第二百三十話
前回のあらすじを三行で
凄腕の錬金術師?
いざ旅立とう!
街を探索
工房にやってきたボグディとアリサは目の下にクマを作っており、疲れきった顔をしていた。
「な、何とか仕事を終わらせてきました……」
「わたしも……もう、ダメ」
二人はやってくると早々、ぐったりと椅子に座り込んでしまう。
「なんだなんだ、お前らだらしないぞ!」
アントガルは職人三人の中で一人だけ元気だった。
「「お前が(あんたが)言うな!!」」
二人とアントガルは普段から請け負っている仕事の量が格段に違うため、二人からの突っ込みは厳しいものだった。
「まあ、アントガルは俺と武器作りの話をしてみんなでメシ食って、早々に休んだからな。二人と比べたらそれは失礼というものだ」
昨日のアントガルの一日を蒼太が一言で語り、その内容ゆえに二人からアントガルへの視線は更に強いものとなった。
「う、うぅ、すまん……」
自分の立場の弱さを感じ取り、しょんぼりと肩身が狭くなったアントガルは謝罪を口にした。その様子がおかしかったのか、ディーナとレイラはくすくすと笑っていた。
「さて、二人には道中で休んでもらえばいいとして早速出発しよう。せっかく急いで仕事の都合をつけてくれたんだからな……二人は準備できてるか?」
二人の格好が軽装だったことから想像はできたが蒼太が念のため確認していく。
「一応、普段使っている道具一式は持ってきてます。炉さえ何とかなれば、問題なく作業できると思います」
「わたしも道具一式もってきてるわ。やっぱり慣れた道具のほうがいい仕事ができるのよねえ」
二人はそれぞれのカバンを叩き、道具が詰まっていることを示した。サイズから考えてその両方がマジックバッグであることは疑う余地はなかった。
「それなら出発して大丈夫だな。とりあえずこの間の森のところまで馬車で移動だ。その後は、な」
そう言って蒼太は上を指差した。それを見て何を指し示しているかわかっている面々はにやりとするが、職人三人は首をかしげていた。
「わからないならいいさ、行けばわかることだからな。さあ、出発だ」
「アントガルは……預けてあるのかしら?」
アリサはアントガルだけ何も持っていないことに気づいて質問した。
「ふっふっふ、こいつのカバンはでっかいからなあ」
アントガルのそのドヤ顔にボグディとアリサはイラッとしてその頭を叩いた。
「いってえええええ!」
アントガルが大きな声を出して痛みにもだえ転がるが、その他の面々は外に出る準備を始めていた。
「おい、いつまでも転がってないで行くぞ」
蒼太だけが一言だけ声をかけてアントガルの工房を後にする。
「ま、待ってくれよ!」
情けない声を出して追いかけるその様子に、ボグディとアリサの溜飲は下がった。
前回と同じ流れで森に向かうが、このメンバーでの移動に慣れたものでボグディとアリサは道中安心して眠りについていた。
「余程疲れていたんだな……」
「むぐ……」
蒼太が二人を見て言った言葉にアントガルが反応しようとしたが、それは蒼太の手によって止められた。
「余計なことを言って二人を起こさなくてもいいだろ」
その言葉通り、アントガルの声にぴくりと反応を見せた二人だったが未然に蒼太が防いだため、二人は森の奥にたどり着くまでゆっくりと休むことができた。
「それで、ここからどうするんです?」
ボグディの質問に蒼太は再度空を指差した。
「「「?」」」
職人三人が疑問の表情になるが、それに答えることはなく蒼太は古龍に目を向けた。それを受けて頷くと古龍は本来の姿に戻り、背中に乗せる準備をしていく。
「おぉ! 古龍に乗っていくのか!」
「……落ちないですかね」
「全くボグディは心配性なんだから、むしろいい機会じゃない!」
アントガルとアリサは楽しそうだったが、ボグディの表情は冴えなかった。それは、古龍が飛び立つと同時により顕著になる。
「ちょっとちょっと! すごい高いわよ!」
「おー、こんな高さに来ると街が小さく見えるなあ!」
「ごめん、ちょっと、話しかけないで……」
はしゃぐ二人に、顔色の悪いボグディ、対照的なそれを見て蒼太は風の影響を防ぐため防壁を張っていく。古龍の飛行は安定していたため、風の影響をゼロにすることでボグディの顔色はよくなってきていた。
「あ、ありがとうございます」
それに気づいたボグディは蒼太に礼を言うが、蒼太はひらひらと手を振って気にするなと返した。
蒼太は古龍と細かい方向などを相談するために、少し前に座っていた。古龍は蒼太に対して個別念話で話しており、他の面々からは離れていることからそれに答える蒼太の声が聞こえづらく、そのやりとりは聞こえていなかった。
『ふむ、その方向でいいのかのう』
「頼む」
さらに地上から見えないように雲の上を飛んでいたため、蒼太と古龍以外には現在どこを飛んでいるかわからない状態だった。
飛んだまま休憩するわけにはいかないので、地上に降りて休みながらの道中となる。
「うーん……」
何度目かの休憩の時にディーナは何かを考え込んでいた。
「どうした?」
「えっ、えっと……何かこのルートが……」
ディーナは何かに気づいていたが、蒼太の質問に言いづらそうにしていた。
「あー、なるほど。よく気づいたな、まあ別に特別な意味はなかったんだがちょっと考えてることがあったもんでな」
そんなディーナに対して、蒼太の返答はあっけらかんとしたものだった。ディーナは何か隠しているのかと考えていたため、蒼太の反応に拍子抜けしてしまう。
「とりあえず、このまま行くつもりだが何か問題はあるか?」
「いえ、考えがあってのことなら大丈夫です。私が気にしていたのはもしかしたら間違えてるのかな? と思っただけなので」
ディーナは元々確認したかっただけだったため、本来のルートと異なることには特に意見はなかった。
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