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板戸に張り付けられた寝間着の女

 スーと回転もスピードも戻って来た。

 暗い。けど、夜の暗さだ。

 普通の世界に戻ったらしい。

 でもいつもの夜の暗さより深い。

 どこだ? とんでもない田舎かな。

 周りは背の高い草が茂っている。

 彼女は僕を取って走る。

 空は薄青いが足元は漆黒の夜だ。

 足元も定かでないのに彼女は一心に走る。

 不気味が襲って来る。

 引っ張られながら後ろを振り返って見た。

 不気味な闇があるだけだ。

 遠くに火が見える。この距離で見えるなら結構大きな火だろう。

 ちょっとスピードを落とし、先導するからついていく。

 夜空を隠す大きな木の前にお寺みたいな大きな建物がある。

 その前の境内の広場に火が見える。

 板戸みたいなものが見える。

 前に人が大勢いた。

 板戸には人が括りつけられていた。

 白装束だ。いや白っぽい寝間着だ。

 女の人が縛り付けられている。


「だれ?」

「西の婆様」

「えー、魔女?」

「私のお婆様」

 どうしろというのだろう。

「君、こんな能力使えるなら自分で助けたら」

 至極もっともな意見を言った。

「結界が張られていて近づけない」

 じゃどうしようもない。

「異分子なら結界を敗れる。村人の仲間に加わって」

 えー、僕は異分子か。

 むっとしたけど行ってと尻を押された。いや背を押された。

 仕方ない、彼女を振り返り振り返り村人に近づいた。

 そのたびに行けと手をしっしする。

 可愛いのに冷たい。いや彼女も必死なのだろうと言い聞かせた。

 村人の背に近づき、そって輪に加わって座った。

 誰だ! と皆が僕を見た。

 突然白い女が板戸ごとバーンと爆発した。

 次の瞬間には空に浮かんで大きさは3倍くらいになっている。

 僕はひっくり返ったけど村人は忌々し気に空に浮かんだ巨大婆様を睨んでいる。

 婆様は口を大きく開け火を噴いた。

 その火は目の前の火に当たり、火は爆発的に10倍くらいに燃え上がってみんなを襲った。

 アチー、とまさに四つん這いで這って逃げた。

 尻が焼けたかもしれない。たぶん暫く座れないかもしれない。

 まあ大丈夫くらい離れて振り返ると婆様は居ない。

 美少女もいない。


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