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魔眼の幻創術師 ~勇者パーティに見捨てられた三流幻術師は真の力に目覚めて世界を翻弄する~  作者: 結城 からく


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第89話 幻と現

 元勇者が頭上の隕石群を一瞥する。

 小さく舌打ちを洩らすのが聞こえた。


「……本当に幻術師の域を超えたんだな」


 面倒そうに呟いた元勇者は、俺への攻撃を中断して真上に跳ぶ。

 隕石の対処を優先したらしい。

 さすがに直撃は不味いと判断したようだ。


 隕石群を聖剣だけでどうにかすることに不安はないのだろうか。

 まあ、ここまでの剣術を見るに十分に可能ではある。

 絶対的な自信があるからこそ、大胆かつ最適な判断が取れるのだ。


(その自信を利用させてもらう)


 俺は不浄剣を変形させて、灰色の粘液を垂らす気味の悪い弓にした。

 見た目と使い心地は最悪だが、機能面は申し分ない。


 隕石を斬ろうとする元勇者に狙いを定めて弦を引く。

 粘液の一部が凝固して矢の形となった。

 ちょうど弓に番えた状態となり、俺は躊躇なく矢を放つ。


 粘液の矢は、隕石を真っ二つにする元勇者の背中へと突き進む。

 そのまま命中するかと思いきや、奴は紙一重で回避した。


 まんまと躱された俺はしかし笑う。


「――爆ぜろ」


 外れた矢がいきなり破裂して粘液を散らした。

 元勇者は驚きながらも切り払う。

 反応が遅れたせいで防御し損なっていた。

 粘液の一部が身体に付着している。


「よし、次だ」


 俺は幻創魔術で粘液を鋼鉄の棘に変えた。

 棘は元勇者の肩や脚に突き刺さる。

 さらに鎖のように丸めて引き抜けない形にしてから赤熱させた。


 皮膚と肉を焼かれる元勇者は、顔を歪めて悪態を吐く。


「ぐっ、くそ……!」


 残る隕石の切断を諦めた元勇者は、食い込んだ鎖を切除した。

 その際、僅かながら骨と肉を削る。


 元勇者は顔を顰めながら退避した。

 粘液の弓で撃たれることを嫌ったようだ。

 隕石が大地を吹き飛ばす中、土煙に紛れて都市の方角へと駆けていく。


 それを見た俺は、弓となった不浄剣を杖に戻して掲げる。

 目前まで迫っていた隕石が静止して、軌道を急転換させた。

 隕石は地面すれすれを飛んで元勇者の背中を追いかける。


 他の隕石も同様の動きで滑空していった。

 地面に炸裂して砕けた残骸も蠢きながら浮遊して追跡する。


 真横から襲いかかる隕石群は、元勇者の逃げ込んだ都市に破滅的な損害を与え始める。

 展開された防御魔術を割り進んで炸裂し、ド派手に外壁を撃ち抜いた。

 瓦礫を巻き込みながら建物を薙ぎ倒したかと思えば、地中に潜り込んで地形を崩壊させていく。


 人々の悲鳴がここまで聞こえてくる。

 命が次々と潰えていくのが魔力反応で分かった。


 俺は切り落とされた片腕を拾う。

 付着した血を糸にして、断面同士を密着させて縫い合わせた。


 指先がぴくぴくと痙攣する。

 まだ上手く動かせないが、ひとまず繋がってくれた。

 聖剣の力で再生能力を封じられているものの、これくらいなら治せるらしい。

 繋がった腕を気分よく回しながら、俺は残る数百発の隕石を都市に浴びせ続けた。

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