
リビングに移動して二階にいるミユキに呼び掛ける。多分、テレビのある部屋がここリビングの他には二階にある洋間にあるだけなのでそこでテレビをみているのだろう。
「なに?アキ兄ちゃん……あっ」
「ミユキちゃん、こんにちは」
木原先生はミユキの姿をみて挨拶する。しかし、返ってきたのは予想外の言葉だった。
「―――わたくしは二階に戻ります」
「なっ、お、おい!!ミユキ!!」
明らかな拒絶。関わりを持とうとしない否定。冷ややかな声におもわず声をあげた。しかし、俺の言葉を無視し降りかけていた階段を上っていった。
「あいつ……ミユ―――」
「いいんです……まず、わたしの話を聞いて」
「心晴……ちゃん」
俺の服をつかみ辛そうな声をあげたのは威厳のある先生ではなく、ただの女の子にしか見えなくて、俺は動けなくなった。
ミユキ……なにがあったんだ……
Nana「これが、この章の第一話で言ってた仕掛けるってこと?」
うん、この話はMiyukiがレギュラーキャラクターとして確定した時から考えていた話なんだ。
Aki「なるほどな」
と、いってもあくまでジャンルはコメディー。あまり重い話にはなりませんよ。それじゃ。
Aki・Nana・Tsubasa「そなたとの契り、またここで会おう」




