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[2]邂逅

 まどろみの中、パチパチと何かが盛んに爆ぜる音が、曖昧だった私の意識を捉えて現実へと引き戻した。


「――おいおい、生木が混じっているぞ武流(たける)。手を抜くなよ、それと針葉樹が多いな。針葉樹は油気が多くて爆ぜ易いから火床の薪には適していないと教えただろう?」

「んなこと言っても川沿いだからどの木も湿ってるんだよ、時雨(しぐれ)


 続いて若い男性と、もっと若い……まだ声変わりもしていない男の子の声が私の耳に届く。

 年上の男性は渋みのある落ち着いた声音だがまだ青年といったところだろう。少年の方は随分と元気な様子だ。

 それを聞きながら、ゆったりと水底から浮き上がるように、意識が覚醒していくのを私は感じていた。


「……う……」


 小さな呻き声が漏れ、途端はっとした様子で、侃侃諤々(かんかんがくがく)闊達(かったつ)な話し合いをしていたふたりが、同時に口を噤んだ。

 同時に不躾(ぶしつけ)な視線を感じて、私はゆっくりと瞼を開いた。

 ぼんやりと焦点が定まらない視線の先で、赤々と燃える焚き火の明かりが瞳に映る。


「――目が醒めたようだね。大丈夫かい?」

 気遣わしげな青年の声に、仰向けに横になっていたらしい私は、半ば反射的に上体を起こした。

「う……う…ん?」

 両肘で体重を支える形で上体を捻えつつ、腰を捻って声のした方向へと顔を向ける。


 その拍子に体の上に掛かっていた上掛のようなものがズレ、ひんやりとした夜風が私の剥き出しの肩を撫でて行った。

 その寒気のお陰でか、寝惚けていた頭が急速に明瞭になっていくのを感じた。

 途端、「――ぶっ!?」と堪え切れずに噴飯したような音が聞こえて、そちらに首を巡らせれば、十歳か十一歳くらいのツンツンと逆立てた黒髪に榛色(はしばみいろ)の瞳をした、見るからにヤンチャで腕白そうな雰囲気の少年が、わたわたと慌てた様子で、椅子代わりにして座っていた石から転げ落ちそうになっているのが見えた。


 この年齢にしてはやや細身だろうか。動きやすい革鎧に具足を付け丈夫そうな革靴を履いた防人(さきもり)衛士(えじ)のような格好をしていて、腰に一本の剣……いや、緩やかに湾曲した小振りの(かたな)を差している。

 怪訝に思いながら凝視する私と視線が交差した瞬間、少年はなぜか頬から首筋まで真っ赤に染めて、風切り音が聞こえるほどの勢いで大仰に顔を逸らせるのだった。


(なんだろうこの子?)


 不可解な少年の行動に小首を傾げたところへ、

「気分は悪くないかい? この指が何本立っているかわかるかい?」

 横合いから先ほどの青年の声がした。


 言われてそちらへ視線を転じれば、赤々と燃える焚き火を挟んで少年とは反対側にもうひとり、少年同様に一抱えほどの石を椅子代わりにして、二十歳過ぎと思われる生真面目そうな顔立ちの青年が座っている。

 少年と同じような格好だけれど、青年のほうがより上等な身支度なようで、さらには腰には二本の刀を差していた。

 一瞬、兄弟かとも思ったのだけれど、支度以外には髪の色や面立ちにはまったく共通点はない。


 栗色の長髪を高い位置で一本に縛っている彼は、見た目の割りにゴツイ鍛えられた指を三本立てて、私の返答を待っているようだった。

「……三本です」

 状況がわからないので、とりあえず下手に出て素直に答える。

「自分の名前はわかるかい?」 

水月(くらげ)……」うっかり仇名を名乗りそうになり、私は慌てて威儀をただし、その場に正座をしてて言い直した。「いえ、水恋(すいれん)……水に恋と書いて水恋です」

 喋っている間に段々と頭がはっきりしてきた。


「スイレン? 変な名前だなあ……言い辛いんで『レン』でどうだ? 俺のことは『タケル』って呼んでいいからさ」

 横合いから話に割り込んでくる少年を「こら、行儀が悪いぞ」と一喝した青年は、改めて私に向き直って人好きのする柔らかな笑みを浮かべて、安心した様子で軽く肩の力を抜いた。

「大丈夫そうだね。運が良かった。ニ、三日前だったかな? 君より小さな男の子の水死体えびすさんが上流から流れてきて、その子は清めて(・・・)近くの高台に埋めてあげたのだけれど、それ以降、川を注意しながら歩いていたのが功を奏したようだ」


 それはもしかすると、私と赤毛の女の子とで流した男の子だったかも知れない。

 口に出す前に、青年は苦笑しながら言い添える。


「それとお嬢さん(・・・・)。その格好は少々目のやり場に困りますね。ズブ濡れだったので止む無く失礼させて貰いましたけれど、それだとウチの身内が落ち着かないので、私の陣羽織で申し訳ないのですけど、まずは上に羽織っておいてくれないでしょうか?」


 そう促されて自分の格好を見下ろしてみれば、いつの間にか着ていた麻の貫頭衣(かんとうい)は脱がされ、一糸纏わぬ姿の上に上掛け代わりに上等な木綿の外套(コート)が被せられていたようだ。

 もっとも上体を起こした拍子に、自然に肌蹴て臍の下辺りを隠すだけになっているだけだけれど。


(ああ、なるほど……)


 澄ました表情を浮かべながらも、興味があるのかチラチラと最近少し出てきた私の胸元に視線を這わせる男の子。

 恥ずかしいよりも気まずい思いで、私は改めて外套(コート)――陣羽織――をすっぽりと肩から被った。

 成人男性用の外套(コート)は大きく、私が立ち上がっても足首の辺りまでありそうだった。あと、少しだけ汗臭い。


「済まないね。君の着ていた服は絞ってそこの枝に干しておいたけれど、大分(ほつ)れていたので、下手に直すよりもどこかで別な服を調達した方が早いかも知れないな」


 そう言いながら、焚き火の上に太い枝を組み合わせて、自在鍵の要領でできたハンガーに掛けていたダッチオーブンに似た鍋の蓋を開いて、木の枝でぐるりと中身を掻き混ぜる青年。

 冷たい空気の中にもうもうと炊き上がる白い湯気には、久しく食べていない肉の香りが充満していた。

 途端、いままで眠っていた腹の虫も起きたようで、それはもう盛大に自己主張をはじめる。


「――ぶはっ。凄い腹の音だなーっ!」

 我慢し切れず吹き出した男の子の容赦のない指摘に、私は今度こそ羞恥心から赤くなって、羽織った外套(コート)の下で、お腹を押さえて俯くしかできなかった。


「こらこら、武流。女の子をからかうんじゃないぞ」

 ケラケラ笑う少年を嗜めた青年は、私へと申し訳なさそうな表情で頭を下げる。

「まったく……。重ね重ね失礼をして済まないね。遺憾ではあるのだけれど、こいつはずっと周囲に女の子がいない環境で育ったもので、どうにも女性に対する配慮が欠けているもので、困ったものだよ」

「い、いえ。私こそお恥ずかしい真似を……あの、おふたりが私を助けてくださったのですよね?」


 断片的に語られる状況と、最後の記憶から推測をして、どうやら荷馬車から突き落とされた私は追って来た〈鬼怪(もののけ)〉には捕食されず、弾みで山道の脇の傾斜を転げ落ちたらしい。

 そして、傾斜の下には先日通った街道脇を流れる川に繋がる流れがあったと思われる。運良く溺れもしないで流された私は本流へと合流して、偶然川面を眺めながら街道を歩いていたこのふたりに発見され、危ういところを引き上げられたということだろう。


「ありがとうございました。どれほど感謝してもし足りません。本当なら何かお礼か恩返しをすべきなのでしょうけれど、いまの私には生憎と何も差し上げるものがございません……」


 或いは私が妙齢の美女であるなら、体で返すという手もあるのだけれど、その手の趣味もない相手に提案しても逆に失礼というものだ。

 どうせ拾われた命なのだ、この上は私が《長命種(メトセラ)》であることを明かして、高く売り捌けるあて(・・)があるならば、どうぞ煮るなり焼くなりご随意に、とでも言うしかないだろう。


 そう決意した私の覚悟を見透かしたような、透徹した瞳で青年は躊躇なく首を横に振った。

「気にしなくていい。私たちが君を助けたのは偶然の成り行きだし、困っている人がいれば助けるのは当然だよ。ましてや君はまだ子供だ。大人の好意には素直に甘えておくものだよ」

 その言葉に感激しながらも、それでも一抹の猜疑心が混じってしまうのは、短い人生とは言えこの煉獄のような世界での人の有様を目の当たりにしてきたせいだろう。


 私が見たこの世界の人間は、誰も彼もが『自分の得にならないことなど一切しない、卑劣な裏切り者ばかり』であったのだから。そう思った途端、脳裏に荷馬車の荷台から私を突き落とした赤毛の少女の侮蔑に満ちた醜い笑顔が甦った。

 どれほどおためごかし(・・・・・・)を語ったところで、やはりあれがこの世界での人の本質ではないのだろうか? そうした考えは偏見だとはわかってはいるが、幼心(おさなごころ)に強烈に根付いた不信感は、そう簡単に拭い去られるものではない。


 そんな私の警戒感を感じ取ったのか、青年は柔らかく微笑みながら、

「ああ、そういえばこちらの自己紹介がまだだったね。私は『時雨(しぐれ)上弦(じょうげん)』。こいつは弟弟子の『武流(たける)上弦(じょうげん)』。同門である上弦流の〈武士(さむらい)〉ですよ」

「サムライ……?」


 この世界では支配階級は王侯貴族であり、その手足となって働く武装集団は『衛士』と呼ばれていたはずである。その下に民間人から徴兵される『防人』がいるが、『武士』という階級は、ついぞ聞いたことがなかったのだが……?


 聞き間違えかと思って首を捻ると、武流がやや憤慨したような口調で鼻を鳴らした。

「はん! 知らねーのか? サムライってのは『さぶらう者』って意味で、世の為人の為、剣を持って〈鬼怪(もののけ)〉や悪漢と戦う誇り高い一族のことだ」

 それは……つまり、傭兵か或いは前世の創作で御馴染みの“冒険者”のようなものでしょうか?

「まあそのあたりは追い追い説明するとして、とりあえず夕食にしましょう。ま、猪の骨だけ(スープ)に手持ちの干し(いい)(ヒエ)を入れ、塩で味付けしただけのシシ粥だけど。味は保障しますよ」


 再び鍋の蓋を開け、モウモウと充満する白い湯気と猪の香りに、またもや私の腹の虫が身も夜もなく存在を主張し、私は知らないうちにもの欲しげな面持ちで鍋の中を凝視しながら、盛んに首を縦に振っていたのでした。


 * * * * *


 干し(いい)とはいえ米を食べるなど何日ぶりだろうか。


 村に居たときも正月か秋祭りの時にスズメの涙ほど出されたのがせいぜいで、滅多に食べられたものではなく、主食といえば、甘藷(かんしょ)(サツマイモ)に似た味気ない芋。あとは蕎麦と麦、それと胡桃(くるみ)団栗(どんぐり)などを臼で挽いて粉にしたものを捏ねて食べるのが常であった。

 それでも私はまだしも恵まれた立場であり、大多数の村人は生涯に白い米を食べることができたのは、ほんの数えるほど……少なくとも、空腹でひもじい思いをした経験がない私は、確かに特別扱いされていたのでしょう。


「さあどうぞ、遠慮せずに存分に食べてください」


 小刀を使ってその場で即興で作った箸――前世の知識にある二本の棒ではなく、古代の遺跡から出土する長いピンセットかトングのような一本の枝から作られた古代箸である――が添えられた、頑丈そうな漆塗りの御椀に、存分に盛られたシシ粥が目の前に差し出される。

 すぐにでも手を出したかったけれど、助けて貰った上に、ご馳走までしてもらうことにさすがに躊躇して、遠慮する私の心情を察してか、時雨は悪戯っぽく笑って肩を竦めた。


「大丈夫ですよ。食料はまだありますし、銭もあるので次の邑落(ゆううらく)なり、町に着いたところで補充できる程度の〝路銀”もありますから。遠慮せずに好きなだけ食べてください。もっとも、一度に食べるとお腹を壊すかもしれないので、腹七分目に止めておくのが(きち)でしょうけれど」

 重ねてそう言われては好意に甘えないのはかえって失礼というものだろう。

「ありがとうございます。――いただきます」

 せめてもと三つ指を突いて深々と頭を下げる。


 武骨な時雨の手から受け取った温かな御椀と箸を手に、私はすぐに口を付けたいのを我慢して、この集団の頭である時雨が自分の分に箸を延ばすまで待ってから、シシ粥を口に運ぶのだった。

「ふー、ふー……」

 舌が火傷しそうなほど熱い御粥を冷ましながら、一口、二口と猪の骨肉から染み出た出汁(だし)が、芯まで効いているお米を頬張る。

 途端、乾いた地面が恵みの慈雨を吸い込むかのように、旨味と栄養とが疲弊した舌と胃袋に染み込み、()く広がり、体の隅々や心の奥底まで活力が戻ってくるのを自覚するのだった。


「……おいしい」

 ありきたりな言葉だけれどそうとしか言いようがない。

 久々の人間らしい食事もそうだが、何よりも焚き火を囲んで和気藹々と夕食を摂る……そんな当たり前の行為が、何よりもご馳走だと思えた。


 そんな私の感想に、自分の分の御粥を味わっていた時雨は箸を持つ手を休めて微笑みを浮かべ、武流は満面の笑みと米粒を頬っぺたに付けたまま、

「だろう! 俺も作るの手伝ったんだからな。つーか、お代わりっ」

 あっという間に一杯目を掻き込んだかと思うと、半分も食べていない時雨へ向かって二杯目を所望するのだった。


「やれやれ。行儀の悪い奴だな。もっと落ち着いて食べないと勿体ないだろう。水恋を少しは見習ったらどうだ。お前より年下だというのに、きちんと正座をして、食べるにも箸先一寸(三cm)しか使っていないだろう? これが作法というものだよ」

「あー、それ師匠もよく言ってたけどさ。食い物は美味いように食うのが作法だろう。だったらそんなチマチマ食べるよりも、熱々の内に口一杯頬張って喉越しを楽しむのが一番じゃねーの?」

 文句を言いながらも二杯目をよそって渡す時雨に、面倒臭そうに武流が言い返すのだった。

「それは違う。作法というのは他者に対する気遣いだ。不快な態度は厳に慎むこと、これが大事なんだ」

「えー? つーかレン、俺の食いかたってそんな見ていて嫌か?」


 ……ああ、『レン』って私のことか、と思いながら。不意に話を振られた私は、お茶碗とお箸を正座した膝の上に置いて、口の中にあったご飯を飲み込んでから、武流に向かって思ったことを忌憚なく伝えた。


「そんなことはありません。犬食いをしているわけでもないですし、成長期でしょうから男の子がこのくらい健啖家なのは、逆に見ていて清々しいくらいです」

「なっ!」

「『な』じゃない。まったく、調子に乗るから甘やかさないでくれ。年の近い子と触れ合えるこの機会に、少しでも礼儀を叩きこんでやろうと思っていたのに……」

 やれやれと首を左右に振る時雨を前に、悪びれた様子もなく武流はモリモリと二杯目を平らげながら、

「そーはいっても、戦場では食えるときに食えといったのは時雨じゃないか。俺はなんていうか、ほら、常時戦場って奴? あの心構えでいるんだよ。レンみたいなお嬢様の真似できるわけないって」


 見当外れに引き合いに出された私は、御粥を食べる手を休めて、思わず否定しました。

「お嬢様って……私はただの農民の子供ですけれど?」

「「え……!?」」

 その途端に、素で目を丸くするふたり。

「え、嘘だろう。農民の子供とかもっと汚くて牛蒡(ごぼう)みたいなのばっかだぞ。レンみたいに綺麗じゃないぞ」

「――ああ、確かに。正直、貴族や大商家のお嬢様と言われても不自然はないし、そもそも言葉にも訛りはなく、その年で礼儀作法も弁えている、その上話す内容も大人顔負け。それで農民だというのは不自然……いや、少々納得がいかないのだけれど?」


 武流は単純に驚いているだけのようですが、心なしか柔らかだった時雨の目に警戒感が宿ったような気がします。

 何気ない言動が村で馴染まず『水月(くらげ)』と呼ばれてしまった時と同じく、どうやら知らずにまた私は仕出かしてしまったようだ。

 せっかく信頼できる……打ち解けられる人間に出会えたかと思ったのに……。


 忸怩(じくじ)たる思いとともに、

「そ、それはその。両親がもともと都の近辺に住んでいたのと、あとは神殿の助祭様や長老などに教えを請う機会が多かったので……」

 必死に言葉を紡いで言い訳しながらも、絶望がじくじくと膿のように胸の奥から染み出してくる。


 言い訳をすればするほど嘘くさく感じるの自分でもわかることだ。勘の鋭い時雨なら、なおさらそう思って警戒を深めるだろう。

 だが、まさか前世・異世界の記憶がもとになって、いまの私の人格を形成しているから……といった、本当のことを口にするわけにはいかない。そのため、どうしても取り繕った、上っ面での説明に終始するしかないのだ。


 居たたまれなさに、つい一瞬前まで、この上ないご馳走だと思えた食事も、砂を噛んだ様な味気ないものに感じるようになった。


「へーっ、すげー頭良いんだな~。俺なんて勉強とか大嫌いで、いまだに自分の名前を神聖真字(まな)で書けないくらいだけど」


 ちなみに武流のいう神聖真字というのは要するに漢字のこと。だが、もっと完全に同じものではなく、原型の絵文字に近い似て非なる表意記号といったところになる。

 素直な武流の賛嘆を受けて、値踏みするかのような険のある視線を一瞬で和らげた時雨は、苦笑しながら手の止まった私の食事の再開を手振りで促した。


「失礼。性急でしたね。食事時に話すような内容でもないでしょう。せっかくのシシ粥が不味くなる。武流の言い草ではないけれど、食事は楽しまないと損ですからね。どうぞ、おかわりもありますよ?」


 どうやら、無理やり私の秘密を暴くような強硬手段を取るつもりも、それで態度を変えるつもりもない。そう無言で表明してくれた時雨の配慮に安堵して、私はこっそりと小さく頭を下げました。

「…………」

 無言のまま、優しく目配せで了承の意を伝えてくれる時雨。


「んじゃ、おかわり!」

「はあ……っ。お前は少しは遠慮しろ!」


 勢いよく三杯目の御椀を差し出した武流のお陰で、さきほどまでの緊迫した空気は霧散して、私もほっと安堵しながら食事を再開するのでした。

シシ粥は宮崎県椎葉村の名物料理です。

材料は肉を取った猪の骨を羽釜一杯。米、少量のヒエ。塩。あれば葱だけ。

くつくつと煮込んだ骨のスープに塩を入れ、骨を取り出したところへ米とヒエを加えて煮込むだけ。

通常の骨鍋は味噌味ですが、これは塩だけ。最後に葱を入れて完成。

材料はこれだけですが、骨から分離した肉と相まって絶品の味です。


【10/9 更新】

申し訳ありませんが、12:00に更新させていただきます。


2019/5/23 修正しました。

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