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再召喚された勇者は一般人として生きていく?  作者: かたなかじ
再召喚された勇者は一般人として生きていく?

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第二百五十話

前回のあらすじを三行で


アリサの作業

武器配布、まずはディーナとレイラ

次にアトラ……の分もちゃんとあるよ!

「これがアトラの武器だ」

 蒼太が布を取るとその姿を現した。

『これが私の……』

 アトラ専用に蒼太たちが作成したのは、爪装備だった。

「あぁ、銘は双牙。牙じゃないけど何となく響きでつけただけなんだがな。みんなに渡した装備もそうだが、これらは全て持ち主情報を登録する必要がある。それをすることで使用者か作成者でなければ本来の力を発揮することができなくなる。またアトラと古龍の装備は持ち主のサイズに合わせた大きさに変化する仕様になっている」

 蒼太は全員に話しながら、それをアトラへと装備させていく。


『これは……』

 未だかつて、何か武器を身につけるという経験がなかったが、何の違和感もなかったため驚いていた。

「どうだ、すごいだろ? それでもまだ未登録状態だからな?」

 蒼太はアトラに向かってどうだと笑顔を向けていた。

『なんというか……つけていてわずらわしさや、邪魔という感覚は全くない』

「よかった、じゃあ毛を一本もらって……これに登録だ」

 蒼太はアトラの返答に満足すると一本毛をもらい、それを使用して双牙の持ち主登録を行っていく。魔法陣の描かれた用紙の上に毛を乗せると、そこへ魔力を通しそれを双牙へと押し当てていく。


 すると、双牙は淡い光を放ち、それが収まるとアトラの情報登録が完了した。

「今度はどうだ?」

『さっきまでは気にならない自然なもの、という感じだった。しかし、今となってはまるで自分の一部であるかのような一体感を感じる』

 アトラは爪を装着したまま何もない空間で軽く素振りをし、その感覚に驚いていた。

「詳しい使い方はあとで説明する。全員の装備の確認が終わったら外に出て試してくれ……ここだと危ないからな」

 双牙に目をやりながら、蒼太は最後にぽつりと呟いた。


「さて、次に行こう。古龍の装備だ」

 次の包みをあけると、そこには腕輪のようなものが二つ、それに首飾りのようなものが一つ置かれていた。

『むむ? 我の武器をもらえるのではなかったかのう?』

 古龍は予想外のものがおかれていたため、蒼太へと疑問の視線を送る。

「安心しろ、ちゃんと武器だから……といっても、ちょっと使い方が特殊だけどな。これは先に登録をするか、鱗か何かもらえるか?」

『鱗は痛いから爪の先を少し切り落とすのでもいいかのう?』

 古龍の質問に蒼太は頷いて返した。


『わかった、少し待て……』

 古龍は爪を切りやすいようにとそのサイズを少し大きくしてから、蒼太に向けて手を差し出した。

「じゃあ、少しもらうぞ。よいしょっと」

 蒼太はナイフを取り出すと、古龍の爪の先を少し切り落としそれを使用して先ほどと同様の方法で使用者登録を行っていく。それを三回繰り返して光が収まると、使用者登録が完了した。


『ふむ、それで説明をしてもらえるか?』

「その前にとりあえず装備してもらおう」

 蒼太は腕輪を古龍の腕に、首飾りのようなものを首元に装着させていく。これまたアトラの装備と同様に装着している違和感は感じず、むしろ一体感を感じるものであった。

「……よし、いいな。じゃあまずは名前からだな。その装備の銘は三つセットで竜王玉だ。どうだ、王とかつくと何となく強そうだろ?」

 蒼太は冗談のようにそう言ったが、実際のところは過去に蒼太が倒したことのある王種とよばれる竜の王を倒した時に手に入れた核を使用していたための名前だった。


『なかなか適当な言い方だのう……しかし、これは身につけていると力が沸くようだ』

 蒼太が冗談のように言った名前のことよりも、その竜王玉を身につけていることによる効果に古龍は驚いていた。

「そうだ、竜種の能力を引き上げる装備になっている。最初はアトラのように爪だったり、牙だったりにしようかとも考えたんだが……それだとその戦闘能力の底上げに繫がりづらいと思ってな、アリサと相談してこれを作ったんだ。なっ?」

「アクセサリを武器にするって何の冗談かと最初は思ったけど、それならあなたの力になると思うわよ」

 急に話を振られたアリサだったが、その返事は用意していた。


『ふむ、これはこれで素晴らしいが「武器」という部分には納得できんものがあるのう』

「まあ、そのへんは外でみんなに使い方を説明する時にな。武器は終わったが防具とアクセサリの配布と登録の必要があるからな。一応言っておくが、万が一これらの装備が誰かの手に渡ったら危険だから持ち主登録を前提とした装備にしている。まあ登録したほうがさっきから言われているように一体感が違うからいいことではあるんだがな」

 デメリットは登録者以外には使いづらいというものであったが、完全に使えないというわけではなく本来の力を発揮できないだけで単純な武器としては使うことができる。また、蒼太やナルアスらであれば再登録は可能であった。


 そして、次にボグディによって各自の防具が配られていく。装備の登録は錬金術師が行っていた。基本的にそれぞれの現行の装備サイズに合わせていたが、蒼太たちの分も含めて全ての装備に登録者の現行のサイズに合わせた変化をするような細工がしてあった。

 これは特に女性陣からは好評だった。二人は体型の変化を気にしなくていいことを喜んでいたが、本来の目的はレイラが竜人族の姿になった場合などを想定したものであった。また、蒼太もディーナもまだ身体的成長が見込まれるためそれに対する対応でもある。


 アクセサリはアリサが順番に配っていき、カレナが登録していく。そのデザインはアリサが拘ったもので、どれも思わずため息が出てしまうような装飾に凝ったものであった。着飾るためのものではないので決して華美な装飾ではないが、細かい細工が施されていた。


 全員分の配布が終わる頃にはかなりの時間が経過していた。

「これだけの人数で、これだけの装備があると結構時間がかかるもんだな……とりあえず、俺たちは外に行って試してみるぞ」

 ディーナ、レイラ、アトラ、古龍は蒼太について行く。職人三人は作成の疲れからぐったりとしており、ナルアスに案内され休憩に向かっていた。

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