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第77話 黒幕5

「これが私たちの提唱している仮説です。」そういうと彼女はしゃべるのを止め、質問を待った。


「ありがとう、ブラックウェル教授。正直、信じがたいところもあるが、少なくとも提出された論文の結果自体は正しいように思える。ただ、仮説に関しては疑問もある。いきなりだが、答えていただきたい。まず、この小器官が確かに細菌であるという確実な証拠はあるのかい?」理学部長が口火を切った。


「いえ、今の段階だとありません。あくまでリケッチアと共通する遺伝子構造を持っているだけで、確実に細菌であるという証拠までは特定できていません。ただ、これに関しては調査を始めてからの期間が短いだけだと考えています。ですので、仮説として提示しました。」


「ありがとう。では、他に質問があるものはいませんか?」理学部長は回答に満足し、他の教授たちに質問を促した。


「すみません、私からも一つ。あなたは小器官の分類を写真から行いましたが、その特徴の分類方法が適切でなかった可能性はありますか?」スージーの恋人が務めている教室の教授が立ち上がり、質問を投げかけてきた。


「それについては分類に使用される基準をある程度変えて再度分類を行ってみました。その場合でもやはりこの小器官は大きさ、表面の形状などから独自の器官であることが分類できました。」


「では私も。第2の仮説についてですが、この程度の遺伝子の一致で過去にこの寄生細菌が昔から存在していたというのは少し言い過ぎではないでしょうか?」


「ええ、それに関しては私もそう思います。ただ、現状働きのわからない遺伝子が過去にも存在していたことは特記すべき事実だと思いますし、実際にこのように推察してもおかしくはないと考えています。あとはどうにかして検証をしていくしかないでしょう。」そう彼女は答えるとすこし顔を下げた。この二つ目の論文の内容は過去に報告されていた遺伝子と今発見された遺伝子が一致するということを示したもので、それ自体は特に科学的にけちのつけられない報告なのだ。だが、この仮説に関してはあくまで彼女とアミットの打ち出した推論である。そこに証明されていない痂疲が多数存在しているのは疑いようがなかった。


「まあ、それに関しては以後の追試で検証されることでしょう。少なくとも論文の統計処理や結果に関しては文句がつけようがない。あとは不明な遺伝子の働きを突き止めるだけではある。」理学部長が助け舟を出してくれた。おそらく彼はこの仮説に関して、検証に値するものだと思っているのだろう。


そこから、いくつかの質問があったがそれらに関してはつつがなく返答をした。約1時間が経ったところ、教授たちから質問がつづくことがなくなった。理学部長が立ち上がり、最後に閉会の挨拶をしようとする。その前に、彼女は追加で言葉を発した。


「最後に、私たちの第2の仮説が正しかった場合、将来に大きな問題が起きる可能性があります。この細菌は段々と感染する生物種を増やしているのです。それも哺乳類、昆虫、植物と手あたり次第地上に存在している生物すべてに適応してきている。もし、今後その魔の手が人間に伸びてきたらどうなるでしょう?人間も怪獣になるのでしょうか?それとも今までの動物たちと同じく多くの人が死ぬことになるのでしょうか?」


「我々はできるだけ早くこの仮説が正しいかどうかを検証しないといけない。間違っていたらそれはそれでいいのですが、正しかった場合は対抗策を見つけないといけなくなります。」そう彼女は言うと、着席した。


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