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魔眼の幻創術師 ~勇者パーティに見捨てられた三流幻術師は真の力に目覚めて世界を翻弄する~  作者: 結城 からく


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第99話 過ぎ去る日々

 元勇者の死からさらに一年が経過した。

 相変わらず俺達は魔王として活動している。

 ただし勢力図は様変わりしている。


 まず王国はノアに任せた。

 現在は竜の魔王の国ということになっている。

 政治については配下に丸投げしているそうだが、なんだかんだで人望はあるらしい。

 戦闘能力も申し分なく、まだ反乱は起きていないそうだ。


 手に入れた元勇者の領土は、部下の一人に託した。

 そいつは俺やノアに心酔する魔族と人間の混血で、人並み外れた力を有している。

 試しに幻創魔術で干渉してみたところ、さらに強くなってしまった。

 忠誠心が高く信頼できるので、現在は新たな魔王として領土の管理をさせている。


 魔王という言葉も随分と意味合いが変わったと思う。

 以前までは魔族の配下を持つ魔族に使われる役職だったが、現在は単に軍事面に強かったり、好戦的な方針を持つ王が名乗りがちだ。

 もちろん過去の印象を嫌って魔王を自称しない者もいるものの、周囲からはそういう風に呼ばれている場合もある。

 領土と部下を他に託して個人となった俺も、やはり幻の魔王のままだ。


 結果として魔王は世界各地に乱立している。

 特に明確な資格が必要なわけではないので、好き勝手に名乗る者も続出しているのだ。

 盗賊団の頭やただの傭兵までもが魔王を自称しているため、もはや本来の意味は形骸化していた。


 魔王は根絶できなかったが、言葉に宿る本質は死んだ。

 果たして喜ぶべきなのか。

 元祖魔王であるルイズは憤慨していた。

 己の名を穢されているような感覚なのだろう。


 まあ、この流行も一時的なものだと思う。

 いずれ飽きられて廃れるはずだ。

 そうなってくると、やはり魔王と呼ばれるべき者だけが名乗る世の中に戻るに違いない。


 時代はそうやって些細な変化を繰り返して進んでいく。

 個人がどうこうできる領域ではないのだ。

 誰もがこんな展開を予想していなかっただろう。

 俺だって魔王を流行らせるつもりで元勇者を殺したわけじゃない。


 力とは手の届く範囲にしか及ばない。

 そこから波及することはあれど、厳密には別の力なのだ。

 幻創魔術を持つ俺は、他人より少しばかり力の範囲が広い。

 しかし、それでも無限ではなかった。


 無理に捻じ曲げるのではなく、自然な流れを見守る。

 この一年でその楽しさを学んだ。

 なかなかに有意義だったと個人的には思っている。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 読み返していて思った事。 >まず王国はノアに任せた。 >現在は竜の魔王の国ということになっている。 >政治については配下に丸投げしているそうだが、なんだかんだで人望はあるらしい。 >戦闘…
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