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自主退裏話ラスト

そういった趣味の持ち主は貴族の中に割と居たりするのだ。

それというのも、過去最も偉大な英雄が村娘の身代わりとなり、女に変装…つまり女装して油断して近づいてきたドラゴンの首を落とし倒した実話があるからだった。


実際にはドラゴン信仰の村に薬を盛られパーティーごと生贄としてドラゴンに捧げられたのだが、そこでドラゴンを返り討ちにした勢いのまま村を壊滅状態に追い込んだ武勇伝はあまり有名ではない。


話を戻すと、かの英雄が女装していたのだから女装は騎士にとって誰しも一度は通る道であって恥ではないと、いっそ清々しくねじ曲げられた騎士の嗜みである。


万が一の場合に備え騎士団の肌はウルツヤに整えられているとか…。

特に第二王子であるシャルロットは、王宮の女官の中に紛れた戦闘要員の女装近衛騎士と幼い頃から触れ合ってきているので女装をする事に疑問を感じていなかった。


周囲も似合うからイイじゃん?

てな理由でシャルロットは女装している。


騎士の精神をたたき込まれた女装は断じてオカマではないのだとこの国では信じられているが、筋骨隆々の女装家達から指導を受けたが故に道を逸れ、ナルシストになってしまった騎士も少なからず存在する。


―ちなみに、冒険者にはかなりの頻度で女装家が存在するので要注意だ。


「それで、なんでアティアと知り合いになったのかね?」


「どうしても話さないといけませんか?」


「あんなんでも、一応貴族の養女には違いないですからね」


「本人わかってなかったみたいだがな…」


二人も真面目な顔で先を促す。

「…わかりました。全てお話いたします」



ここにきてシャルロットが初めて王子の顔をしてみせた。


「弟に会いたくなって“王家の抜け道”を使ったのです」


「あ、もう話さなくて結構ですよ」


「王家の抜け道なんて知っちゃったら幽閉か死刑になるって知ってるんですか」



「図解で説明させてもらいますと、アティアの部屋のこの辺りに…」


「魔法で空中に書くんじゃないシャルロットっ!?」

「知らん!あー!あーっ!私は何もきいてないぞー?!」


学園長と保険医の二人は耳を塞ぎますわあわあと騒ぎ出す。


というのも、王家秘伝の抜け道は万が一の時に王族が各施設に逃亡するための抜け道である。

当然向こうから来れるなら向こうに行く事も可能である。


しかも、シャルロットのみならず王族のまわりにはかならず複数の護衛が潜んでいるので秘密を知った事を知られたら学園長も保険医も只ではすまない。


「でも二人がどうしてもって…」


「悪かったもう絶対聞いたりしないかないからヤメテクレ」


「聞いてません聞いてません聞いてませんから忘れてください」

保険医が懇願し学園長は動揺を隠そうともしない。


「…で、ちょうどアティアが着替えしてたから知ったのよ。思わず二度見しちゃったけど、あの時だってあの子何にも騒がなかったの、それからね…」


その後も二人の逢瀬を自慢げに話し続けたシャルロットが最後に“何か問題あったかしら?”と付け加えた時天井から“お互い様と言うことで…”とかかれた紙が二人の前に落とされてきた。


「…何もありませんな」


「その様ですね」


「そう?わかってくれて嬉しいわ」


コロコロと笑うシャルロットに学園長は内心“この魔女め”と悪態をついた。



―魔女―

女装家・男装家などに対する隠語


悪女と違い良心的で人的な被害は少ないが、結構なファンがついているので要注意ー

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