助けて欲しいの 来て
全く世の中って変わらないんだな。
学校からの帰り道、昨日と何処か変わっているか。なにも変わらない。
自転車の女子がひっくり返るとか、山根が田中をぶっ飛ばすとか。
日常を変えないといけない。が、出来るのは石を蹴飛ばすくらいだ。それも面倒だからやらない。
いっそ頭に隕石でも振ってこないかな。一瞬で過去ごと消える。なんの思い残すことも無い。なぜなら一瞬で思い残すことは浮かばないからだ。このアリだな。踏みつぶせば一瞬であの世だ。アリにこの身を置き換えるなんてそれも情けなさすぎる。
いつもの道。毎日見ているとボウ―としてくる。はっきりするが道理だろう。見る気もない見るだけ損だ。
ボーとしている中になにかいる。
なんだあれは。
人っぽい。
やけに薄いな。
ここら辺りで誰か死んだのかな。気持ちワリ―。
見るな、見るな。
横を通り過ぎようとしたら、突然塞ぐように前に立った。
ウゲー、スゲー美少女。なんだ! 存在だけで僕の頭を殴るな。
青く長いネイビーブルーの髪の少女がじっと見つめてくる。
瞳は明るいブラウンでどこまでも穢れなく澄んでいる。
それがうるうると涙を溢れさせようかと悩んでいる。
慌てて手で受け止めたくなる。
たぶんポロッと落ちたら迷いなく受け止めに走っただろう。この僕がだ。
「助けて欲しいの」
どんな高額のピアノもフルートも出せない一瞬で虜にさせる声音で言った。
もちろんと跪きたくなる。
でも声はおろかまつ毛も動かせなかった。
手を触れてくる。そんなに近くに寄っていた。
「来て」
手を取られた。
突然全世界が回った。周りが渦になった。
ウワー異世界に引き込まれるーと思った。
猛烈に引っ張られる。夢中で彼女の手に縋った。
離したらどこかに飛ばされてしまう。
目では何が何だか分からない。
感覚だけで回転し引き込まれる自分を感じた。
100k位に引き延ばされているかもしれない。
東京・小田原位かな。いやきっと東京・ニューヨーク位だ。月かな。
そんな遠く、どこへ行く。
地獄じゃないだろうな。
まさかターミネーターより遠くじゃないだろうな。




