第35話 小さな湖
※コピぺ間違えました! 失礼しましたm(_ _)m
「これまでにかなりの量の塩を採掘してきたはずなのに、まだこれだけ塩が残っているんだからすごいよな」
聞いた話によるとミロネス塩湖は何十年も昔からその存在が確認されており、これまでに他国へ輸出した分も含めてかなりの量が採掘されたはずなのに、まだこれだけ塩がある。
ウユニ塩湖は100キロメートル以上も続く世界最大の塩湖だったが、このミロネス塩湖もそれくらい大きいのかもしれない。
見渡す限りが真っ白な塩の地面で、そこから上は青空が一面に広がっている。なんだか遠近感覚がおかしくなってきそうだ……。
「ここまででもだいぶ見ごたえはあるが、聞いた話だと奥の方にもいろいろとあるらしいからな。まずは奥の方へ進むか」
事前に集めた情報によると、この塩湖の奥の方にも見どころがあるそうだ。ここの来る時にチェックを受けた人には数日間はここに滞在すると伝えてある。
帰りは一瞬とはいえ、なにせ広いからな。馬がいればいいのだが、俺の瞬間転移スキルでは馬ごと転移することができないため、ひとりで旅をする他ないんだよなあ。
「しかし今回は秘密兵器がある!」
バックパックの中から用意していたあるものを取り出す。
「異世界版キックボードといったところか。まあ歩いていくよりは多少は速いだろう」
とある工房でドワーフの職人さんに作ってもらったものだ。さすがにこの世界にゴムはなかったので、それに近い魔物の素材で代用してもらった。
ただ残念ながらこの世界の道は前世の道路みたいに舗装されていないので、普通の道ではこいつでまともに走ることができない。街中の石畳ならなんとか使えるのだが、街は人が多くて危ない。馬車も通っているし、貴族とかにぶつかったら面倒なことになる。
この塩湖も乾燥してひび割れた塩の結晶で少し凹凸はあるが、なんとか走れそうである。このためにわざわざこれを作ってもらったのは少し勿体ない気もするが、お金は回すためにあるものだ。それにこの青空の下でおっさんがキックボードで走る経験はそうないだろう。人生なんでもやったもの勝ちである。
「いやあ~気持ちがいいな」
キックボードでしばらく進むと、後ろの景色も完全に見えなくなり、一面真っ白な塩の地面と青空が広がっている。これほどまでに綺麗な景色の中をキックボードで走られるなんて最高だ。
このキックボードはこの場所を想定して作ってもらったため、前後のタイヤが大きく、衝撃を吸収する仕組みを付けてもらったので、多少の段差なら問題なく快適に走れる。これはいい仕事をしてくれたものだ。今度酒精の強いルナベリルの酒を持って親方にお礼を伝えに行くとしよう。
「一応聞いた話だとこの辺りのはずなんだけれどなあ。目印になる物がほとんどないから怪しいところだ」
そう、このミロネス塩湖はすさまじく広く、目印になるものが塩湖の奥の方にある大きな山と日の位置くらいしかない。
ここが塩の採掘として有名だが、観光地としてそれほど有名でないのはそれが理由のひとつだ。塩湖の奥の方に目的のものがあるのだが、そこまで遠い上に下手をしたら道に迷うのだ。
この塩湖で遭難したら洒落にならない……。当然ながらGPSなんてないので、ここで道に迷って亡くなった人もいることだろう。俺の場合は最悪瞬間転移スキルを使って戻れるからこんなに気楽に移動しているが、他の人はもっと方角に気を付けて移動をするのだろうな。
「それにしても、ここまで何も生物がいないと安心できるんだが、少し怖くもあるな……」
ここまで1時間近くキックボードで走り続けているが、魔物どころか植物や虫すらも見かけていない。
というのも、周りすべてが土ではなく塩なので、植物は一切育たない。そして乾燥地帯なので雨は非常に少なく、生物が生きていける環境ではないのだ。
俺としては危険な魔物がいないのはありがたいのだが、ここまで何もいないのは不気味でもあるな。
「おっ、見えてきた。ここもすごく綺麗だな」
そして運よく道に迷うこともなく、目的地へと到着した。
「塩湖の中にある湖か。面白い光景だ」
真っ白な塩の地面の中に大きな穴が開いており、少し下の方に水が溜まっている。
乾燥した地域とはいえ、稀にだが雨が降る。そしてこのミロネス塩湖に大きな穴が開いていればどうなるのか? 答えは俺の目の前にあるように真っ白な塩の中に小さな湖ができるわけだ。
もちろん湖の中にある雨水はすぐに蒸発していくのだが、今は地面から1~2メートルほど下の場所に水が溜まっている。
「これだけ大きな穴がなぜ開いたのはわからないらしいが、ドラゴンや伝説の魔物が作った穴の伝承があるのは異世界らしいな」
俺が見つけられたこともあって、かなり大きな穴だ。一体どのようにできたのかは気になるところだが、このミロネス塩湖ができた時と同様に地殻変動である可能性が高いのだろうな。




