第78話 発表が終わって
開かれた会議室の扉からは教授たちが早足に出ていった。モニター越しの研究員たちも何人かは話しかけてきたので、返答をしておいた。また、何人かの教授は彼女に話しかけてきて、皆の前では言えなかった感想などを言って自分たちも歩き去っていった。最後に会議室を出た理学部長とメリーアンは二人並び、歩きながら会話をしていた。
「お疲れ様だったね。アミットが病に倒れてからの2年間、君は本当によくやってきたよ。とうとうここまで来たわけだからね。」かれは彼女の労をねぎらってくれた。
「いえ、私などまだまだです。それに、この仮説について提唱したのはアミットですから。」彼女は謙遜し、答えた。
「しかし、本当にこの仮説が真実だった場合、とんでもないことになるね。目の前に迫っている怪獣達の脅威だけでなく、忍び寄る感染症による変異か死にもおびえなければならない。難儀なものだ。」理学部長はため息をつきながら遠くを見つめ、つぶやくように言った。
「ええ、そうね。」彼女はそう答えると窓の外を見つめた。外はもう春が近づいており、積もっていた雪はもうなくなっていた。
すると、前の方で学生たちが集まって騒いでるのが見えた。そこはラウンジで、ちょっとした休憩スペースとテレビが設置されていた。彼女たちも近寄ってみる。すると、先ほど部屋を一足先に出た教授たちもいるのがわかった。
人ごみの後ろに立ち二人は中央にあるテレビを見る。するとそこには上空から映された日本の街並みが見えた。街並みはひどく破壊され、ところどころで火の手が上がっているのがわかる。そして、その火の手の合間にちらほらと、巨大な昆虫型の怪獣が闊歩しているのが見える。その画像の前にいるニュースキャスターが現地の悲惨な状況をレポートしている。どうやら日本のとある市で数千体以上の怪獣が出現し、街を薙ぎ払ったようだ。現在もその進行は継続し、駆除作戦も進行中とのことだった。
「なんと、大変なことになったぞ。」理学部長が隣で独り言のようにつぶやく。
彼女はその光景に表情を硬くし、踵を返してから自分の教室へと向かった。




