護衛騎士 sideリアラスタ
下品な言葉が出てきます。ご注意ください。
「心配すんな。優しくしてやるぜ?」
卑下に笑ってくる破落戸達が、態と私を怯えさせるように、ジリジリと近づいてくるが、私は特に慌てない。
正直に言えば、彼らが、私に、どうやって危害を加えるのか興味がある。
私は、あらゆる想定をして、この10年、法改正をしてきた。
勿論、今の時点で、自分の思うように全てを法改正、出来たわけではない。まだまだ発展途上。
それに、女性を手篭めにする方法が無いかと言われれば、全く無いとは言えない。法を学べば学ぶほど、抜け道が目立つ。
だからと言って全てを法改正で、修正出来るかと言われれば難しい事も知っている。
だが、法改正で何とかなる抜け道ならば、改正しておきたい。
法改正をするならば、その悪事を詳細に知る必要がある。
私はことの成り行きに任せていた。
表向きは冷静な顔で、顔には出さず興味津々で構えていた。
けれど、私の後ろから、ゆっくりと男が私の前に出ることで、私の思惑は崩れた。
彼は、白を基調とした騎士服を纏っており、精悍な顔つきをしている。
スラリとした長身の男は、筋肉質ではないが均整のとれた体躯で隙がない。
この世界では珍しい黒髪に、アイスブルーの瞳は、冷ややかな視線を破落戸に向けていた。
それと同時に、彼は消していた気配を一気に解放したため、破落戸達は、怯み、数歩下がる。
今の今まで彼の存在に気づかないなんて、破落戸のレベルの低さがうかがえた。
まぁ、彼の気配の消し方が、異常なのかもしれないが。
「まだ、私は、大丈夫よ?」
「私の職務なので、ご了承ください」
私は、後ろに控えていて欲しい言ったが、爽やかな声がそれを許さない。
言葉は丁寧だが、拒否を許さない声を響かせた彼は、ダルサス。
私の護衛騎士だ。
ヨールが、女神様から与えられた守護精霊なら、ダルサスは、神殿から配属された神殿騎士である。
守法人には、必ず神殿騎士がつく。
守法人には階級があり、法改正出来る範囲は様々だが、多かれ少なかれ独断で法改正が可能なのだ。守る必要がある。
私には、守護精霊のヨールがいる為、私に滅多な事が起こることはないが、精霊騎士は契約した人以外に見えないので、対外的に見える形での護衛が必要なのだ。
守法人は、神殿騎士の同行無しでは神殿から外に出ることは許されない。
本来なら私の階級では複数人の護衛騎士がつくのだが、この部屋には、ダルサスしかいない。
破落戸は、一度は怯んだものの、すぐに相手が1人と確認ができ、余裕を取り戻したようだ。
「たった1人の騎士様がいるぜ?
よく見りゃ、かわいい面してるじゃねぇか。
こっちでも楽しめそうか?」
「……」
(あっ。地雷を踏んだな)
ダルサスの気配が数段、重くなった。
ダルサスは、精悍な顔つきだが、よく見れば整いすぎていて、綺麗な顔をしている。本人は厳つい表情をして誤魔化しているが、中性的な美貌の持ち主なのだ。
本人は、そのせいで幼少期に苦労したので、自身の顔を嫌悪している。
ダルサスは、20歳だ。まだまだ血の気の多い年代である。
リデル様は殺生を好まないので、殺す事は無いだろうが悲惨な状況になるのは、目に見えていた。
「ヤレるものならやってみろ」
本来なら爽やかな青年の声は、ドスの効いた挑戦的な声に変わっていた。
本来の神殿騎士は洗練されていて、品行方正だが、ダルサスは規格外。まぁ私も規格外だから仕方ないのである。




